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【12】

RE:T字路の行方  評価

もみあげブランコ (2008年09月21日 21時54分)

 第七話   独りぼっちの夏目漱石


 
 発売するCDがことごとく初登場1位にランクインするGLAYは
 まさに飛ぶ鳥を落とす勢いそのものだ

 このコンサートのチケットもファンクラブに入っている知り合いを通して

 購入したものだが、抽選で選らばれてやっと取れたものだった

 
 僕たちは既にヒートアップしている会場の二階通路から
 2席並んで座っていた

 「うわ〜 ドキドキするね ずっと立ちっぱなしなのかな」

 美香ちゃんが周りをキョロキョロしながら言った

 「そうじゃないかな ゲリラライブとかはあるけど、こういうコンサートって来たことないんだ

  きっと腕なんか筋肉痛になりそうだよね」

 僕も少し興奮して言った

 

 
 しばらくすると東京ドームの照明が落ちた

 観客一同は盛り上がる


 その刹那 ヒット曲”口唇”とともにボーカルのTERUがステージ中央に現れた

 さらに盛り上がる客席

 それから3曲たて続きに歌われたのだが 僕は美香ちゃんが楽しんでるかどうか

 半分横を気にして歌を聞いていた

 美香ちゃんは大声を出したり 飛び跳ねたりしないが
 コンサートに観入っている様子だ


 …
 …


 アンコールの2曲が終わり

 僕たちはぞろぞろと帰途につく人ごみの中を駅方向に歩いていた

 「やっぱり ラストのWinter againがいいよね!
  流行ってた時期を思い出して涙出そうだったもん」

 「あの あいのり の主題歌もいいよ〜」

 
 すっかり前からの顔見知りのように会話が弾む二人

 僕はもちろん、美香ちゃんも両腕がだいぶ疲労したようだ


 ふと時計を見ると 時刻は21時を過ぎたところだった

 

 少しの静寂が二人を包む

 普通ならこれからご飯を食べて、さらにコンサートの話で
 盛り上がるんだろう


 だが

 僕の財布には 夏目漱石が1人しかいない

 
 僕はとっさに少し先に歩いている美香ちゃんを呼び止め

 こう言った

 「あのさぁ まだもう少し一緒にいたいんだけど

  ちょっと持ちあわせがなくて…

  ご飯おごってくれたり    する?」


 よくもまあこんなことが言えたもんだ 半ばダメもとだったのだろう


 「ははっ  まったく〜 見栄張っちゃって
  だからさっきチケット代払うって言ったでしょ!
  いいよ、それぐらい」


  彼女は夜の光景に一際映える笑顔でそう言った


  「ご、ごめんね あと千円しかなくてさ」

  「いいってば  で、どこ行くの?」

  「近くにたまーに行く居酒屋があるんだ」

  「居酒屋?  …まったくもう」

  
  美香ちゃんは少し小悪魔っぽく横目で僕を見て

  
  
  「そこの居酒屋は高くないところでしょうね」
  
  そう言って僕の手を握ってきた
【11】

RE:T字路の行方  評価

もみあげブランコ (2008年09月21日 20時55分)

 【お知らせ】


ここでちょっとひと呼吸入れて

申し上げることがあります

当小説は私の過去の経験を思い返しながら書いておりますが

まぁそこは小説、若干のマイナス脚色を付けているところはご了承ください


なお 登場する一切の人物名は

仮名であることを申し添えます
【10】

RE:T字路の行方  評価

もみあげブランコ (2008年09月21日 20時50分)

泣くところは無いと思いますけど・・・


とりあえず応援メッセージとして受け取りました

ありがとうございます
【9】

RE:T字路の行方  評価

§(;。;)§ (2008年09月21日 15時38分)

泣きながら読んでるから がんばってね
【8】

RE:T字路の行方  評価

もみあげブランコ (2008年09月20日 10時11分)

