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【680】 |
Normad (2014年05月02日 20時21分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
「さっきの話だけど、アルフィーネさんは貴方を信頼してないのかしら。 自分が出来る人だからって、全部やってしまったらその人は成長しないと思うのよね。」 外見は若い少女のケイトが、急に大人びた事を言い始めた。 この世界では外見は本当の年齢を示唆しないが、ウーズバンドはなんとなく ケイトの年齢はその容姿にあったものだと思っていた。 「このエリアのシステムと同じね。確かに良く出来ているわ。 半永久的な地熱エネルギーを使って、メンテナンスフリーのプラントが電力を無期限に供給する。 そして多くの人がそれを享受する。 アルフィーネさんの有り余る才能を享受している、今の貴方と同じ構図よ。」 ここで、ケイトの声の調子が変わった。 冷たく透き通る声となり、ウーズバンドの心を貫くように言い聞かせる。 「それでは、人は退化して行くと思わない? 無償で与えられるエネルギーを使って一生を遊んで暮らしたって、それが生きたと言えるのかしら。」 ウーズバンドは黙って聞いていながら、その主張がどこかで見たものに酷似していると思った。 そうだ「ニーベルングの指環」の声明文と、言わんとする事は同じだ。 その言葉の意味は、どこかウーズバンドの心をきりきりと締め付ける所があった。 「僕はこの主張をどこかで以前聞いた事がある。しかも、身近の人間に。」 ウーズバンドはそれがどこで、誰に聞いたのか思い出そうとしたが、思い出せなかった。 そんなウーズバンドに、ケイトが追い討ちをかけるように言う。 「結局、アルフィーネさんは、貴方を利用しているだけなんじゃないかしら。 貴方を連れて歩くというのも、何か目的がある事なんではなくて。」 ウーズバンドは少し心あたりがある事を感じながらも 「そんな事はないと思います。」とだけ答えた。 だが、心は急速にケイトに傾きつつある。 ケイトはそんなウーズバンドを冷静に観察しながら、ここを押せば落ちる、と確信した。 「貴方も、ここの人達も、それぞれに利用されているだけなんだわ。 貴方はアルフィーネさんに、ここの人達はこのエリアの主導者に。 そして、従ったまま一生を終える。 何一つ、自分の力で成し遂げられないままにね。」 「それではいけない。自立しなければならないんだわ。 ウーズバンド、貴方、私と一緒に来ない? そうすれば、与えられるものではない、本当の貴方の生活を取り戻せるわ。」 ここまで来ると、流石に勘の鋭くないウーズバンドにも分かって来た。 そうか、ケイトのバックはニーベルングの指環なのか。 ウーズバンドはケイトの顔を見た。 もともとの美貌に加え、確信に満ちた態度が彼女の顔を一際輝かせている。 彼は、このきらびやかな場所とは違う安いキャンティーンに集まる、暗い顔をしたエリアの住民達を思い出した。 僕も、いつもああいう顔をしているのだろうか。 そんな事を思い、ウーズバンドは引き込まれるように「行きたいです。」と言っていた。 アルフィーネを裏切るのは辛いが、ケイトと行けば自分が生まれ変われるような気がする。 「大丈夫。心配する事はないわ。私のボスは貴方を歓迎する。実はこの近くまで迎えに来ているのよ。」 ケイトは止めとばかりに優しい言葉をかける。 「かかった。」心の中で舌なめずりした。 「貴方も考える時間が必要でしょう。明後日よ。私は午前8時にI218地区の正門の前で待つわ。 記録はする必要はないけど、ちゃんと憶えてね。 いい、誰にも言わずに必ず一人で来るのよ。自立するためには、それが必要だわ。」 頷いたウーズバンドは、その時ケイトが悪魔的な笑いを浮かべていた事を知らない。 (続く) |
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【679】 |
Normad (2014年05月02日 20時19分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
「あら、お腹が空いたでしょう。 料理を運ばせるわ。ここの料理は美味しいので有名なのよ。」 彼女は立ち上がると手を叩いてサンドレを呼び、料理を持ってくるよう店に言いなさいと告げた。 ウーズバンドは、改めて部屋の中を見渡した。 天井には、豪華なシャンデリアが吊り下げられている。 テーブルも、イミテーションかもしれないが大理石風である。 このエリアの特権階級の人物が利用する場所に違いない。 ケイトがここを使えるのはパトロンの肝入りなのだ、とウーズバンドは思った。 運ばれた料理は高級なものばかりで、ウーズバンドは見た事もないものだった。 今までどこのエリアでも、アルフィーネと行く店は質素な所ばかりで、特にアルフィーネは 食べたかどうかわからないほど少食で、食には全く無頓着だった、とウーズバンドは思いかえす。 ウーズバンドは、その料理の一つ一つの美味しさに絶句した。 食べ物って、こんなにも美味しいものがあるのか。 それは、ケイトに初めて会った時の「こんなにも綺麗な子がいるのか」という感動にも通じて 彼の心を痺れさせる。 世界が違う、そう思った。 (続く) |
