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【7108】 | RE:異邦人 ドウコク (2013年05月19日 22時46分) |
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メルカトルさん、こんばんは。 >昔は結構目立つ場所に、そこそこの規模で並んでいたものですけどね。 それに比べると、文庫はノベルズよりもマシな状況だと思います。 少なくとも、どこでも新刊はちゃんと分かるようになっているので。 ただ、話題の本やフェアなどは一部の有名作家に偏っているので、 売れる作家はますます売れ、そうでない人の作品は売れない、という悪循環もありますね。 >問題は解くより作るほうが困難だと聞きますし。 最近の「何を切る?」は、かなり工夫されて作っていると思います。 ただ、「現実に、そんな牌姿になるのか?」とも感じますが。 ところで、話を戻しますが、外字を作る必要があったのは表現できる文字が限られていたからですが、 今では、大幅に文字が増えたので必要が無い一方、文字化けという新たな問題が出ている気がします。 さて、カミュ「異邦人」。 >何故自分がこれほど運命に弄ばれなければならないのか、そう考えればまさに不条理そのものかもしれません。 これに関連して、本作で私が「暗転する運命」の他に、感じ入った点があります。 それはどういうことかというと、まず前提として、主人公は終始一貫して「受身の姿勢≒能動的に行動するわけではない」。 例えば、 恋人から「私と結婚したい?」と聞かれても、「君がそうしたいなら、そうする」と答えるとか、 友人から、(ケンカの挑発である内容の)手紙の代筆を依頼されたとき、「断る理由がなかったから、書いた」とか。 言い換えると、特に主義主張や思考があって行動しているわけではない。 刑務所でも、出された死刑判決に抵抗するとかの記述も、皆無なのです。 そんな彼なのに、なぜかピストルの引き金を引いてしまったこと(=これは自らの意思でしょう)、 また、 ラストで、面会に来た司祭の言葉の内容に激怒し、彼を叩きだしてしまうところが、 不思議な感じを抱かせました。 >しかし、考えようによっては、それは誰の身にも起こり得ることですので、怖いですね。 まさに。 事態の程度の差こそあれ、誰にでもあり得るのは確実。 (本作が多くの共感を得たのは、そういう面もあると思います。) なお、主人公の殺人に関しては正当防衛、最低でも過剰防衛で死刑までは……、という気がします。 |
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【7109】 |
メルカトル (2013年05月19日 23時37分) |
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これは 【7108】 に対する返信です。 | |||
ドウコクさん、こんばんは。 >少なくとも、どこでも新刊はちゃんと分かるようになっているので。 それはおそらく、ノベルズと文庫本との需要の差ではないでしょうか。 つまり、ノベルズ=売れないから扱いが杜撰、文庫本=そこそこ売れるから、新刊はしっかり一目でわかるように、売れ筋を目立つところに並べる、みたいな図式が成り立つのではないかと。 >売れる作家はますます売れ、そうでない人の作品は売れない、という悪循環もありますね。 その傾向はあるでしょうね。 今一番売れている作家は多分、東野圭吾氏だと思います。なので、多くの書店で東野氏の文庫コーナーみたいなのを設けているみたいですね。 それに引きかえ麻耶雄嵩氏の『隻眼の少女』の目立たなかったこと。 もっと売れると思っていましたが、意外とダメでしたね。 しばらく新刊コーナーに並んでいましたが、早々に文春文庫の棚に収まりました。 やはりネームバリューは必要ですね、つくづくそう思いました。 装丁も悪くなかったし、帯も2冠の受賞を謳っていましたので、売れないわけがないと考えていましたが、現実は厳しいものですね。 >今では、大幅に文字が増えたので必要が無い一方、文字化けという新たな問題が出ている気がします。 文字化けですねえ、私は経験がないので何とも言えませんが。 どんな原因で起こるのかも分かりませんし。 >それはどういうことかというと、まず前提として、主人公は終始一貫して「受身の姿勢≒能動的に行動するわけではない」。 それは私も思いましたね。もう随分前に読みましたので、ストーリーなどもほとんど忘れてしまっていますが、主人公の主体性のなさが自分に通じるものがある気がして、なんとなく共感したものです。 普通なら批判的な感想を持たれるのでしょうが、平均的な人より遥かに気力のない私は、まるで自分自身の姿を鏡に映しているような感覚を受けましたね。 >言い換えると、特に主義主張や思考があって行動しているわけではない。 全くその通りですね。彼の行動原理を追及してみると、行き着くところは「虚無」なのではないですか。 だから流されてしまうんですね、彼は。 そこが当時の私に似ているんですよ、だから大いに共感してしまったんです。 >刑務所でも、出された死刑判決に抵抗するとかの記述も、皆無なのです。 ここは、やはり抵抗したいところでしょう。 自分が死刑にされるに値するほどの犯罪を犯したのかどうか、それくらいは考えなきゃダメでしょ。 いくら主体性がないと言ってもね、自分の命に係わることですから、それすら無関心でいられるのはちょっと理解できないですねえ。 >不思議な感じを抱かせました。 一貫性がないですね。感情が激する場面が、そこは違うだろうって感じですよね。 それだけの激情を持っているにもかかわらず、自分の死刑判決に対して無関心でいられるのは、確かに不思議だと思います。 さて、話は変わりますが、最近再読ばかりでお薦め作品のご紹介もできませんでしたが、以前購入していて長い間読んでいなかった作品 光原百合 『十八の夏』 双葉文庫 と 同じく 『扉守』 文春文庫 この二作は一読の価値はあると思います。 お薦めです。 ではまた ^^ |
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