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【9869】 |
メルカトル (2017年04月02日 21時54分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
『ある閉ざされた雪の山荘で』 東野圭吾 うーむ、分からない。何がって、みなさんの評価の高さがね。この作品のどの辺りが高評価に繋がっているのか、どうも私には理解できない。 はっきり言って『仮面山荘殺人事件』の焼き直し的な作品にしか思えないのである。フェアとかアンフェアとかはまったく気にしないほうだから、そんなことはどうでもいいが、3人の殺害シーンのリアルさはどうなんだろうな、とは思う。 後半の展開は読めてしまったし、勿論再読だから多少は記憶に残っていた部分もあるかもしれないが、自覚としてはほぼ忘れていた気がするので、鈍重な読者たる私をして予想できたということは、結構多くの読者がある程度予測できた後半の落としどころだったのではあるまいか。 まあ、初読の際もあまり感心しない内容ではあったと記憶しているが、やはり読み直してもイマイチパッとしないと感じられた。それにしても、これは本格ミステリと呼称するのには、私は抵抗を感じる。擬似本格というか、変格というのか、どちらかと言うとそんな呼び名がふさわしい一風変わった作品なのかなと思う。 ただ、結末は爽やかな余韻が残り、後味は悪くないし、動機は非常に納得のいくものなので、そこは評価できる。 |
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【9868】 |
メルカトル (2017年04月02日 21時52分) |
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『眼球蒐集家』 船越百恵 警視庁捜査一課の新米女刑事、七海は初めての現場検証でとんだ失策をしでかして、猟奇事件特別研究室に左遷される。その警視庁の外郭組織はひっそりと人目を憚るように存在していたが、なぜか超一流のプロファイラー、美咲嶺がいた。 二人の通称マル奇捜査官は現在捜査一課が追っている、眼球をくり抜かれた首つり死体の謎に迫り、力を合わせてその犯人像に迫ろうとするが・・・といった感じのストーリーで、残酷描写は多少あるものの、軽妙な文章がそれを相殺している。ユーモアも程々に、実に心地よくページを捲らせてくれるのは、デビュー作にしては上出来であろう。 また七海と美咲の人物像を浮かび上がらせるのに見事に成功しており、どちらにも感情移入できるよう巧みに心理描写もなされている。 事件は連続して起こり、三人の被害者がそれぞれ生きたまま、眼球をくり抜かれるという猟奇事件に発展するが、描き方のせいか、どこか薄味な印象はぬぐえない。サイコサスペンスなのに、この軽さがどことなくミスマッチにも思えるが、それが逆に暗くなり過ぎず、楽しく読める結果に繋がっているのかもしれない。 このコンビは凄く魅力的なのでシリーズ化も十分考えられたが、筆者は残念ながら筆を折ってしまったようだ。 |
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【9867】 |
メルカトル (2017年04月02日 21時50分) |
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『スティームタイガーの死走』 霞流一 中央線を復活したSL、C63が疾走する。その名も虎鉄号。 玩具会社であるコハダトーイの会長小羽田伝介は、奇妙な趣味が高じて、本物のSLを製作し、ついに路線を走らせることになったのだが、列車は乗っ取られ、しかも忽然と消失してしまう。 列車内でのズルムケ密室殺人や、運転士が予定されたいた人物が雪道の途中で足跡が消えるという失踪事件、などいろいろ盛り込みすぎて、いささか急ぎ足で進行するきらいがある。 ササッと様々な出来事が起きて、すぐに次の場面に移ってしまうため、落ち着いてじっくり読み進めるというより、一気呵成に読破してしまうのに向いているタイプのミステリである。 それにしても、こと本作に関してはなんとなく読みづらい印象を受けた。私も文章が下手だが、自分ならこう書くのにと思いながらの読書だったため、イマイチ集中できなかったのは確かだ。 トリックに関しては、ほぼバカミス的なものが多く、拍子抜けの感は免れない。最後の叙述トリックだけはかなり意外だった、こんなところに叙述?って感じで驚いたが、それだけ。 全体としてはまずまずだったと思う。だけど、正直「このミス」で第4位はちょっとどうかなという気がする。 |
