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【9899】 |
メルカトル (2017年04月05日 22時02分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
『赤きマント 第四赤口の会』 物集高音 怪しげな趣味を持つ収集家たちが集う、地下組織的な秘密集会、それが第四赤口の会だ。 彼らはいわゆる都市伝説や昔話、おとぎ話といった不可思議で怪しい噂を持ち寄って検証し、様々な角度から仮説を組み立てる。そして一応の結論を出していくのだが、これが今一つスッキリしないものが多いのである。よって、結局推測はあくまで推測であり、真実とは限らないというわけだ。それも当然、都市伝説という噂を検証しようということ自体に無理があるから。 まあそれはいいとしても、この文章、短文が畳み掛けるように続いており、慣れるまでが大変である。まるで一つの文章が途中でぶつぶつと切られているようで、読者によっては途中で放り投げたくなる不快さを感じるかもしれないので、その点は要注意である。 |
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【9898】 |
メルカトル (2017年04月05日 22時00分) |
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『ドサ健ばくち地獄』 阿佐田哲也 本作は、阿佐田哲也氏が創作したキャラの中でおそらく最も人気の高いドサ健が主役の、ギャンブル小説である。確かにドサ健を中心にひりつくような勝負の数々を描いており、ある意味ピカレスクロマンとは言えるかもしれないが、やはり博打の世界だから、ミステリとは全く別物と考えるべきだろう。 この作品は私にとっては麻雀シーンが少ないのが不満の一つである。それに、別格の『麻雀放浪記』或いは『小説・麻雀新撰組』、『新麻雀放浪記』などの長編や『雀鬼五十番勝負』『雀鬼くずれ』『牌の魔術師』他多数の短編集に比較すると、幾分出来が劣る気がするのは、私の気のせいだろうか。 阿佐田氏といえば麻雀小説、だから、本作ももっと麻雀の勝負を描いて欲しかったというのが私の本音である。 たまたまこれを目にして、興味を持たれた方は、もし未読であるならば、まず『麻雀放浪記』から読み始めていただきたい。勿論『青春編』『風雲編』『激闘編』『番外編』の順でお願いしたいところである。面白さは太鼓判を押させてもらう。 |
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【9897】 |
メルカトル (2017年04月05日 21時58分) |
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『阿弥陀ヶ滝の雪密室』 黒田研二 切断された死体が移動する謎、幼児連続誘拐事件の謎、雪密室の謎と中身が盛りだくさんで大丈夫かと心配したが、思った以上にスッキリと解決してなかなかの満足感。 特に「J」の正体を告げられた時は唖然としたが、謎が解明されるにつれてなるほどと思わず唸らされる真相であった。 切断された死体の謎はやや無理があるが、それでも面白いと個人的には思った。意表を突く感じで、イマジネーションを掻き立てられるような、それでいて絵になるような、不思議な感覚とでも言おうか。 タイトルにもなっている雪の密室は、残念ながら前例があるため、これはあまり評価できない。 なのでこの点数にとどまった、心情的にはもう少し上なんだけど。 |
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【9896】 |
メルカトル (2017年04月05日 21時56分) |
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『迷宮学事件』 秋月涼介 みなさんは迷宮と迷路の違いをご存知ですか?本書を読むとその答えが明らかになります。 そんな事はどうでもいいが、これは綾辻と京極を掛け合わせたような作品である。プロットや雰囲気、事件そのものは綾辻似、登場人物の人間模様は京極似で、当然京極堂、榎木津、関口、木場に相当する人物が登場する。誰が誰に対応しているのかは敢えて書かないが、そういう事を頭に入れて読んでいくと一層楽しめるのではないだろうか。無論、秋月氏が大先輩諸氏の影響を受けたかどうかは定かではない。 面白いのは、上記の4人のうち3人までが女性であること。しかし彼女らすべてが女性らしさをあまり前面に押し出さず、どちらかというと中性的に描かれているのも興味深い。 まあいずれ絶版になっているだろうから読む機会はないと思うが、もし図書館や古書店で見かけたら、読んでみても悪くはないと思うよ。ハズレの多い【密室本】の中では、かなりよく描かれているほうであろう。 |
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【9895】 |
メルカトル (2017年04月05日 21時55分) |
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『チャイナ・オレンジの秘密』 エラリー・クイーン 国名シリーズの中でも異色作だと思う。クイーンと言えば、殺人事件のそれ程不可思議ではない謎をロジックで徹底して詰めていって、段階的に真相を解き明かしていく過程に、特徴があるのだと思うが、本作はまずトリックありきで、そのホワイダニットを解けば自然と犯人にたどり着くという珍しい構造を持っている。 半分密室の中であべこべに服を着せられて殺されている男、しかも部屋の中のすべての家具などもあべこべに向きを変えられている。 犯人は何故そんな面倒なことをしなければならなかったのか。とにかくその謎が不可解であり、その理由が解き明かされた時にはなるほどと思ったものだが、よく考えてみればそこまでする必要性が果たしてあったのかどうか、やや疑問視される。 作中の切手に関する薀蓄は興味のない人間にとっては退屈だろうし、中国があべこべの国だという解釈には、首を捻らざるを得ないと私は考える。 単純な事件のわりには尺が長すぎるきらいがあるのも、やや気になる点である。 多分当時としてはかなり画期的な謎の提示だったのだと思うが、改めて今読んだらどうだろう、それ程までには魅力を感じないのかもしれない。 |
