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【829】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 128  評価

さオ (2016年03月31日 12時51分)




奈央「え?」 


俺「俺が行きたいんだよ、俺が。だからさ、一緒に行こうよ」 


奈央「はー…?」 


奈央は返答に困ったららしく、目をきょろきょろさせた。 



俺「行こうぜ。自転車で下ればすぐだろ。な、奈央」 


奈央は少し「うー…」と首を傾げて考えてから答えた。 

奈央「いいよ…」 


俺はそれを聞いた瞬間、ぱっと心が晴れて「おっしゃ!」と口走ってしまった。 




奈央「いいけどさぁ…ちょっと待ってね」 


俺「どうしたん?」 


奈央「準備するから、待ってて。分かるでしょ」 



そう言われて俺は落ち着かず、家の外の玄関の前に座って、 

一人で遠くに打ち上がる花火を眺めていた。 


ドン…パラパラ…という音が光から数秒遅れて聞こえてくる。 


遠くで小さく瞬くだけの花火は、見ていて物悲しく感じた。 



【828】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 127  評価

さオ (2016年03月31日 12時50分)




でも今の奈央の表情は…いつもと変わらない様子を見せている奈央の表情は… 

俺の心に残したくないな、と感じた。 

そんな瞬間、奈央の口からぽろっと言葉がこぼれ落ちた。 


奈央「花火…行きたかったな」 


その言葉を聞いて、心臓が大きな音を立てたのが分かった。 

色々と考えてしまう前に、すぐに口から気持ちを吐き出す。 



俺「じゃあ、行こうよ」 


奈央「は?何いってんの?」 


奈央が右手にぶどうの実を持ったままこちらを見た。 


俺「行きたいんだろ。まだ全然間に合うじゃん。」 

俺「一緒に行ってこようぜ」 


奈央は俺から視線を外して下を向いた。 


奈央「え、でも…」 

奈央「1だって勉強があるし、もうこれ以上色々迷惑かけれないし」 


俺「そうじゃないよ」 


俺は強く言い切った。 



【827】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 126  評価

さオ (2016年03月31日 12時50分)




おばさん「そういえば、今朝ぶどうが取れたんだけど食べて」 

そう言っておばさんは居間のテーブルにぶどうを3房ほど出してきた。 


俺「これって、もしかして隣の畑のやつですか?」 

俺が興奮して聞くと、おばさんは 

「そう。1君が奈央と一緒に水あげてくれたやつ」と言って笑っていた。 




目の前に出てきた瑞々しいぶどうを見て、少し嬉しくなった。 

横にいた奈央に「な、これなんてぶどうなの?」と聞くと、 

「巨峰だよ、一番美味しいやつー」と力のない返事をされた。 


俺「これって、俺らが水あげたやつだよな?それが食べれるって凄くね!」 

俺が興奮してそう言うと、奈央は笑っていた。 

奈央「何いってんの、大げさだなぁ」 




でも俺は確かに、奈央と二人で水をあげた日の事を思い出していた。 

あの時、奈央は大口を開けて笑っていた。 


すごく楽しそうだったと思う。 

ここに来てから、本当に色んな奈央の表情を見てきた。 


大口を開けて楽しそうに笑う姿や、いたずらっぽくにやにや笑う顔、 

バレーに対する真剣な眼差しや、落ち込んで下を向いていた表情、 

そして土砂降りの中で見せた泣きっ面に、満面の笑顔… 


その全てが俺の心に強く残っていて、その全てが奈央だった。 


そして、その沢山の表情に、俺は動かされ、変わってきていた。 




【826】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 125  評価

さオ (2016年03月31日 12時49分)