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【9866】 |
メルカトル (2017年04月02日 21時48分) |
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『首断ち六地蔵』 霞流一 東京は杉並区にひっそりと存在する豪凡寺。その土塀の片隅に並ぶ6体の地蔵の首が盗まれた。そして、その地蔵の首が転がるところには必ず仏法の六道を見立てた殺人事件が発生するという、連作短編集。勿論それぞれの短編を独立した物語として読むことも可能である。そして、推理合戦を繰り広げる面々である、所轄の霧間警部、事件のナビゲート役の私こと、カルト教団から市民を守る「寺社捜査局」の魚間、そして豪凡寺の住職峰風の三人が知恵を絞って、トリックを解明していく過程が本書の肝であるのは間違いない。 が、第一話を第一章として捉えた時、一つの長編としての流れをくみ取ることも十分可能であり、最終話が全ての物語を収束させ、繋がりを持たせて完結させている形式は、今更ではあるが実に上手くまとめており、その結末は驚愕に値する。 ほとんどの事件が密室になっており、派手な道具立てもあったりして、読み応えも満足のいくものだと思う。また、一人が推理し、否定され、また別の人が推理を披露しては崩されるという図式は、ワンパターンではあるが読者を飽きさせない苦心の跡が見られ、作者のサービス精神が如実に表れている。 とにかく一読の価値のある異色の本格推理小説であるのは間違いないと思う。 |
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【9865】 |
メルカトル (2017年04月02日 21時45分) |
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『クビシメロマンチスト』 西尾維新 ミステリが3割、青春エンターテインメントが4割、その他キャラ萌えなどが3割って感じの小説。ミステリ度は薄い、その代わりに登場人物、特に主人公であるぼくのかなり歪んだ性格が浮き彫りにされてはいる。 前作が再読してみて思いのほか素晴らしい出来だったので、こちらも読み直してみたのだが、やはり予想通りそこそこであった、それ以上の評価は出来ない。 まず気に入らないのは、第一の事件と第二の事件の間が無駄に長すぎて、いささか間延びしているのである。 それに零崎人識が連続猟奇殺人鬼のくせに、只のいい人みたいになっているのもどんなものかと思う。 そして最初の殺人事件の動機、これが納得いかない。そんなんで人を殺していたら、どれだけ殺人を犯してもキリがないじゃないか。 もう一つおまけに、アリバイトリックに使われた携帯、それはないでしょ、って感じですか。そんな小手先のトリック誰にでも分かってしまうって。 もうこれで西尾維新はいいや。しかし、西尾維新って変なペンネームだと思っていたけど、ローマ字変換したら回文になっているのね。昨日まで気付かなかった、情けない・・・。 |
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【9864】 |
メルカトル (2017年04月02日 21時43分) |
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『秘密屋文庫 知ってる怪』 清涼院流水 本作は講談社ノベルズ中、最も短い『秘密屋 赤』と『秘密屋 白』の二作を併せたものを改稿し、新たに『黒』の章を加筆し、一つにまとめた文庫版である。 「赤」は口裂け女、人面犬、トイレの花子さん、斧男などの都市伝説がどのような状況で目撃されたのか、或いはどんなルーツで伝播したのかを、ぼく流Pが先輩の木村彰一とともに追いかけるストーリー。まあほとんどがそれらの都市伝説を紹介しているに過ぎないが、追跡調査する先々に「秘密屋」という言葉が現れ、果たしてその正体とは一体?という興味も一つの読ませどころとなっている。 「白」では、いきなりぼくのところに電話がかかってきて、自分のことを「秘密屋」と勘違いして、依頼をしようとする相手の中年男性との駆け引きを描いている。 「黒」はついに当の「秘密屋」がぼくの前に現れ、ぼくを利用し、再び様々な都市伝説を復活させようと、あの手この手で画策するというもの。 ラストは意外な方向へと物語は進展し、突然メタな展開に。 再読だが、内容は全く忘れていたので新鮮な気持ちで読むことができた上に、結構面白かったので満足している。 個人的に印象深かったエピソードは、中国での「達磨」の話。これは知る人ぞ知るという本当の話らしいが、知らない人はそのほうが幸せというものだろう。 それと、「500円ばばあ」もなかなか傑作だった。いや、世の中には色々な都市伝説が存在するものだと感心させられた。 |
