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【34】

RE:放浪記・第6話  評価

元パチプロK (2003年10月30日 00時20分)

「天井については誰も気づいていない。これは使えるかも。」
そう思って、自分自身のデータを集計し、さらにピーピングのデータも増やして、ある仮説をたてることに成功した。

1.天井ATは1200ゲームハマった後のスイカまたはビックボーナス後に必ず発動する。
2.天井ATは必ず2連し(獲得枚数は約350枚)、それ以上続くことはない。
3.天井ATのハマリはビック間であり、途中でBARをひいても関係しない。
4.天井ゲーム数は電源OFFや設定変更により、クリアされない。

この仮説は、この後約2週間後に発売されたスロ雑誌によってほぼ正しいことが証明された。
ただし、そのスロ雑誌の記事はひとつ間違っていた。
そのスロ雑誌には、設定変更をすると天井はクリアされると書いてあったが、実際はそうではなく、RAMクリアしないと天井もクリアされなかったのである。(この雑誌では後に訂正記事が出た。)

この仮説で、特に3と4は重要で、つまり、1と2の内容は知っているが3と4の内容は知る人がほとんどいない中で、自分ひとりが有利に立ち回ることができたのである。
 
天井ATの存在を確信した後、ハイエナ作戦に切り替えた。
ハローワークのことなど、いつの間にか忘れてしまっていた。
その作戦とは、まず午後3時頃ホールに現れ、900ゲーム以上ハマッた台を見つけることから始める。
台が見つかったら、1200ゲームを目安にして回す。1200ゲーム以内にビッグをひいた場合には、ビッグ終了後ATの潜伏がないことを確認して即止め。1200ゲーム以上ハマッたときは、スイカまたはビックをひけばAT発動になるので、天井AT終了後に即止めである。
(天井ATは消化するのに100ゲーム以上かかるので、その間にボーナスをひくこともしばしばあった。)
たったこれだけのことを繰り返すだけで、毎日確実に勝つことができた。
まさに濡れ手に泡状態である。
1日の勝ち額は2〜4万円であったが、収支がマイナスだった日は1日も無く安定した収入が得られた。

春になってから状況に変化が訪れた。
900ゲーム以上ハマッている台がなかなかGETできなくなってきたのである。
原因の一つはサンダーV2の人気が下がって稼働率が低下したことだが、もう一つはパチスロ攻略誌の解析記事である。
解析記事では、天井のしくみの解説のほかに、(ごていねいにも)ハイエナ打法のススメのような記事も掲載してくれた。当然ホールはハイエナ目的のガキ共があふれることとなった。
彼らは情け容赦がなかった。
ハマっている人の後ろに立って、台があくまで何時間でも待った。
しかも、天井ねらいにはまだ早すぎるゲーム数(700ゲームくらい)からでも打ち始めるので、始末におえなかった。
僕はほとんど天井前の台を拾えなくなっていった。

そんなある日のことだった。
この日は何軒かのホールを見回りしたが、夜になっても1台もハイエナに適する台を見つけることができなかった。
僕は休憩室の椅子にぐったりとして力なく座っていた。

「もう疲れたな。」
「もう止めたいな、こんな事。」
そんな独り言をつぶやいている内に、心境の変化が訪れた。
自分の中のもうひとりの自分が猛然と僕を攻撃し始めたのである。
【33】

放浪記・第5話  評価

元パチプロK (2003年10月30日 00時16分)

(第5話)

この日は連日の不甲斐ない成績に成績にかなり頭にきていた。
そして、とうとうこんな決心をしてしまった。

「手持ちの残金は約8万円。この金がなくなったら、神様が僕にパチンコを止めろ、と言っているに相違ない。もし、この金がなくなるようなら、もうパチプロは止めてしまおう。」

そして、結果は…。
2450回転、当たらずヤメ!
当然持ち金全滅である。

他人との約束ならば破ることもあろうが、自分との約束ならば破るわけにはいかぬ。
12月25日、ついに僕はパチプロ廃業を宣言したのである。

2002年1月、前年にパチプロ廃業宣言をした僕は長い冬休みの後、ハローワーク通いを開始した。
新しい仕事はなかなか見つからなかった。
一番のネックは年齢だった。
35歳以上では、めったに面接さえ受けさせてはもらえなかった。
しかし、仕事が決まらなかった理由は別にあった。
長いパチプロ生活で、すっかり人間がダメになっていたのである。

ハローワークの帰り道には、決まって駅前のパチンコ店に直行した。
パチンコを打つわけにはいかなかったので、もっぱらパチスロで遊んだ。
機種はサンダーV2であった。
もし、このときサンダーV2に出会えていなかったら、今ごろはパチンコにもパチスロにも縁がない生活を送っていたに違いない。
おそらく、ギャンブルなどまったくしない真面目人間になっていたか、ホームレスになっていたか、どちらであろう。