奈央はもしかしたら、夕飯の場に顔を出さないかと思っていたが、
 
おばさんに呼ばれて居間に下りると、その団欒の中に奈央がいた。 


奈央は少し目を腫らしているように見えたが、 

家族の中でいつも通りにご飯を食べていた。 


ただ、テレビを見ながら力なく笑っている奈央の姿が、俺の胸を騒がせた。 

自分でもよく分からないが、いつも通りにしている奈央を見て胸が傷んだ。 




夕飯を食べた後、部屋で窓を開けて扇風機を回して勉強をしていた。 

すると、外から「ドドドン!」という音が聞こえて、 

麓の方角で花火が打ち上がるのが見えた。 


「こんなによく見えるんだな」と感激して、すぐに1階へ下りた。 


俺「花火、始まりましたね!」 


おばさん「そうね、よく見えるでしょ」 


縁側では、おじさんとおじいちゃんがガラスの灰皿を置いて、二人でビールを飲んでいた。 

テレビの前で、奈央が浮かない様子でスマホをいじっていた。 



【825】

中断9  評価

さオ (2016年03月30日 18時50分)



今日は一旦ここまです。 

続きはまた明日書きます。 


かなり佳境まできました。 

見てくれている人、ありがとう 






あっし:


また職場からうpしたったw

どうしてこんなにヒマなんだろう・・・・


大丈夫か、ここ? 




先ほど、なじみ客が一本1200円の小瓶なのにバカ高いローションを3本持ってきて、、、


  ・JKの愛液ローション

  ・JKの本気汁ローション

  ・JKの性器の匂いローション



どれがオヌヌメ?


って。


知らんがなっ! ってか、全部ニセモノにきまってるじゃないかwww


バカがっ! バカがっ!! (でも、その3本の匂いを比較したい好奇心むくむくw)



と、まったりした気分で、、、、やっぱり寝よ。 ギャハハハ








 

【824】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 124  評価

さオ (2016年03月30日 18時47分)




奈央「へへ、なんかスッキリした」 

奈央は両手で目元をこすっていた。 


奈央「まだ、悲しいけどね」 


俺「そりゃ、そんなすぐには全部忘れられないよ」 


奈央「あれ、まるでそういうことがあったっていう口ぶり」 


俺はそう言われて「ないよ」と笑った。 

奈央の元へと駆け寄り、「風邪ひくから中入ってすぐ着替えな」と言った。 

奈央は俺の顔を真っ直ぐに見上げた。 


奈央「ありがとね。こんな事に付き合ってくれて」 


そう言う奈央の目は真っ赤に充血して、涙が溜まっていた。 





俺「そんな事、気にするなよ。俺はただの居候だしな」 

俺がそう言うと、奈央は笑って「そんなことないよ」とつぶやいた。 

「なんかめっちゃ鼻水出ちゃったw」 

「きたねえな、顔も洗っとけw」 

俺たちはそんなやりとりをしながら、家の中へ戻った。 


この日この時、俺の前で見せた奈央の表情はずっと忘れることができない。 


ただ、この出来事があったから、俺の新しい夢への想いは確信へと変わりつつあった。 


もう、昔を思い出して嘆いているだけの俺はいなかった。 


前を向こう、これからの未来を考えよう、そんな想いがふつふつと湧いてきていた。 




夕方になると分厚く空を覆っていた雲は立ち消え、 

気持ちの良い夕空が広がっていた。 


東の空は暗闇に溶け込み、西の空は橙色の波を帯びていた。 


これならきっと花火大会もあるだろう、そんな風に思った。 



 

【823】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 123  評価

さオ (2016年03月30日 18時46分)




何度も何度も、奈央の渾身のボールを受け止める。 

打ち続けるうちに、奈央は鼻をすすり始めた。 


そして、打ったかと思うと、ボールを真下に叩きつけた。 

奈央はそのまま「うあああ」と声を上げて泣き始めた。 

叩きつける雨音の中に、奈央の泣く声が入り混じった。 


目の前で、雨に打たれて嗚咽している奈央。 

手の甲で何度も何度も顔を拭った。 

俺はそれを、唇を噛んで見ていることしかできなかった。 




奈央は泣き続けた。 

泣いても泣いてもおさまらないようで、ずっと声を上げて泣いていた。 


しばらくして、不意にボールを拾い上げたかと思うと、 

そのまま俺に向かって打ち込んできた。 

俺は突然のことで反応できず、ボールをはじいてしまった。 




奈央「やった。私の勝ち、だ」 

降りしきる雨の中で、奈央は俺に向かって満面の笑顔を見せた。 


服も髪も、びしょ濡れになってぐしゃぐしゃの奈央。 

けど、その笑顔は俺が今まで出会ってきた中で、飛びきり一番の笑顔だった。 



「奈央」 


俺は思わず、奈央の名を呼んだ。 


 

