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【136】 |
綺華 (2014年11月21日 20時17分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
(その1は、【88】) これまでの流れからいって予想はつくけど、 そこに俺の名前を書いてる奴は、一人もいなかった。 なるほどね、と俺は妙に納得してしまった。 一番輝いて見えた小学時代さえ、この有様だ。 ただ、ひとつだけ救いはあった。 例の幼馴染だけどさ、あの子だけは、 「一番のお友達」にこそ指名しなかったけど、 手紙の文中で俺の名前を出してくれてたんだ。 いや、これを救いと捉えるのも相当むなしい話だが。 自分の手紙と幼馴染の手紙だけ抜きとると、 俺はタイムカプセルを元あった場所に埋め直した。 去り際、ミヤギがタイムカプセルを埋めた場所の上に立って、 地面を足でとんとんと均していたことを覚えてる。 |
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【135】 |
綺華 (2014年11月21日 20時16分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
(その1は、【88】) 結局タイムカプセルが見つかったのは、 穴を掘りはじめてから三時間後くらいで、 その頃にはスコップを握る両手はマメだらけ、 身体は汗まみれ、靴は泥だらけだった。 街灯の下に行って、俺はタイムカプセルを開けた。 自分の手紙だけ取りだそうと思ってたんだが、 ここまで苦労したんだし、いっそのこと、 全部に目を通しちまおうって俺は考えた。 顔も覚えてないようなクラスメイトの手紙を開く。 その瞬間まで俺は完全に忘れてたんだが、 手紙には、最後に、こういう欄があったんだよ。 「一番のお友達は誰ですか」っていう欄がさ。 |
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【134】 |
綺華 (2014年11月21日 20時15分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
(その1は、【88】) そこで俺は思ったんだよ。どうせ誰も掘り出さないなら、 俺一人でタイムカプセルを掘り出してやろう、ってさ。 そういうノスタルジックでロマンチックで、 甘い感傷に浸らせてくれるものを俺は求めていた。 夜中になると、俺は電車で小学校に向かった。 スコップを納屋から拝借してくると、 俺は体育館の裏に行って、穴を掘りはじめた。 すぐに見つかるもんだと思ってたんだけど、 案外埋めた場所って覚えてないもんでさ。 ミヤギは、穴を掘り続ける俺を、 近くに座ってぼうっと眺めてた。 なんとも奇妙な光景だっただろうな。 |
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【133】 |
綺華 (2014年11月21日 20時14分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
(その1は、【88】) 手紙なんて書くのは久しぶりだな、と思った。 最後にまともな手紙を書いたのはいつだろう? 俺は記憶を探る。おそらくそれは、小六の夏。 あの夏、クラスの皆でタイムカプセルを埋めたんだ。 銀色の球形のカプセルに、当時の宝物ひとつと、 未来の自分への手紙を入れたんだよな。 皆、一生懸命書いてたな。案外面白いんだよ、あれ。 二十歳になったらそれを掘り出そうって決めてたけど、 今のところ、何の連絡もきていなかった。 俺だけに連絡がきてないってことも考えられるが、 十中八九、係のやつが忘れちまったんだろう。 |
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【132】 |
綺華 (2014年11月21日 20時14分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
(その1は、【88】) 夕暮れになって、俺は目を覚ました。 にわかには信じられないかもしれないが、 もともと俺はかなり真面目な性格なんだ。 十二時に寝て六時に起きるのが基本でさ。 夕焼けに照らされて目覚めるってのは、新鮮な感じだった。 部屋のすみを見ると、ミヤギは変わらずそこにいた。 いつの間にかシャワーを浴びたらしく、 近くを通った時にせっけんの匂いがした。 同じ俺の部屋なのに、ミヤギのいる周辺だけは まったく異質の空間みたいな感じがしたな。 俺は例のリストを眺め、今日は遺書を書くことに決めた。 近所の商店で便箋を買ってくると、俺は万年筆を手に取った。 |
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【131】 |
