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【48】

RE:T字路の行方

もみあげブランコ (2008年10月21日 23時03分)
 第十八話   ケータイ



 クラーク博士の像がある羊ヶ丘展望台、スキージャンプ場、時計台など
 いたって観光客が好んで行くスポットを二人は回っていた

 食事もジンギスカンに続いて海産物等ふんだんに食べ回っている


 「あ〜 見て〜 雄一郎、 お腹パンパンだよ」

 昼飯でスープカレーを食べ終わった美香が腹を叩いている

 「ば、ばか! どこでやってんだよ」
 僕は美香を遮ろうとすると

 「あっ そうだね」
 そう言って美香は丈が短い半袖シャツを下に伸ばした

 美香は元々スラリとした体型で、ヨガなんかも習っていたからスタイルが抜群だ

 それに少しキツめに着こなした白いパンツがこれまた良い
 僕はシャツから覗いたお腹をチラリと見ながら

 「腹なんか叩いて、まったくぅ〜」と美香の口癖を真似した

 「まったくぅ〜 …だね」

 二人は顔を見合せて恥ずかしそうに笑った


 
 美香が自分の腕を揮うというので、今晩は家で食べることにした

 献立は一押しの”ハンバーグ”だそうだ

 「じゃ 家帰って、夕方くらいになったら買い物行こ」

 「うん、そうだね」

 間もなくして二人はスープカレー屋を後にした










 トントントントン…
  
 包丁がまな板を叩く音が耳に心地良く入ってくる

 僕はその音色にノリながら

 皿や箸、グラスなどをテーブルの上に並べていた


 「もうちょっと待ってね、火加減が肝心なの〜」

 キッチンから顔だけ出した美香が言った

 「もうペコペコだってば〜」

 僕はイタズラに急かすように返すと

 「まぁ今回撮った写真でも見てて」

 と声だけ返ってきた


 相変わらず心地良い音色は続いている


 
 しばらくして

 「でーきた!」

 と両手で大きな皿を持った美香がリビングに入ってきた

 テーブルの中央に置かれた皿に乗っている
 デミグラスソースがたっぷりかかったハンバーグ

 食欲をさらにそそる匂いがたまらない

 「うわ〜! すっごい旨そうじゃん!」

 「でしょ? ママに教わったんだから」

 持参したエプロンを取りながら美香がそう言うと

 「じゃ さっそく…  いっただっきまーす」

 僕は箸をハンバーグにグサッと刺した

 
 「ん!  んまーい♪」

 
 本当においしい

 僕はあまりこういう家庭的な味で育ってなかったから 特別に旨く感じた

 「雄一郎は大ゲサだな〜」

 
 そんな二人っきりでの団らんしている最中
 美香のケータイが鳴った


 ケータイを手に取る美香

 するとすぐにケータイをバッグにしまった

 「ん?  いいの?」

 「うん、いいの いいの」

 
 妙な空気が二人の間に流れてすぐに


 ♪〜♪〜♪〜

 また美香のケータイが鳴った

 今度はメールのようだ

 
 美香は内容を確認した後

 「さっ 温かいうちに食べちゃおっ」

 と言って食事を続けた




 食事が終って美香がシャワーを浴びているとき

 僕はさっきの美香の態度が気になって



 見てはいけないとわかっていながらも美香のケータイを見てしまった




 『不在着信   カズくん』
 『受信メール  カズくん』




 見なければ最後まで楽しくこの旅行を終えて
 笑顔で送ってやれたのに…


 僕はなぜ  
 
 見てしまったんだろう

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【143】

RE:T字路の行方  評価

ER34 (2009年02月03日 14時15分)

いや〜泣けてくるね。

> 『不在着信   カズくん』
> 『受信メール  カズくん』

これ俺なんだ。
ごめんw

編)ごめん、また上げちゃった
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