【822】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 122  評価

さオ (2016年03月30日 18時45分)




奈央「私、ふられちゃったの」 

突然核心に触れる言葉が飛び出し、俺は動揺を隠せなかった。 


俺「そっか…まあ、そういうこともあるよ」 


奈央「何それ」 

奈央「もっと気の利いた事言えないの?」 

俺は何て言えばいいのか分からなかった。 



ただでさえ雨の中で対人をしていて、頭が回らなかったのだ。 

奈央を助けてやりたい。助けてやりたい! 

そして無意識に想いが溢れ出た。 



俺「じゃあ、打ってこい!気が済むまで、思いっきり打ってこい!」 

俺「俺が全部キャッチすっから!!」 


叩きつける雨の中で、奈央がこちらを見て立ち尽くした。 

その姿は、何かに怯えているように見えた。 

俺はそれを見て胸が張り裂けそうになった。 


俺「大丈夫、俺は絶対ここにいるから」 

俺「全部、受け止めるから!」 


奈央は黙ってボールを掲げた。そして俺の方に向かって思い切り打ち込んだ。 

俺はそのまま奈央が打てるように、高々とレシーブを上げた。 


天高くボールが舞い上がり、奈央がそのまま腕を振り下ろす。 

 

【821】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 121  評価

さオ (2016年03月30日 18時44分)




そしてそのまま、会話を交わすこともなく黙々と対人を続けた。 

レシーブする。トスが返ってくる。打つ。トスを上げる。レシーブする… 


そんなことを何周繰り返した頃だろうか、 

ぽつぽつと、雨が降ってきた。 

小雨というわけではなく、すぐに勢いのある雨となった。 


ただ奈央は、雨が降ってきても対人をやめる素振りは見せなかった。 

なので俺も濡れることは気にせず、それに付き合った。 





サアア、と雨の音が辺りを包み、蝉の声が消える。 


奈央「あは、やったぁ。これだけ雨が降ったら今日の花火は中止かもね」 

不意に奈央がしゃべり始めて、雨の中で力のない笑顔を浮かべた。 


俺「まあ、そうかもね。花火、行かないの?」 


俺がそう質問しても奈央は答えず、再び黙って対人を始めた。 




奈央は、俺とラリーを続けながら話し始めた。 

奈央「1は、花火大会とか行った事あるの」 


俺「そりゃあ、あるさ」 


奈央「女の子と一緒に?」 


俺「それは言いたくないな」 


言いたくないというよりも、女の子と一緒に行ったことはなかった。 


だが、そんな事を真正直に言うのも気が引けた。 



 

【820】

夢を捨てた俺に忘れない夏が来た 120  評価

さオ (2016年03月30日 18時43分)




家に着く頃には俺は息が上がってしまって、朦朧としていた。 

山の方から聞こえてくる蝉の声が、頭の中で反響する。 


水道と花壇の間に自転車を立てかけて玄関に走ると、 

そこには奈央がボールを抱えて座っていた。 

俺は「いた…」と言って膝に手をついて息を整えた。 


奈央は驚いた様子で俺を見上げた。 


奈央「そんなに急いで来たの…?」 


俺「だって、対人したいんでしょ?やろうぜ」 


俺はぜえぜえと息を上げたまま答えたが、 

自分でも質問の答えにはなってないなって分かった。 



俺は奈央の肩を叩いて「来いよ!」と庭へと誘った。 

奈央も「うん…」と申し訳無さそうに立ち上がった。 


奈央が打たずにボールを抱えたまま立ち尽くしていたので、 

俺は「来い!思いっきり打っていいよ!」と声をかけた。 

奈央はそのまま、黙ってこちらを見てボールを打ち込んだ。 


 

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