サンダーV2については、その美麗な出目、完成されたリール制御、マニアックなリーチ目、多彩な演出、突入契機がわかりやすいAT機能、AT機にしてはそれほど低くない大当たり確率(設定1で350分の1)などの理由から登場当初から夢中であった。
当時の自分の腕前はひどいものだった。
7はかろうじて目押しできたが、BARは苦手だった。スイカなどは2回に1回は取りこぼしていた。
それでもかまわなかった。真剣に勝とうなどとは思わなかったし、一時の暇つぶし、お遊びになればいい、と考えていたのである。

そんなある日のことである。
この日はまったく大当たりに恵まれず、1200ゲーム近くハマッていた。また、隣のオヤジも同じように1200ゲーム近くハマっていた。
「当たらないねえ。」
「ひどいもんだね。」
と、下手どうし言い合っていた。
そのとき、スイカが成立した。
「しまった。取りこぼしちゃったよ。」
さらに数ゲーム後、
「ズガーン。」
突然IR(イナズマラッシュという名のAT)が発動したのである。
(おかしい。これは突入条件を明らかに満たしていない。なのにIRが発動したのはなぜだ?)
ややあって、隣のオヤジもスイカの取りこぼしからIRに突入した。
(これは偶然ではない。一定のゲーム数に達すると発動するIRがあるのか?だとすると、それは天井IRというべきものか?」
その後、何冊か、スロ雑誌を読んでみたが、天井については記載がなかった。

当時は天井付のATは少なく、あってもほとんど意味のないものが多かった。
(しかし、サンダーV2のIRはBIGと同じ程度のコインを得る事が出来る。これは無視できないぞ。)
そして次の日、1000ゲーム近くハマッている台を見つけて打ってみると、1200ゲーム過ぎてBIG。
BIG終了後、明らかに条件を満たしていないのに、IRが発動した。
ここに至っては、完全に天井IRの存在を確信した。
【32】

放浪記・第4話  評価

元パチプロK (2003年10月30日 00時10分)

(第4話)パチプロ廃業

パチンコとパチスロはどう違うだろうか。
もちろん、玉を使うかコインを使うかという違いはある。(当たり前)
パチンコは、ただハンドルを握っているだけだが、パチスロは自分でボタンを押して絵柄をそろえる、という違いもある。(これまた当たり前)

それでは、勝つ(お金をもうける)という目的でパチンコとパチスロに接する場合の両者の違いは何だろうか。

パチンコにしろパチスロにしろ、勝つためには優秀台を選ばなければならない。
パチンコの優秀台とは、よく回る台、すなわち球持ちのいい(ベースが高いともいう)台のことである。
パチスロのいい台というのは、設定が高い台のことをいう。

言い換えると、パチンコの優秀台とはベースが高い台のことをいい、優秀台でも大当たり確率は変わらない。(同じ機種では)
これに対し、パチスロの優秀台とは、大当たり確率の高い台のことをいい、優秀台でもベースは変わらない。(例外はある)

パチンコは守備型で、パチスロは攻撃型の性格を持つということもできる。

優秀台の見分け方という意味ではどうだろうか。
パチンコの場合は釘を見ればある程度、優秀台かどうかの判断はつく。
パチスロの場合は設定は外見からは分からないので、優秀台かどうかの判断はつかない。

以上のことをふまえると、安定した勝ちを望むならば、パチンコの方がパチスロよりも有利だといえるだろう。
僕は長い間そう信じていた。
パチンコは収入を得るためにやるもの、パチスロはごく稀に遊びでやるもの、そういう区別をしていた。
ところが、そうともいえない状況になってしまったのだ。

C店がつぶれてしまった後、僕は数件の2.5円換金の店を回り、なんとかしのいできた。
ところが、2001年の夏頃からは、ほとんど日当期待値をみこめる台を見つけることができなくなっていた。
毎日何件もの店を回りながら、まったく球を打つことすらできなかった。
これをパチスロに例えるならこういうことだ。

パチスロ店に行って、すべての台に「設定1確定」という札がついていたとしたら、あなたはその店で打つだろうか。普通は絶望感を抱いて店を出るでしょう。
当時のパチンコ店では、釘を見るにつけ、毎日毎日絶望感を抱き続けていた。