 第六話   初デート


 
 高揚しているのか、約束の15分も前に待ち合わせ場所に着いてしまった

 あの 合コンのようで合コンではなかった宴から2週間後、僕は美香ちゃんを
 いわゆる”デート”に誘った

 口実は「コンサートのチケットがあるから一緒に行こう」というものだった

 元々GLAYのファンの僕は一度は行ってみたいという願望から 見栄を張ってチケットを2枚購入していた

 当日まで誰も一緒に行く人がいなければ同じ寮に住む同僚に売ればいいと…

 その漠然とした購入理由がこんな形で実を結ぶなんて

 
 約束の時間がきた
 ここ、新宿駅東口は相変わらず週末の混雑さをまざまざと見せつけている



 遠くに美香ちゃんが見えた


 
 僕は彼女に向って手を振る

 するとすぐ気づいてくれたようだ


 「あ、おはよう  けっこう待った?」

 「い、いや 僕も今来たとこ」


 オーソドックスな会話を交わし、僕たちは歌舞伎町方面へ歩きだした


 …
 …

 多少会話はするものの、何というかデート的な会話にはまだならない

 
 そりゃそうだ
 だって、直接会うのは2度目なのだから

 初めて会ってから連絡が来るのを半信半疑で待ってたところ

 思いのほかその日中に来た

 「今日はお疲れさまでした あの後は男性群で飲みなおしたのかな?
  早めの解散になっちゃって亜里沙以外は残念がってたよー」
 と

 それがきっかけで今日まで毎日メールをしていた

 コンサートの誘いも

 「え GLAYのチケットあるの?
  絶対行きた〜い」

 という返事で即決だった


 これは

 かなり感触がいいかもな


 僕は信号待ちしながらまたニヤニヤしていた


 ちょうど昼過ぎだったので、僕たちはコマ劇場前にある
 ファーストフード店に入った


 実はというと財布に夏目漱石が2人しかいないのだ

 給料日直前だから無理もない

 僕は幾ばくかの危機感を携えながら、

 「まぁ なんとかなるだろう」と楽観視していた


 ファーストフード店を出た頃

 財布の中の夏目漱石は1人になっていた

 
 「そろそろ向かわないとね」

 コンサートは17時からだ

 僕たちは東京ドームがある水道橋駅を目指した
【7】

RE:T字路の行方  評価

もみあげブランコ (2008年09月20日 09時42分)

・・・。
【6】

RE:T字路の行方  評価

Tバックの行方 (2008年09月19日 21時36分)


























.
【5】

RE:T字路の行方  評価

もみあげブランコ (2008年09月18日 21時28分)

… 早くもスランプか


筆が、筆が進まない

とりあえず保守させて頂きます
【4】

RE:T字路の行方  評価

もみあげブランコ (2008年09月09日 22時04分)

 第四話   思わぬ口撃



 「おはよう」

 

 僕の耳の横で声がした

 あわてて起き上がるとそこに亜里沙がいた


 「ごめんね 昨夜はお世話になりました
 
  今日お昼から用事があるので、これで帰るね」


 「あ、ちょっと」

 そう言い終わるかどうかのタイミングで、亜里沙はドアの向こうに行ってしまった

 
 よく頭の整理がつかず、なんとなく時計を見ると午前8時を過ぎていた

 亜里沙が寝たベッドはキレイに整頓されている


 ふと横のテーブルに目をやると

 そこには一枚のメモ用紙があった



 「おはよ! 昨日は楽しかったね
  また機会あったら飲みに行こうね〜」



 僕は昨日の出来事をトレースした


 交差点…
 横断歩道…

 オシャレなバー
 カラオケ…


  
  !