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【678】 |
Normad (2014年05月02日 20時16分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
「ねえ。貴方はここのあの区域に住んでいるみたいだけど、何か重要な仕事をしているの?」 ケイトは甘い声で囁く。 「いいえ。僕は、一応IEMOの職員なんですけど何も出来なくて。 ただアルフィーネさん、と言う人について来てるだけなんです。」 ウーズバンドは正直に答えた。彼の心の中には見栄を張るという心理は無い。 「そのアルフィーネさん?女性ですよね。どういう関係なんですか。」 ケイトはあくまで積極的にウーズバンドの身の上を聞いて来る。 ウーズバンドは気おされて正直に答えるしかなかった。 「僕を助けてくれた恩人なんです。 それからも、僕には身寄りがないので、ずっと僕を連れてあるいて下さいます。 保護者のようなものなんです。」 最後は言い訳のような感じがして、ウーズバンドは少し赤面した。 「そう。お姉さんのようなものなのかしら。」 ケイトはわざと気になるそぶりをする。 「いいえ。お姉さんと言うよりは、先生です。 僕は何も知らないから、アルフィーネさんの言う通りじゃないと何もできません。」 そう俯きながら話すウーズバンドを、ケイトは探るように見ている。 話が終わるのを待って、励ますように言った。 「そんな事はないと思うわ。きっと、ちゃんと教えられていないだけよ。 その、アルフィーネさんという方は、貴方にきちんと教えてくれているの?」 「はい。ただ、僕のもの覚えがとても悪いので、いつも迷惑ばかりかけちゃうんです。 アルフィーネさんは何でもできる人なので、問題をすぐ解決してくれますけど。」 ウーズバンドはケイト主導のこの会話が、アルフィーネとの関係を洗い出して行くのを少し変に思ったが それを指摘してケイトの機嫌を損ねるような事はしたくなかった。 (続く) |
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【677】 |
Normad (2014年05月02日 20時12分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
ウーズバンドの心は晴れない。 僕はどうしてここに居るのだろう、なんの役にも立たないのに、と、そればかり考える。 そんな彼に声をかける者がいた。 「ウーズバンドさん、どちらに向かわれますか。」 サンドレだった。 「サンドレさん、僕は今日、お昼から休みを貰って自分の部屋に帰るところです。」 ウーズバンドは力なく答える。 「そうですか。それは丁度良い。ケイトも今日は出番ではないので時間がありますよ。 ご一緒にどうですか。」 サンドレは嬉しそうに言うと、ウーズバンドの様子を見ている。 「ケイトさんが。でも、あまり遠くへは行けませんけど。」 ウーズバンドの顔はパッと明るくなったが、すぐにアルフィーネの言葉を思い出した。 「いいえ。今日はキャンティーンの中に個室を取ってあります。 そこで思う存分、ケイトと話をしてあげて下さい。 ケイトも喜びますよ。」 サンドレがそう言うと、ウーズバンドは頷いた。 ウーズバンドが案内されたのは、コントロール棟を抜け、少し離れた場所にある キャンティーンの奥まった所の豪華な部屋だった。 その部屋のソファーに、ケイトが座っている。今日は純白のドレスを着ていた。 ウーズバンドは眩しい思いでケイトを見た。 真っ黒なビロードのドレスを着ている時とは、印象が全く違う。 怪しげな美しさが漂っていた前回の出会いに比べ、今回は明るい室内とも相まって 純粋な少女の健康的な美しさを放っている。 「来てくれてありがとう。」 ケイトは立ち上がり、今回も右手を差し出した。 ウーズバンドはその手をそっと握りながら、冷たい手だな、と改めて思った。 ケイトは、座って、と手で合図し、ウーズバンドが向いに座ると、自分も腰をおろした。 サンドレはいつの間にか姿を消している。 「実は私、この場所を明後日に発って、別のエリアに向かう事になったの。お店が変わるのよ。 その前に貴方に会いたかった。」 そう言いながら大きな瞳でケイトはウーズバンドを見つめる。 ウーズバンドは何か胸の奥が熱くなるような気がして、下を向いてしまった。 ケイトがどんな店でどのような仕事をしているのか知りたかったが、それを聞く勇気はなかった。 (続く) |
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【676】 |
Normad (2014年05月02日 20時08分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
