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【829】 |
さオ (2016年03月31日 12時51分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
奈央「え?」 俺「俺が行きたいんだよ、俺が。だからさ、一緒に行こうよ」 奈央「はー…?」 奈央は返答に困ったららしく、目をきょろきょろさせた。 俺「行こうぜ。自転車で下ればすぐだろ。な、奈央」 奈央は少し「うー…」と首を傾げて考えてから答えた。 奈央「いいよ…」 俺はそれを聞いた瞬間、ぱっと心が晴れて「おっしゃ!」と口走ってしまった。 奈央「いいけどさぁ…ちょっと待ってね」 俺「どうしたん?」 奈央「準備するから、待ってて。分かるでしょ」 そう言われて俺は落ち着かず、家の外の玄関の前に座って、 一人で遠くに打ち上がる花火を眺めていた。 ドン…パラパラ…という音が光から数秒遅れて聞こえてくる。 遠くで小さく瞬くだけの花火は、見ていて物悲しく感じた。 |
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【828】 |
さオ (2016年03月31日 12時50分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
でも今の奈央の表情は…いつもと変わらない様子を見せている奈央の表情は… 俺の心に残したくないな、と感じた。 そんな瞬間、奈央の口からぽろっと言葉がこぼれ落ちた。 奈央「花火…行きたかったな」 その言葉を聞いて、心臓が大きな音を立てたのが分かった。 色々と考えてしまう前に、すぐに口から気持ちを吐き出す。 俺「じゃあ、行こうよ」 奈央「は?何いってんの?」 奈央が右手にぶどうの実を持ったままこちらを見た。 俺「行きたいんだろ。まだ全然間に合うじゃん。」 俺「一緒に行ってこようぜ」 奈央は俺から視線を外して下を向いた。 奈央「え、でも…」 奈央「1だって勉強があるし、もうこれ以上色々迷惑かけれないし」 俺「そうじゃないよ」 俺は強く言い切った。 |
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【827】 |
さオ (2016年03月31日 12時50分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
おばさん「そういえば、今朝ぶどうが取れたんだけど食べて」 そう言っておばさんは居間のテーブルにぶどうを3房ほど出してきた。 俺「これって、もしかして隣の畑のやつですか?」 俺が興奮して聞くと、おばさんは 「そう。1君が奈央と一緒に水あげてくれたやつ」と言って笑っていた。 目の前に出てきた瑞々しいぶどうを見て、少し嬉しくなった。 横にいた奈央に「な、これなんてぶどうなの?」と聞くと、 「巨峰だよ、一番美味しいやつー」と力のない返事をされた。 俺「これって、俺らが水あげたやつだよな?それが食べれるって凄くね!」 俺が興奮してそう言うと、奈央は笑っていた。 奈央「何いってんの、大げさだなぁ」 でも俺は確かに、奈央と二人で水をあげた日の事を思い出していた。 あの時、奈央は大口を開けて笑っていた。 すごく楽しそうだったと思う。 ここに来てから、本当に色んな奈央の表情を見てきた。 大口を開けて楽しそうに笑う姿や、いたずらっぽくにやにや笑う顔、 バレーに対する真剣な眼差しや、落ち込んで下を向いていた表情、 そして土砂降りの中で見せた泣きっ面に、満面の笑顔… その全てが俺の心に強く残っていて、その全てが奈央だった。 そして、その沢山の表情に、俺は動かされ、変わってきていた。 |
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【826】 |
さオ (2016年03月31日 12時49分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