そして、2001年12月、一生忘れることができない悪夢の1ヶ月がやってきた。

2001年12月、稼動悪化に業を煮やした僕は、ボーダーラインを日当1万円まで下げた。
待っていたのは特大スランプであった。
まずは、確変の2分の1の振り分けに泣かされた。
CRバカボン、CRギンギラパニック、CRワニワニパニックといった機種を相手に、来る日も来る日も確変を引けずに苦しんだ。
10日間で、総当り26回のうち、単発が25回に対して確変はたったの1回(それも2回ワンセット、確変突入率は驚愕の約4%!)であった。
その後、すっかりCR恐怖症に陥った僕は、現金機へと転進した。
しかし、悪夢はまだ続いた。
今度は当たらないのである。
29回/kという台(平和の縁起マンR、確率は238.8分の1)を相手に1週間で全敗。
通算の大当たり出現率は400分の1を下回った。
12月24日の時点で、この月の通算赤字は415000円となった。
一ヶ月にこれほど負けたのは、これが始めてであった。
そして運命の12月25日(クリスマスだ。)、がやって来た。
【31】

RE:放浪記・第3話  評価

元パチプロK (2003年10月30日 00時07分)

第3話

もし、仕事を引き受けたら、当分の間少なくとも2ヶ月は仕事に忙殺されることだろう。もう二度とこんな楽しいパチンコ生活を送れないような気がする。
もし、仕事を断ったら楽しいパチンコ生活を続けることができる。収入的にはパチンコを続ける方がよさそうだ。
しかし、仕事を断ったら、二度と仕事が来なくなるだろう。
そうなると、社会との関わりが完全になくなってしまう。これがちょっと恐かった。
どうしようか。究極の選択を迫られた。
常識的に考えれば仕事を取るに決まっている。
しかし、僕の中に住み着いている悪魔(それとも天使?)がこうささやいた。
断っちゃえよ、仕事なんか。お前は仕事なんかしたくないんだろ。パチンコがしたいんだろ。やりたいことがあったら何が何でもやる、というのがお前の主義だろ。

で、結局僕は仕事を選択した。
つまらん人間だねえ。僕は自嘲した。人生はギャンブルだなどと日頃言っておきながら、大事な時には安全な方を選択するのかよ。
だいたい仲間に申し訳ないだろ。結局のところ、つまらねえ小市民じゃねえか。
しかし、結果的にはこの選択は正しかった。

2ヵ月後、すべての仕事を終わらせC店に戻ってきてみると、状況は一変していた。
客が少ないのである。2ヶ月前には盛況だった店内がガランとしている。
しかし、仲間たちは健在だった。
トウリョウ、ヤマさん、バクさんは口々に言った。
「回んねえよ。」
「これじゃ、やっていけねえよ。」
「なんでも経営者が代わったらしいや。」
確かに彼らの言う通りだった。
ほとんどの台が釘をペチャンコにされ、打てそうな台はほとんどなかった。

彼らはそれでも毎日やってきた。
最初に店に来なくなったのはEさん夫妻だった。
僕としても、すでに情熱を失っていた。
僕はC店に来ることがまばらになり、やがてもっと状況の良い店を探して、そっちの店を主戦場とするようになった。

そして、半年後。久し振りに仲間に会いたくなってC店へ行ってみたところ、愕然としてしまった。
C店はつぶれていたのである。

 こうして、僕は楽しい居場所と友人たちを同時に失った。

さらに1年後、僕は近くのコンビニでEさんの奥さんと偶然に再会した。
彼女は腕に彼女にそっくりな珠のようにかわいい赤ちゃんを抱えていた。
僕は彼女にパチンコはまだやっているの、ときいた。
彼女は首を横に振った。
「あたしのツキもすっかり衰えちゃってさあ。それなのにうちの主人ときたら相変わらずヒキが弱くてさあ。それでお金が全然無くなっちゃったわけよ。そういうわけで今は真面目に働いているわ。パチンコはもうやらないと思うわ。」

またさらに半年後、僕はトウリョウとN店で再会した。
彼は羽根物をやっていたが、なんだか疲れたような表情だった。
トウリョウはつぶやくようにして言った。
「今の台はちっとも面白くないし、どの店へいっても回る台なんてありゃしねえ。俺も月に1回くらいしかパチンコはやらないよ。」
僕は他の仲間の消息をきいた。
「みんなパチンコを止めちまったよ。ヤマさんはスロットに転向したらしいが、他の奴はみんなまともな仕事に戻ったさ。もっともバクの奴は夜逃げしちゃって、行方不明だけどよ。」

こうして、みんないなくなってしまった。
結局今でもパチンコをしているのは僕だけか。彼らがパチンコをやめてしまったのは、彼らの純粋性の故だと僕は思っている。そして、セコク立ち回った僕だけが生き残ったということだろうな。
「僕がパチンコをしていられるのもそう長くはないな。」
そんな不安が胸をよぎった。
そして、その不安が的中するのには、そんなに時間はかからなかった。
【30】