あの日からすっと、ウーズバンドはケイトの面影を追っていた。 オペレーションルームで作業をしていても、遅々として捗らない。 その様子にアルフィーネは気が付いて居る様だが、特に何も言わなかった。 ウーズバンドの作業が遅れる為、オペレーションルーム内で不満の声が漏れる事が2、3日続いた。 ウーズバンドは次第に追い込まれた気持ちが募っていく。 そして 「アルフィーネさんの庇護がないとこうまで自分は役に立たないのか。」 そういう思いが強まっていった。 それと同時に、もう一度ケイトに会いたい気持ちも強まって行く。 彼の心は千々に乱れ、いつ分解するか分からない状態になって行った。 ある日、作業しているウーズバンドに、ヨウコが近づいて来て言った。 「ウーズバンドさん、ここの解析間違ってます。パラメータセット、別なのを使ってますよ。 いったいどうしたんですか。」 ウーズバンドは消え入りそうな声で謝る。「すみません。」 そこへ、チェンがやって来て指摘した。 「そこが間違っているとなると、その後の分もやり直しだな。 困るな。君の作業のせいで全体の進捗も5%遅れている。 これが続くようなら、今日の会議にかけなければならない。」 チェンは少し感情的になって声が高まった。 回りの人間は一斉に緊張した顔になり、そちらの方を見る。 チェンが腕を組んでヨウコと共に、ウーズバンドを見ている。 ウーズバンドは居た堪れない気持ちで下を向いていたが、いつまでも解放してくれる気配は無かった。 アルフィーネは少し離れた所に居たが、そのやりとりを耳にすると手早く作業を切り替えた。 ものの5分とかからず作業を終え、チェンに声をかける。 「そこのシーケンスはやり直したわ。そちらの連絡用フォルダに送ってあります。確認して下さい。」 「あ。そうですか。」 チェンはアルフィーネの方を見ると、組んでいた腕をほどいて端末に駆け寄った。 手早く操作すると、確認を終える。 「さすがアルフィーネさん、完璧です。」 チェンは嬉しそうに答えると、ウインクをしてその場を離れていった。 ヨウコもアルフィーネに笑いかけ、自分の席に戻って行く。 アルフィーネは、ウーズバンドに目配せをして声をかけた。 「少し、疲れているようね。そうね、今日の午後は休んでいいわ。 その分は私がやります。あと、ウーズバンド。」 アルフィーネは、ウーズバンドを廊下に連れ出して小声で言った。 「今日も私は遅くなると思うけど、少し気晴らししていらっしゃい。 でも、くれぐれもこの棟から離れないで。お願いね。」 ニコリと笑いかける。ウーズバンドは頷くと、自室に向かって廊下をとぼとぼと歩き始めた。 アルフィーネはその後ろ姿を不安げに見送った。だが、ユビの監視を怠るわけには行かない。 溜息をついてオペレーションルームへと引き返した。 (続く) |
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【675】 |
Normad (2014年05月02日 20時04分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
さて、小説を連載している事を忘れてしまいそうなNormadですが(^^;) 再開します。 今日は8章終わりまで。 |
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【674】 |
Normad (2014年05月02日 15時20分) |
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これは 【673】 に対する返信です。 | |||
コラー、行ってないぜよ。 桜を見に行った。 ま、いつもの桜だった。 終り。 さ、記憶の桜を愛でながら宴会や。 |
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【673】 |
reochan (2014年05月02日 13時25分) |
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これは 【672】 に対する返信です。 | |||
うん。うん。(*^_^*) 今日はあったかいよー♪ たまには、イイんじゃない?^^ 行かないと、勝てない。(*´ω`*) |
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【672】 |
Normad (2014年05月02日 11時32分) |
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これは 【671】 に対する返信です。 | |||
おはよう。 まだちょっと肌寒いけど、いい天気。 桜を見に行こうか。 とも思うけど、出かけると危ないにゃあ(^^;) ☆レオちー >なんか、返事こわいから、イラン。 へっ? レオちー【666】見た? それとも、その事ではないのかな? ま、どっちでもいいや。 レオちーと友達でなくなるなんて訳ないじゃん。 レオちーの方から離れて行かない限り。 もう、あんな思いは嫌だし(-_-) そ、 今の想いは お き ら く お気楽に過ごそうぜ。 |
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【671】 |
reochan (2014年05月02日 11時00分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
おはようー♪´ω`*) 昨日はごめんね。トピ主さんに迷惑かけちゃった! さんはなさんの優しさに、ついつい甘えてしまったぉ。^^; ノマたんとは、やっぱ、ずっと友だちでいたいぉ。(*´ω`*) なんか、返事こわいから、イラン。 |
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