綺華 (2014年11月21日 20時13分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
(その1は、【88】) 「なあ、さっきは怒鳴って悪かった」と俺は言った。 「確かに、あんたの言う通りだったんだ。 俺は適当な嘘でもついて、さっさと店を出るべきだった」 「そうですね」とミヤギはこっちを見ずに答えた。 「それを書き終えたら、一緒に飲まないか?」 「飲んで欲しいんですか?」と彼女は聞きかえしてきた。 「そりゃもうな。寂しいから」と正直に答えると、 「悪いですけど、仕事中なんで無理です」と断られた。 じゃあ最初からそう言えよって話だよな。 夜が明けてきて、小鳥のさえずりが聞こえ始める。 ミヤギは一分寝て五分起きるみたいなサイクルで 俺のことを監視しているようだった。 なんつうか、タフだよな。俺にはとてもできそうもない。 |
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【130】 |
綺華 (2014年11月21日 20時12分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
(その1は、【88】) 俺は夜道を歩いて帰った。酔いはすっかり醒め、 体調は悪いくせに、目は冴えまくっていた。 ちっとも眠れそうになくて、俺はテレビを見ようと思ったが、 そういえば自分でグラスをぶつけて破壊したんだった。 幸い音だけは出るみたいだったから、 俺はそれを巨大で不親切なラジオだと思うことにした。 缶ビールを開けて、プリッツをつまみに飲む。 ミヤギは俺の観察記録を書いているようだった。 俺のレストランでの愚行について書いてるんだろうな。 |
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【129】 |
綺華 (2014年11月21日 20時11分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
(その1は、【88】) 俺は耐えられなくなってきてさ。 友人の話は露骨な自慢話になっていくし、 隣ではミヤギがぼそぼそ俺に話しかけてくる。 俺は二人に同時に話しかけられるのが大嫌いで、 そういうことをされると、頭が破裂しそうになるんだ。 で、あっさりと限界を迎えた。 まあ、ただでさえ余裕がなかったのもあったんだろうな。 気が付くと、俺はミヤギに「黙ってろ!」って怒鳴ってたんだ。 店内が静まり返ったな。数秒後、一気に血の気が引いて行った。 友人に何か言われる前に、俺は金を置いて席を立った。 いよいよ精神異常者みたいになってきてたな。 こりゃ三十万しかもらえないわけだ。 |
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【128】 |
綺華 (2014年11月21日 20時10分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
(その1は、【88】) 高校時代、俺たちは不満の塊だった。 ことあるごとに二人でマクドナルドに居座って、 何時間でも愚痴を言い合ったもんだった。 多分、当時の俺たちが本当に言いたかったのは、 「幸せになりてえなあ」の一言だったんだろう。 でもそれを口にするのが怖くて、俺たちは、 何時間も呪詛を吐いてうさ晴らししてたんだ。 しかし、久しぶりに顔を合わせた友人は、 たしかに愚痴こそ言うものの、あの頃とは 何かが根本的に変わってしまっていた。 なんていうか、それは現実的で妥当な愚痴なんだな。 あの頃の理不尽で非現実的で的外れな愚痴とは違う。 今の彼が口にするのは、バイト先の愚痴とか、 彼女の愚痴とか、そういうのなんだ。 |
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【127】 |
綺華 (2014年11月21日 20時09分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
(その1は、【88】) 俺は目線を上げてウェイトレスの顔を見た。 「うわあ……」って目で俺のことを見てたね。 これはやっちまったな、と思った。 しばらく恥ずかしさで顔が真っ赤だった。 こうなると、友人に女の子を自慢するという ささやかな夢も叶わなくなったわけだ。 二重にも三重にも惨めだったな。 俺の場合、寿命や健康や時間なんかより、 惨めさを売った方がよっぽど金になりそうだ。 もう帰っちまおうかとも思ったけど、 そこにちょうど友人が現れちまったんだ。 俺たちは大袈裟に再会の喜びを分かち合った。 半分ヤケだったな。もう正直どうでもよかったんだよ。 (注: 他の人に見えてないのに、なんでスーパーで買い物できるのか??? そうした疑問もったかもですが。 気にしないで。 アハハハ ) |
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