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【9894】 |
メルカトル (2017年04月04日 22時17分) |
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4連敗。 どこまで続くのやら・・・。 レベルが違いすぎます。1チームだけリトルリーグのようなもの。 すでに興味は、いつまで森監督が我慢できるのか、いつ辞任するかってことだけ。 別にどれだけ負けても悔しくもなんともない。 |
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【9893】 |
メルカトル (2017年04月04日 22時14分) |
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『殺人方程式』 綾辻行人 犯人も死体切断の理由も分かった上で読み直したので、どうかなとやや不安だったが、やはり上質の本格推理小説であった。 氏にしては珍しく物理的トリックを駆使して、死体を○○させているのはお見事。図解も入って分かりやすく、まるで本格物の教科書のような印象すら受ける。 反面、「館シリーズ」のような独特の雰囲気が全くなく、文章も淡々としすぎていて、ワクワクするとかドキドキするといったミステリ特有の愉しさが欠けているのは大きなマイナス点だろう。おそらくそれが災いして、平均点の低さにつながっているのではないかと思う。 とにかく綾辻らしさがないので、氏らしいミステリを期待した読者には裏切られた感があったのではないかと感じる。だが、例えば他の作家がこれを書いたとしたらどうだろう。もっと評価が高くなっていたのではないかと私は思うのだが。 |
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【9892】 |
メルカトル (2017年04月04日 22時12分) |
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『絡新婦の理』 京極夏彦 まず何と言っても冒頭の美しさは、日本のミステリ史上髄一と言っても過言ではあるまい。そしてそれはラストシーンに繋がるという、まさに構成の妙を見せている。勿論、ストーリー全体の構成力はさすがなものがあり、これだけの長尺を無理なく描いている腕は確かである。 本作は、いきなり犯人が登場することで『鉄鼠の檻』と共通する部分を持っている。そして、『鉄鼠』は男の世界、『絡新婦』は女の世界というようにまるで対比するような描かれ方をしている。その意味で両者は兄弟或いは姉妹的な関係にあると考えられるのではあるまいか。 いずれにしも本作は、ある意味「百鬼夜行シリーズ」の頂点に立つ作品なのかもしれない。シリーズ最長であることも、何かを示唆してはいないだろうか。 まあそれにしても、よくこれだけ長い小説を書けるものだと感心する。ただ書くだけではなく、複雑な事件や人間関係をキッチリまとめ上げる手腕は大したものだと思う。 確かに犯人は分かりやすいかもしれない、しかしそんな些末なことはこの大作を前にしては、いか程のものでもない。 |
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【9891】 |
メルカトル (2017年04月04日 22時11分) |
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『鼻』 曽根圭介 第14回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作『鼻』他、『暴落』『受難』を収録した短編集。 それぞれ違ったタイプの不条理劇とでもいうべき佳作が揃っている。ホラー小説とは言ってもさほど怖くはなく、むしろブラックユーモア的な独自の世界観を醸し出している辺りは、新人らしからぬ筆力の持ち主だと感じる。 個人的に最も気に入っているのは『暴落』でラストの衝撃はもうね、これ程意表を突いた結末はなかろうというくらい、まさかの展開が待っている。『鼻』も途中サスペンスを交えながら、これまたオチが見事に決まっている。 『受難』はこれぞ不条理の世界って感じで、なぜだか分からないが身動きが取れなくなった主人公の前に3人のタイプの異なるちょっといかれた人々が現れては去っていくという、何とももどかしいホラーである。何故誰も助けてくれないのか、その辺り不条理さ全開で、奇妙な味わいを醸し出している。 どれもかなり面白く、レベルの高い作品ばかりで、とても印象深い一冊である。 |
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【9890】 |
メルカトル (2017年04月04日 22時09分) |
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『覆面作家』 折原一 そうねえ、まあ折原氏らしいと言えばそうなんだろうが。どうもいまいちインパクトに欠けるというか、盛り上がらないんだよね。 トリックというか、覆面作家の正体を明かされても、はあそうですか、くらいの感慨しか浮かんでこなかった。そうだったのか!とか、一杯喰わされたとか、とにかくやられた感がほとんどないので、全体が霞んでしまうのだろうかね。 多重構造はお手の物の作家だから、今更驚かないし、こちらも身構えて読むから、この結果にはいささか拍子抜けしてしまう。 残念だが、読み返す必要もなかった。折原氏の作品の中でもどちらかというと精彩を欠いた仕上がりに思えてならない。 |
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