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【749】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 56  評価

さオ (2016年03月25日 10時42分)




ニシ君が勢い良く空振りする度に、 

悲鳴にも似た「あーー…」という声が響いて、 

「オッケー次々!!」という野球部の応援団の声が飛び交った。 


俺も全然関係ないのだが、なぜだか彼にすごく打って欲しい気持ちが湧いて、 

「かっとばせーにーーし!!」と声を張り上げた。 


熱の篭った球場。彼は「カキン!」と快音を響かせ球を跳ね返したが、 

内野ゴロに倒れ、あっという間にスリーアウトとなった。 




試合は終始接戦で手に汗握るものだったが、 

その日「ニシ君」がヒットを放つことはなかった。 


そして、奈央の高校は惜しくも敗北を喫した。 

挨拶をし、1塁側スタンドに駆け寄ってくる野球少年たちは肩を落とし、 

崩れ落ちて泣いている人もいた。 



スタンドの生徒たちも「ありがとーーー!」「おつかれーーー!」と 

声を上げていて、その健闘をねぎらっているようだった。 

遠くでただ、「ミーンミーン」とうるさい蝉の声が聞こえて、スタンドの喧騒に混じりこんだ。 




【748】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 55  評価

さオ (2016年03月25日 10時41分)



 
遥か遠くで、球児たちが元気いっぱいに躍動している。 

どちらの高校が打っても球場全体に「ワアアアア!」という歓声が沸き起こり、 

「パーパーパッパパー!」というブラバンの演奏が高らかに鳴り響く。 


それは見ていてとても爽快なもので、全然関係ない俺も、 

「よっしゃあああ!」「いいぞー!」と声を荒げるほどだった。 


ブラバンの演奏がまた面白くて、 

エヴァの曲だとか、ドラクエの曲みたいのまで吹いてて、 

今はなんでもありなんだなぁ、と聴いていて楽しくなった。 


定番の曲もいいが、知っている曲が流れてくると、何だか嬉しい。 



 
そんな風にして俺も興奮していると、 

『4番、ピッチャー、ニシ、くん』というアナウンスと共に、 

先ほどのあの少年が打席に立った。 


「ああ、ニシ君、エースで4番なのか。すごいなぁ」 

なんて思って、「そりゃ奈央が好きにもなっちゃうわけだ」と笑ってしまった。 


今までの演奏よりも一層力強く「パンパーン!!」と「カモンマーチ」が鳴り響いた。 

勢いのある曲で、応援する側もついつい力が入ってしまう。 

「かっとばせー!ニーシ!ニーシ!」という応援が響き渡る。 

その力強い応援から、奈央の高校がことさらニシ君に期待してるんだな、ということが分かった。 



【747】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 54  評価

さオ (2016年03月25日 10時39分)




球場と言ってもとても簡素な作りで、 

ほとんど屋外運動場のようなものだった。 

両校の応援と、父兄らしき人や他校の野球部?が大勢いて、それなりに観客が来ていた。 


かくいう俺は一塁側近くの外野席のようなところに座って、 

遠くから試合を眺めることにした。 

どうやら、奈央たちの高校は一塁側のスタンドのようで、なかなかの大所帯だった。 


俺は、「そもそもこれ何回戦なんだ」とか疑問に思いつつ、 

頭からタオルをかぶって、おばさんからもらったポカリをグッとあおいだ。 




昼前の良い時間帯で、球場には屋根も何もないから、 

頭上からは嘘みたいに真っ白な日光が降り注いで、 

今にも焼け焦げてしまいそうなほどだった。 


「ミーンミーン」と遠くから聞こえる蝉の声でぼーっとしていると、 

三塁側から「パパパーン!」と「ねらいうち」の演奏が勢い良く始まって、 

「あ、始まったんだな!」と体を起こした。 



【746】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 53  評価

さオ (2016年03月25日 10時37分)