  
 思い出した

 家に着いてから僕は洗面台でずっと吐いていて

 寝室に行くと亜里沙はもう寝てたんだっけ

 それで仕方ないからリビングのソファで横になって…



 あ〜 なんてもったないことをしたんだ

 きっとあの濃いめのスプモー二が効いたんだろう


 数少ないチャンスを物にできなかった後期思春期の僕は

 「チッ」と舌打ちをした


 
 ♪〜♪〜♪〜
 
 不意にメールの着信音がシンと静まりかえった部屋で鳴り響いた


 「あ、そうそう 覚えてるかどうかわからないけど

  合コンは来週以降でいいかな」


  メールは亜里沙からだった



  合コン?

  そんな約束してたっけ



  僕は昨夜から何か夢を見ているような感じになり

  最近少し多忙気味でもあったのでベッドに転がり込んだ







 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜


 「そうなの〜  雄一郎の部屋って
  いかにも独り暮らしーみたいな 殺風景っていうか…」

 亜里沙の独演がまだ続いていた


 「え? でもその時はコイツ何かしたりしなかったの?」

 先輩がさらにまくしたてる


 「それがひっどいのよー 
  吐いちゃって 吐いちゃって」

 
 もういいだろ。。  ここは合コンだぜ


 「い、いや 別にオレの部屋なんてどうでもいいじゃん
  それよりさ…」


 僕は必死に話題を変えてみることにした

 「いいから黙ってて 
  コップなんかに埃かぶってるんだよ〜」


 もうやめてくれ

 僕は恥ずかしい気持ちから、憤りに変わっていく自分に気づいた

 「ちょっとトイレ」

 いいかげんキレて場の空気を汚してしまいそうだったので
 頭を冷やすために席を立った
【3】

RE:T字路の行方  評価

もみあげブランコ (2008年09月02日 20時48分)

 第三話   スプモー二   


 
 「あたしね ありさっていうの
  亜細亜の「亜」に 里で、さんずいの「沙」ね」


 「ふぅーん」

 「ちょっと〜  名前聞いたらそっちも名乗りなさいよ!」


 やけに勝気な女性だな

 「オレ 雄一郎、オスメスの「雄」で 雄一郎な」

 「…なんか「オス」って感じだもんね」


 天井に大きな扇風機みたいなものが回っているバーの中の
 少々薄暗いカウンターで二人並んで座っていた


 「実はさ、会社の飲み会が早く終わって暇してたんだ
  そしたら亜里沙…  あ、呼び捨て  でもいい?」

 「いいよ  それで?」

 「あぁ そしたら亜里沙が急に視界に飛び込んできて
 気づいたら声かけてた みたいな」

 「それって、ナンパでしょ?  しかも一人で
 よくするの?」

 「い、いやいや なんとなく こう 勢いっていうか」

 「ふぅーん まっ いいや 飲も!」

 
 さっきもしたのにまた乾杯をした

 静かな店にグラスとグラスがぶつかる
 いい音色が響き渡った

 
 亜里沙は友達との用事がキャンセルされたばかりだったらしく
 いわば僕たちは暇人という同士で出会ったらしい


 しばらくするとラストオーダーということで

 お互い一杯ずつスプモー二を頼んだ

 「ねぇ グイっと飲んじゃお」

 亜里沙が好奇心に目を光らせ言った

 「いいのかい? 酔っても知らないぞ」

 「酔わないもーん」


 二人ともほぼ同時にグラスを空け、店を後にした


 「久々にカラオケ行きたいなぁ〜」

 「いいねぇ 行こ」


 …

 …

 …

 
 カラオケから出てきたときには

 亜里沙は千鳥足になっていた


 カラオケの途中で聞いた話しによると

 家は埼玉の草加らしい

 ここからは乗り継いで裕に1時間以上はかかる


 「雄一郎の部屋に行っちゃえ〜」

 「おいおい 今日会ったばかりだぞ?」


 もう亜里沙はタクシーを呼んでいた


 すぐにタクシーは捕まった

 25時もとっくに過ぎただろうか



 僕の家の前に着いた
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