奈央はもしかしたら、夕飯の場に顔を出さないかと思っていたが、 おばさんに呼ばれて居間に下りると、その団欒の中に奈央がいた。 奈央は少し目を腫らしているように見えたが、 家族の中でいつも通りにご飯を食べていた。 ただ、テレビを見ながら力なく笑っている奈央の姿が、俺の胸を騒がせた。 自分でもよく分からないが、いつも通りにしている奈央を見て胸が傷んだ。 夕飯を食べた後、部屋で窓を開けて扇風機を回して勉強をしていた。 すると、外から「ドドドン!」という音が聞こえて、 麓の方角で花火が打ち上がるのが見えた。 「こんなによく見えるんだな」と感激して、すぐに1階へ下りた。 俺「花火、始まりましたね!」 おばさん「そうね、よく見えるでしょ」 縁側では、おじさんとおじいちゃんがガラスの灰皿を置いて、二人でビールを飲んでいた。 テレビの前で、奈央が浮かない様子でスマホをいじっていた。 |
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【825】 |
さオ (2016年03月30日 18時50分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
今日は一旦ここまです。 続きはまた明日書きます。 かなり佳境まできました。 見てくれている人、ありがとう あっし: また職場からうpしたったw どうしてこんなにヒマなんだろう・・・・ 大丈夫か、ここ? 先ほど、なじみ客が一本1200円の小瓶なのにバカ高いローションを3本持ってきて、、、 ・JKの愛液ローション ・JKの本気汁ローション ・JKの性器の匂いローション どれがオヌヌメ? って。 知らんがなっ! ってか、全部ニセモノにきまってるじゃないかwww バカがっ! バカがっ!! (でも、その3本の匂いを比較したい好奇心むくむくw) と、まったりした気分で、、、、やっぱり寝よ。 ギャハハハ |
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【824】 |
さオ (2016年03月30日 18時47分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
奈央「へへ、なんかスッキリした」 奈央は両手で目元をこすっていた。 奈央「まだ、悲しいけどね」 俺「そりゃ、そんなすぐには全部忘れられないよ」 奈央「あれ、まるでそういうことがあったっていう口ぶり」 俺はそう言われて「ないよ」と笑った。 奈央の元へと駆け寄り、「風邪ひくから中入ってすぐ着替えな」と言った。 奈央は俺の顔を真っ直ぐに見上げた。 奈央「ありがとね。こんな事に付き合ってくれて」 そう言う奈央の目は真っ赤に充血して、涙が溜まっていた。 俺「そんな事、気にするなよ。俺はただの居候だしな」 俺がそう言うと、奈央は笑って「そんなことないよ」とつぶやいた。 「なんかめっちゃ鼻水出ちゃったw」 「きたねえな、顔も洗っとけw」 俺たちはそんなやりとりをしながら、家の中へ戻った。 この日この時、俺の前で見せた奈央の表情はずっと忘れることができない。 ただ、この出来事があったから、俺の新しい夢への想いは確信へと変わりつつあった。 もう、昔を思い出して嘆いているだけの俺はいなかった。 前を向こう、これからの未来を考えよう、そんな想いがふつふつと湧いてきていた。 夕方になると分厚く空を覆っていた雲は立ち消え、 気持ちの良い夕空が広がっていた。 東の空は暗闇に溶け込み、西の空は橙色の波を帯びていた。 これならきっと花火大会もあるだろう、そんな風に思った。 |
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【823】 |
さオ (2016年03月30日 18時46分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
何度も何度も、奈央の渾身のボールを受け止める。 打ち続けるうちに、奈央は鼻をすすり始めた。 そして、打ったかと思うと、ボールを真下に叩きつけた。 奈央はそのまま「うあああ」と声を上げて泣き始めた。 叩きつける雨音の中に、奈央の泣く声が入り混じった。 目の前で、雨に打たれて嗚咽している奈央。 手の甲で何度も何度も顔を拭った。 俺はそれを、唇を噛んで見ていることしかできなかった。 奈央は泣き続けた。 泣いても泣いてもおさまらないようで、ずっと声を上げて泣いていた。 しばらくして、不意にボールを拾い上げたかと思うと、 そのまま俺に向かって打ち込んできた。 俺は突然のことで反応できず、ボールをはじいてしまった。 奈央「やった。私の勝ち、だ」 降りしきる雨の中で、奈央は俺に向かって満面の笑顔を見せた。 服も髪も、びしょ濡れになってぐしゃぐしゃの奈央。 けど、その笑顔は俺が今まで出会ってきた中で、飛びきり一番の笑顔だった。 「奈央」 俺は思わず、奈央の名を呼んだ。 |