 
30分も車を走らせていれば、目的地である野球場に近づいてきた。 

球場の敷地に入って、「駐車場はどこだ―」なんて言いながら進んでいると、 

奈央が突然「あ、ニシ君!」と外を見て叫んだ。 


俺が「は?」と言って聞き返す前に、 

奈央は「ここでいいから!止めて止めて!」と座席を揺らした。 


俺「帰りは、どうすんの?」 


奈央「終わったらガッコ戻るから、別にいい!」 



奈央は「ありがとね!」と言って勢い良く車から飛び出して行き、 

球場脇にいた数人の野球少年たちの元へと走っていった。 


そして、先頭に居た精悍な顔立ちをした少年と話しているようだった。 




「なるほど―あれが、ニシ君ってわけね」 

俺は、「お守りちゃんと渡せたかなw」なんて思いつつ、 

おばさんから借りた軽自動車を駐車場に停めて、球場へと向かってみた。 


なぜだか知らないけど、俺は妙に楽しくなってしまって、 

ちょっとウキウキした気持ちで球場へと歩いて行った。 




【745】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 52  評価

さオ (2016年03月25日 10時37分)



 
横を見ると、助手席に座る奈央の髪の毛に、キラっと光る髪留めが見えた。 

よく見れば、何かオシャレをしているようにも映った。 


俺「その、髪留めは―」 


奈央「これ?別に……」 


俺「いいんじゃない。似合ってると思うけど」 


奈央「え、本当に?変じゃない?」 


俺はそんな奈央を見てちょっと笑ってしまって、 

「大丈夫、変じゃないから」と答えてあげた。 



 
奈央は、手に何か大事そうに持っていた。 

野球のユニフォームの形をした、お守りのような…そんなものだった。 


俺「それは、お守り?」 


奈央「あ…ま、そんなとこ」 


俺は「ははーん」と思って、微笑ましい気持ちになった。 


奈央がどうしてそこまで時間どおりに行くことに固執していたのか、分かった気がした。 

そう気づくと、自分でもにやけを抑えるのに必死になってしまって、少し大変だった。 







【744】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 51  評価

さオ (2016年03月25日 10時36分)




俺「あのさ、この前はごめんね」 


奈央「え、何が?何かあったっけ…」 


奈央は本当に何のことなのか分かっていないようだった。 


俺「この前、家の庭で対人した時…突然やめちゃってごめんね」 


奈央「ああ…あの時の…」 


奈央「あれは、私も変な事言っちゃったかなって思ってたし…」 


俺「ううん、そんな事ないよ。…だから、ごめん」 


奈央もなんて答えていいのか分からないようで、 

「いや、そんな…」と言ってしばらく黙っていた。 


俺はまた変な空気にしちゃったかな、と思って胸が騒いだ。 




奈央「もし」 


俺「うん?」 


奈央「またああいう事があったら、対人してくれない?」 


奈央「一人でやるより、ずっと練習になったから」 


俺「ああ、いいよ。いい息抜きになるから、声かけて」 


そう言うと奈央は、「うん、よろしくね」と笑みを浮かべて手元のスマホをいじり出した。 



俺も奈央のその表情を見て、なんだか安心した。 

良かった、謝れて。 

結局思いつめていたのは俺の一方的な感情で、 

奈央はずっとずっと、心の広い子だったようだ。 



【743】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 50  評価

さオ (2016年03月25日 10時34分)




初めて乗る車だったので最初は緊張したものの、しばらく運転していれば 

すっかり調子をつかみ、俺の中にも余裕が生まれてきた。 


俺「おばさんの車を借りてきたみたいだけど…いいのかな」 


奈央「お母さんは自転車で仕事に行くから…大丈夫です」 


俺「そっか」 


車内に二人きりという事もあって、なかなか会話は続かない。 


俺は「奈央に謝らないと」と何度も思ったが、それもなかなかに口にできない。 




奈央「あの、なんか…迷惑かけちゃって…すいません」 


俺「え、何が?別に、全然いいよこのくらい」 


俺「こっちも篭もりきりだし、良い気分転換になるよ」 


奈央「そうですか…ありがとうございます」 


俺はその奈央の受け答えが妙にモヤモヤした。 




俺「その敬語みたいな…やめない?」 


奈央「え?」 


俺「言うて2つくらいしか変わらないし、親戚なわけだし…」 


奈央「あ、じゃあ…はい。分かった」 


俺「うん、それでいいよ」 


奈央は戸惑いつつも、俺の提案を受け入れてくれた。 

俺はなんとなく、それがちょっとだけ嬉しかった。 




【742】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 49  評価

さオ (2016年03月25日 10時33分)




