返信元の記事 | |||
【2777】 | RE:忌館 メルカトル (2010年06月19日 23時58分) |
||
ドウコク!さん、こんばんは。 >ぱっと「屍蝋」の部分が幻想的な感じもしますが、でも、実際にそれを目の当たりにすると、リアルにグロそうですね。 まあ、最終的に「私」はそれを目にするのですが、それ程グロテスクには描写されていません。 が、ある意味リアルに描かれている部分もあり、なるほどそんな細かいところまで注意を払っている乱歩の作家としてのセンスには唸らされました。 >残念ながらメルカトルさんの記述を見て、「ああ、そういえば、そんな話があったかも」みたいな感じです。 私も同感です。 タイトルは結構有名だとは思いますが、あまり印象に残らない作品ではないかと思います。 >これがですね、少なくとも私にはとても魅力的な展開で、本当に惹き込まれました。 それだけでも本作を読んだ価値はあったのではないですか。 それとも、その後の結末に不満が募るあまり、残念な作品との評価に落ち着いてしまっているのでしょうか。 >これがお勧めできない、最大の理由です。 なるほど、それにしてもこれはミステリですか、それともホラーですか。 私の場合はミステリとして期待して読み始めたわけではないので、ホラーとしての比重が高いのではないかとの印象ですが。 さて乱歩。 『夢遊病者の死』 主人公の彦太郎は勤め先である木綿問屋を夢遊病の為、くびになってしまう。 その後実家で就職口を探すのだが、なかなか決まらず父親との諍いが絶えない。 そうした鬱々とした日々を送るある日、庭先の籐椅子で父親が死体で発見される。 もしかすると夢遊病の最中に自分が殺してしまったのではないかと彦太郎は疑いを持ち始める。 といったストーリーで、これは足跡の問題などにミステリの要素が窺えます。 なかなか興味深く読ませてもらいました。 『双生児』 これは完全にミステリです。 死刑の宣告を受けた「私」の独白で終始します。 タイトルの通り、殺したのは「私」の双子の兄。 いわゆる入れ替えトリックを、犯人の側から描いたなかなかの佳作だと思います。 完璧に思えた入れ替わりが、ある手がかりから足がついてしまうまでの犯罪計画から実行までを巧みに描いています。 ミステリ作家としての乱歩の面目を躍如した一作ではないでしょうか。 ではまた ^^ |
■ 9,999件の投稿があります。 |
【2778】 |
ドウコク! (2010年06月20日 22時18分) |
||
これは 【2777】 に対する返信です。 | |||
メルカトルさん、こんばんは。 本日、コチラは非常に蒸し暑い曇り空でした。 ついに、今年初の扇風機が出動、となりました。 >なるほどそんな細かいところまで注意を払っている乱歩の作家としてのセンスには唸らされました。 ごもっともです。 もちろん、努力もあったのでしょうが、センスも充分に兼ね備えていたことと、私も思います。 >『夢遊病者の死』 >『双生児』 むむっ、これは両作品ともなかなか面白そうですね。 ミステリ的要素、という部分に惹かれますよ。 ただ、前者はタイトルは聞いたことがあるから、もしかしたら読んだのに忘れている、のかも? 後者は“双子”なんて、トリックの王道みたいな気もしますので、興味がわきます。 三津田信三氏「忌館」、つづき。 >それにしてもこれはミステリですか、それともホラーですか。 ずばり、ホラーでしょう。 ただし、ミステリ的な仕掛けも、有ることはあります。 と、こう曖昧な表現(=有ることはある)にしたのは、「トリックはある。 でも、そのトリックには無理があるだろう。」と感じたからです。 私見では、これがお粗末。(どういった点で悪いのかは、ネタバレになるので、割愛します。) もし、この作品を私が、三津田作品で最初に読んでいたら、以後の氏のミステリ作品を読むことはなかった、と思います。 (といっても、「凶鳥の如き忌むもの」しか読んでいないのですが。) などと、まあ本作品、かなりの酷評となり、その意味でもメルカトルさんには、「再読の手間をかけない方が無難。」と申し上げたいのですが、 それでも、作者のために、最後に一言。 「『凶鳥の如き忌むもの』のメイン・トリックは、とてもイイ、と感じた。」 |
|||
この投稿に対する 返信を見る (1件) |
© P-WORLD