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【9863】 |
メルカトル (2017年04月02日 21時41分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
『眼球奇譚』 綾辻行人 綾辻氏初のホラー短編集。ということで刊行当時はかなり期待して読んだが、それなりの出来ではあったが、思ったほどではなかった。 その中でも『特別料理』と『再生』のツートップは不動である。はっきり言ってその他は全く印象に残っていなかったわけで、再読した今回もそれは変わらなかった。全体的にもう一捻り欲しいと感じた次第。 『再生』のオチは序盤で読めてしまった。これは正直ミエミエじゃないかな、ほとんどの人が予想していた通りの結末だと思う。だがグロさもそこそこあり、面白い。 そして大本命の『特別料理』、まあなぜ指なのか、他の部位ではダメなのかという素朴な疑問はあるものの、とにかくその吸引力は凄まじいものがあるのは確か。ラスト2行が怖い、うまく捻りが決まっている。 上記の二作以外のストーリーはイマイチな気はするが、さすがは綾辻氏、全編を通して実に文章にそつがなく、読ませる才能は生まれ持ってのものと感じた。 |
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【9862】 |
メルカトル (2017年04月01日 22時29分) |
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今日はサヨナラ負け・・・ まあね、2点しか取れないんじゃ、負けて当然。 クリーンナップ、なんとかならんのか。ビシエドよりバルデスのほうが打ちそうな気がするわ。 相変わらず点取るのが下手。去年と何も変わってない。やはり最下位候補は揺るがない。 |
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【9861】 |
メルカトル (2017年04月01日 22時25分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
『壺中の天国』 倉知淳 長い、とにかく長すぎる。せめて文庫で400頁くらいなら6点だったのに。長尺のわりにスケール感がないのは、連続通り魔殺人事件?が狭い地方都市に限定されていることや、舞台が家庭内や町内に限られていることが挙げられると思う。それと、何やら怪しげな衒学趣味が無駄に放り込まれているのも一つの原因と言えそうだ。 事件の中核を担う、4人の被害者の共通点、いわゆるミッシング・リンクが最後に明かされるが、分かったような分からないような理由で、素直に首肯しかねる感じであまりスッキリはしない。 また冒頭の訳の分からない怪文書は、一体これから何が始まるのかと読者に期待を持たせるが、結局それ自体は事件とは無関係であって(多少影響を及ぼしはするが)、作者の手口としてはあざとく、あまり誉められたものではないと思う。 一方、主人公の知子をはじめ登場人物の造形はしっかり描かれているので、その点は評価したい。 それにしても、本作が第一回本格ミステリ大賞を受賞した事実は何を物語っているのだろうか。その年が余程不作だったとしか思えないのだが。 |
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【9860】 |
メルカトル (2017年04月01日 22時23分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
『透明人間の納屋』 島田荘司 いかにも島荘らしい、本格と社会派を上手く合成させたような作品。一連の流れとしては、まず主人公の「ぼく」の視点から、唯一とも言える信頼でき親しみを感じている大人の真鍋との友情を暖かく描き、その後透明人間の仕業としか考えられない不可思議な現象と事件を持ってきている。そして最後にはその謎解きと共に社会派の一面を覗かせるという、島荘の本領発揮といった感のある、本格ミステリと言っていいだろう。 ただ、その結末は悲惨なものであり、とても子供向けとは思えないところがやや気にはなるが、問題提起としてはさすがに考えさせられる。 読後、思えば冒頭の「ぼく」と真鍋とのやり取りが実に長閑で、その辺りを読んでいたのが至福の時だった気がする。特に自分の視点から地平線までの距離を示された時には、そうなのかと心底驚いた。 |
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