おばさん「あのねぇ、1君に迷惑でしょ…」 


奈央「でも他に車出せる人いないんだし、いいじゃん!」 


おばさん「はーもう…この子ったら…」 


おばさんはそう言って、微妙な面持ちで俺の方を見た。 



俺「そういう緊急事態だったら、全然いいですよ」 

俺「大丈夫です、安全運転で行くんでw」 


おばさん「それじゃ悪いけど、このわがままな子連れてってもらえるかしら」 

おばさん「本当に、気をつけてね。急がなくていいからね」 


おばさんはそう言って、俺に車のキーを手渡した。 





 
奈央もバタバタした様子で、急いでカバンやら荷物を持ってくる。 

出かける間際、おばさんが俺と奈央に、 

「暑いから」とペットボトルのポカリをくれた。 


車に乗り込むと、案の定中は蒸し風呂のような熱気に包まれていて、 

奈央が「早く冷房、冷房」と俺を急かした。 


俺「すぐにはクーラー点かないから、ちょっと窓を開けておこう」 


そう言って窓を開けると、外から「ジジジジジジ…」とやかましいくらいの蝉の声が聞こえた。 

入ってくるのは蝉の声ばかりで、ちっとも風は来なかった。 


 

【741】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 48  評価

さオ (2016年03月25日 10時32分)




機をうかがって、どうしたのかと事情を尋ねてみる。 


俺「あの、どうしたんですか…?」 


おばさん「奈央、今日野球の応援だったらしいんだけど、見ての通り寝坊しちゃったのよ」 


俺「ああ、なるほど…」 


おばさん「野球の応援くらい、ちょっと遅刻したっていいんでしょ?」 


おばさんが呆れた様子で奈央に問いかける。 



奈央「だめ!絶対に行かないとなの!」 


まるで見に行かないと死んでしまうとでも言わんばかりに、奈央の語気は荒かった。 


おばさん「何をそんなに怒ってるのか知らないけど…無理なもんは無理よ」 


おばさんにそう言われて、奈央は涙目になって肩を落とした 




 
俺もさすがにそれが見ていられなくて、一言聞いてみる。 


俺「あの、車を出せば間に合うんですか?」 


おばさん「え?まあ、今から電車で行くよりは…」 


俺の言葉を聞いて、奈央がはっとした表情でこちらを見た。 


俺「俺、車の免許ありますし…送っていけないことはないですけど」 


俺がそう言うと奈央はまた一気に勢いづいて、 


「ね、ね、お母さん!いいよね!?」とまくし立てた。 



 

【740】

RE:Hello Again 〜 ...  評価

さオ (2016年03月25日 10時26分)



Pステの営業マンO野w (まんまだ、ギャハハハ)

夜中12時過ぎに来るんじゃねぇよ

チャライ顔しやがって。 ひわいな口ひげ生やしやがってw


で、DVD200枚近く引き上げてきて、、、

  「これ、明日の朝に返却してくださいね♪」

ってwww



まったく、どうなってんだ。 この業界は。


おかげで余計な作業が増えてしまい、しんどかったぜよ。


眠い、だるい。 てか背中痛ぇ





☆ペイちゃん

ヤッホー♪


どこぞのぽんこ2ね、ごめんね。 

>悔しさと情けなさでやりきれない気持ちのPAINTERですw

おもろー

番号踏みたくない!って書いてたよね。 ギャハハハ



自分あれよ、せん○り名人だけどね。 川柳は同じく得意ではないけどさ。


って、きいてないかw ギャハハハ




ぽんちゃんの不在は、ホントさみしいよね。


>(ぽんちゃんの文章)躍動感にあふれてて、毒舌の中にも優しさが見え隠れしてて。
>竹を割ったようなさっぱりした性格が文面からも読み取れる感じ


そうだね、ぺいちゃんがおっしゃるとおりだ。


意外といっては失礼だけど、ぽんちゃん繊細な面もあったからさ。 

ただひとつ懸念してるのは、、、、


ああした形でなにも挨拶できないままに板落ちしてしまったので。

罪悪感みたいなものを感じてないかなぁ、って。

登場したくても、カッコ悪いので登場しづらい、、、みたいな。


考え過ぎかもしれないけど。


もっとええ加減であればいいとおもう。


わりぃ、わりぃ、ごめんよ(*・∀・*)ドヤッ


って言いながら、また登場してほしいな。 


それまではお互いアレだ。 続けていこうね。 ニャハハハ


じゃあ、本日も元気出していこうじゃないか!


あ、それから。


エールありがとう。


それを励みに続けていけそう。  o(*^▽^*)o~♪


じゃあ、またね。





 

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