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【822】 |
さオ (2016年03月30日 18時45分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
奈央「私、ふられちゃったの」 突然核心に触れる言葉が飛び出し、俺は動揺を隠せなかった。 俺「そっか…まあ、そういうこともあるよ」 奈央「何それ」 奈央「もっと気の利いた事言えないの?」 俺は何て言えばいいのか分からなかった。 ただでさえ雨の中で対人をしていて、頭が回らなかったのだ。 奈央を助けてやりたい。助けてやりたい! そして無意識に想いが溢れ出た。 俺「じゃあ、打ってこい!気が済むまで、思いっきり打ってこい!」 俺「俺が全部キャッチすっから!!」 叩きつける雨の中で、奈央がこちらを見て立ち尽くした。 その姿は、何かに怯えているように見えた。 俺はそれを見て胸が張り裂けそうになった。 俺「大丈夫、俺は絶対ここにいるから」 俺「全部、受け止めるから!」 奈央は黙ってボールを掲げた。そして俺の方に向かって思い切り打ち込んだ。 俺はそのまま奈央が打てるように、高々とレシーブを上げた。 天高くボールが舞い上がり、奈央がそのまま腕を振り下ろす。 |
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【821】 |
さオ (2016年03月30日 18時44分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
そしてそのまま、会話を交わすこともなく黙々と対人を続けた。 レシーブする。トスが返ってくる。打つ。トスを上げる。レシーブする… そんなことを何周繰り返した頃だろうか、 ぽつぽつと、雨が降ってきた。 小雨というわけではなく、すぐに勢いのある雨となった。 ただ奈央は、雨が降ってきても対人をやめる素振りは見せなかった。 なので俺も濡れることは気にせず、それに付き合った。 サアア、と雨の音が辺りを包み、蝉の声が消える。 奈央「あは、やったぁ。これだけ雨が降ったら今日の花火は中止かもね」 不意に奈央がしゃべり始めて、雨の中で力のない笑顔を浮かべた。 俺「まあ、そうかもね。花火、行かないの?」 俺がそう質問しても奈央は答えず、再び黙って対人を始めた。 奈央は、俺とラリーを続けながら話し始めた。 奈央「1は、花火大会とか行った事あるの」 俺「そりゃあ、あるさ」 奈央「女の子と一緒に?」 俺「それは言いたくないな」 言いたくないというよりも、女の子と一緒に行ったことはなかった。 だが、そんな事を真正直に言うのも気が引けた。 |
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【820】 |
さオ (2016年03月30日 18時43分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
家に着く頃には俺は息が上がってしまって、朦朧としていた。 山の方から聞こえてくる蝉の声が、頭の中で反響する。 水道と花壇の間に自転車を立てかけて玄関に走ると、 そこには奈央がボールを抱えて座っていた。 俺は「いた…」と言って膝に手をついて息を整えた。 奈央は驚いた様子で俺を見上げた。 奈央「そんなに急いで来たの…?」 俺「だって、対人したいんでしょ?やろうぜ」 俺はぜえぜえと息を上げたまま答えたが、 自分でも質問の答えにはなってないなって分かった。 俺は奈央の肩を叩いて「来いよ!」と庭へと誘った。 奈央も「うん…」と申し訳無さそうに立ち上がった。 奈央が打たずにボールを抱えたまま立ち尽くしていたので、 俺は「来い!思いっきり打っていいよ!」と声をかけた。 奈央はそのまま、黙ってこちらを見てボールを打ち込んだ。 |
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