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【1136】 | 凶鳥の如き忌むもの ドウコク! (2009年11月13日 22時14分) |
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メルカトルさん、こんばんは。 「冷え込んだ」と書いたら、今日は穏やかな気温。 ちょっとどうにかしてよって感じです。 「凶鳥(まがどり)の如き忌(い)むもの」(三津田信三 作)、おおよその筋立ては、以下の通りです。 瀬戸内海の小島で20年前に怪事件が起こる。 それは、ある凶鳥の宗教儀式を執り行った巫女と、それを密着取材していた大学教授と、学生数名が儀式後に、 忽然と姿を消してしまった、というもの。 その行方は今もって、杳として知れない。 奇しくも今年、その儀式が再び執り行われようとしている。 衆人環視の建物の中で、またしても巫女の姿が消失する! です。 一読した印象としては、とにかく、その「人間消失」のトリックが、(私にとっては)大驚愕モノでした。 「ここまでするか」という。 その衝撃の感覚は、(やはり私にとっては、ですが)「容疑者Xの献身」並みでした。 しかし……。 「容疑者Xの献身」とは違って、本作は他の部分が弱いと感じました。 つまり、興味深く最後まで読ませる部分が、という意味です。 全体的な雰囲気としては、題材からも、(以前、メルカトルさんが指摘されておられた)横溝正史を匂わせるはず なのですが、余りそんな感じは受けませんでした。 この点に関しては、私は、どちらかというと、悪く受け取っています。 というのは、道尾氏の場合は、氏の性格からサラッと書く、と判断したのですが、 三津田氏の場合は、純粋に技術的な問題ではないか、ということです。 本人も、おどろおどろしさを読者に伝えようとしているのに、それができていない、という個人的な感想です。 まだ、ご報告したいことがあるので、それは明日に。 |
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【1139】 |
メルカトル (2009年11月13日 23時02分) |
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これは 【1136】 に対する返信です。 | |||
ドウコク!さん、こんばんは。 >一読した印象としては、とにかく、その「人間消失」のトリックが、(私にとっては)大驚愕モノでした。 >「ここまでするか」という。 >その衝撃の感覚は、(やはり私にとっては、ですが)「容疑者Xの献身」並みでした。 私も一度は読んでみたいと思っているうちの一冊です。 にしても、それ程のトリックとはいったいどんなものなのでしょうか。 人間消失トリックも大概出尽くしている気がしていましたが、まだ残っていたのですね。 >全体的な雰囲気としては、題材からも、(以前、メルカトルさんが指摘されておられた)横溝正史を匂わせるはず >なのですが、余りそんな感じは受けませんでした。 なるほど、それはあまりにも横溝正史が偉大だったということの証左なのでしょう。 もはや横溝を髣髴とさせる作家が出現する事は、儚い望みなのかもしれませんね。 横溝のような作風を著せるのは横溝本人しかいない、ということでしょうか。 >本人も、おどろおどろしさを読者に伝えようとしているのに、それができていない、という個人的な感想です。 私も実はドウコク!さんと似たようなことを、三津田氏に感じています。 本人は別に横溝を意識しているわけではないのかもしれませんが、読者としてはどうしても題材が題材だけにそれを望んでしまうというか期待してしまうわけです。 しかし、道具立ては揃っているのに、それを上手く料理できていない気がするんですよね。 どこに起因するのかと考えてみると、やはり文体なのではないかと思うのです。 それともう少しホラー色を濃くすれば、もっと傑作になっていたのにと思う作品が多く、残念に感じます。 まあその中で最も成功している例が『作者不詳』だと個人的には思っています。 この作品、世間的には全くといって良いほど評価されていませんが、私にとっては思い出深い傑作です。 ホラーとミステリが程よく融合されており、作中作という構成と相まって、私好みの作品に仕上がっています。 しかし、『首無の如き祟るもの』も『密室の如き籠るもの』も一般的な評価は高いものの、文体やホラー的要素の盛り上げ方がやや弱いと感じています。 素材が良いだけに、残念でなりません。 と言っても、決して三津田氏の作風が嫌いというわけではありません、むしろ好きだからこそもう少し何とかならないものかというもどかしさを感じてしまうんですよ。 ではまた ^^ |
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