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【1340】 | RE:沈黙 ドウコク! (2009年12月27日 22時10分) |
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メルカトルさん、こんばんは。 >それ程私は刺激を欲しているようです、そこまで引きずり込んでくれないと、読む甲斐がないというものです。 これはまた、大胆な発言ですね。 これは、普段の生活が平穏無事に推移しているからこそ、フィクションの世界で刺激を求める、 つまり、メルカトルさんの日常が平和で良いことだ、と解釈します。 ただ、本作がその期待に応えてくれるかどうかは、分かりませんが。 「沈黙」、こぼれ話。 作者・遠藤周作がこの作品を発表した当時、キリスト教界では、その内容に大きな議論が持ち上がったそうです。 その内容は、主人公・ロドリゴ神父の選択した行為について。 これに対し、カトリック・プロテスタント、いずれからも抗議の嵐が巻き起こったそうです。 これを知ったとき、私は、とても疑問に思いました。 「違うだろう。 議論すべきは、作者の提示した『真のキリスト像』だろう。 これがキリスト教の教義に沿っているか、聖書でのイエスの教えと合っているか、を議論すべきだろう。」 と思いました。 私が思うに、作者の「キリスト像」は、それほど斬新で説得力のあるものでした。 私はキリスト教徒ではありません。 ですから、その教義については素人です。 それでも、主に、世界史や映画・活字などから私が得たキリスト教の教えとは、氏の解釈は全く異なるもの、と判断できました。 一般的なキリスト教の解釈に私は魅力を感じませんし、他の宗教も含め、今後も無宗教のつもりですが、 遠藤氏の提示するキリスト教なら、入信してもよい、とさえ感じさせるものでした。 そこが本作の真骨頂であり、その大本を議論せずに、枝葉である部分(ロドリゴ神父のくだり)に抗議をする団体に、私は、 「なんと蒙昧なんだろう。」と失望を覚えたものです。 しかし……。 その後も遠藤氏の提示した「キリスト像」が大きく広がってはいないところをみると、 (=これを教義とした宗教団体が出現していない、また、「沈黙」自体がそれほどメジャーではない) やはり、普遍的でないのかも知れませんね。 この「キリスト像」は。 歴史的背景(江戸時代の鎖国、キリスト教禁制)さえ上手く説明できれば、この作品は、キリスト教圏の西洋諸国でも、 受け入れられて然るべき、だとは思うのですが、そうでもないようですし。 その点は、残念です。 |
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【1343】 |
メルカトル (2009年12月27日 22時59分) |
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これは 【1340】 に対する返信です。 | |||
ドウコク!さん、こんばんは。 >つまり、メルカトルさんの日常が平和で良いことだ、と解釈します。 まあ良く言えばそうなのかも知れませんね。 ただし平和ではあっても、退屈には違いありませんから、そういったフィクションの世界での刺激を求める傾向にあるのではないかと思います。 決して本作を読んで、キリスト教に入信したいなどとは思っていませんので、その点はご安心ください。 >作者・遠藤周作がこの作品を発表した当時、キリスト教界では、その内容に大きな議論が持ち上がったそうです。 無視されたのではなく、論争の的になったという事は、それだけ本作がキリスト教徒に大きな影響を与えた事だけは間違いないようですね。 一冊の小説がそのような事態を引き起こしたという事は、やはりペンの力は偉大だという事実を証明しているのではないかと思いますし、それだけ「キリスト像」を深く掘り下げた結果ではないでしょうか。 >それでも、主に、世界史や映画・活字などから私が得たキリスト教の教えとは、氏の解釈は全く異なるもの、と判断できました。 そうなのですか。 しかし遠藤周作氏は敬虔なキリスト教徒なのでしょう? その氏が、それ程大胆な独自の解釈をされていたという事は、どう捉えてよいのか私には理解できません。 カトリックであろうがプロテスタントであろうが、教義を覆すような小説を執筆したのは、一体どんな狙いがあったのでしょうか。 遠藤氏独自の「キリスト教」が己の中に教義として完成していて、それを小説という形で発表したとでも? >しかし……。 その後も遠藤氏の提示した「キリスト像」が大きく広がってはいないところをみると、 >(=これを教義とした宗教団体が出現していない、また、「沈黙」自体がそれほどメジャーではない) >やはり、普遍的でないのかも知れませんね。 この「キリスト像」は。 うーむ・・・素人の私には何とも言いようがありませんが、やはり信者にとって旧約または新約聖書は絶対的な存在だという事に他ならないのではないでしょうかねえ。 それと神父や牧師の解釈は一定ではないものの、ある意味狭義としての「キリスト教」は厳然として存在しているわけなのですかね。 ではまた ^^ |
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