RE:放浪記・第2話  評価

元パチプロK (2003年10月30日 00時05分)

(第2話)

バクさんはその名の通り爆裂させるのが得意だった。
午前中に出玉3万発獲得なんて芸当をあっさりやってのけていた。
CR海物語で確変20連チャンをやってのけたのもバクさんである。
バクさんのような人を見ていると、世の中には生まれながらにして運の強い人がいると思わざるを得なかった。
また、ハマリも強烈だった。1000回とか2000回とかのハマリをくらっても平然としてパチンコを楽しんでいた。
後日、バクさんはハマリに苦しんでいる僕のところにやってきて、こう言った。
「俺はハマリに関しては誰にも負けない自信があったが、Kさんには負けたよ。Kさんこそハマリの帝王だよ」
バクさん、あのね、それちっともほめていないよ。ハマリの帝王だなんて、お願いだからやめてくれよ。

彼らから学んだことは多い。その一つに他人の出玉をうらやんだり、ねたんだりは決してしないことがあった。
例えば現金投資でかなりハマっていたとする。そのとき、隣りに見知らぬ人が座ってすぐに連チャンを始めたとしよう。そんなとき僕は平静を装っていても内心ではけっこう面白くないという気持ちを捨てきれない。自分とは関係ないことだとわかっていても、つい自分の運のなさを他人と比較してしまったりするのだ。これは人間がまだ小さいということなんだろうか。
このあたりの疑問を彼らにぶつけてみた。ヤマさんは言った。
「それはさあ、お前の経験が浅いからだよなあ。」
ずいぶんなことを言うなあ、と思ったが、その理由をさらにきいた。
「それはだねえ、要するにパチンコで負けるのは簡単で、勝つのは難しいってことよ。10万勝とうが20万勝とうが、次の日は10万くらい負けるかもしれないだろ。だからそんな目先のことにいちいちかかわり合ってはいられねえってことよ。もっと長い目でものごとを見なきゃいけねえよ。」
バクさんはさらに言った。
「それにさあ、みんな仲間なんだから、出した人におめでとうと言うのは当然のことだよ。」
しかし、僕は反論した。
「仲間なら確かにそうだけど、なかには嫌いな奴とかいるでしょ。」
「俺はいねえ。パチンコ好きな奴はみんな仲間だよ。」
頭をなぐられたような衝撃があった。パチンコ好きな奴はみんな仲間、ですか。そういう心境には僕はなれそうにない。
負けたよ。あんたたちはそこまでパチンコが好きなんだな。僕はまだ修行が足りないってことか。それにまだまだパチンコに対する愛がかけているということなんだな。

彼らと一緒になってやるパチンコは実に楽しかった。僕たちは連チャンしたといっては喜び、ハマったといっては笑い飛ばし、スーパーリーチがはずれたといってはゲラゲラ笑った。
このような生活がずっと続いたら、どんなに幸せなことか。このままここで食っていけたらいいのにな。
それは甘美な誘惑だった。
それは一生に一度だけ見ることが許される甘い甘い夢、一瞬の幻だった。

C店に通い始めてから約半年経ったころ、一本の電話がかかってきた。それは急な仕事の依頼であった。
(当時の僕はパチプロ専業ではなく、コンピューター関係の下請け仕事もときどき請け負っていた。それは、創造的な仕事ではなく、他人の作ったプログラムを検証するといったいわばゴミのような仕事であった。)
いつもなら喜んで引き受けるところだが、今回は違った。
はっきり言って断りたかった。
【29】

放浪記・第1話  評価

元パチプロK (2003年10月29日 23時55分)

放浪記(第1話) C店の思い出

話は、1999年夏から始まる。
その頃の僕は、それまで通っていたN店の店長が代わり釘が急激に渋くなったせいで、新しく通えるを探していた。
そして、見つけたのが新装開店後ちょうど1年たっていたC店であった。
この店が気にいった理由は釘が甘い台が数多くあったことと、気のあった仲間がたくさんいたからである。

どういうわけか、当時のC店にはとんでもなくパチンコ好きな人たち(つまりパチンコキチガイ)が集まってきていた。
彼らは平日も休日も区別なく、朝から夜までパチンコをして飽きることがなかった。しかも彼らの多くは釘を見る目を持っており、ボーダーラインや千円あたりの回転数などの理論も熟知していた。
C店に通いはじめてすぐ、僕は彼らと友達になった。

トウリョウ(実際に大工の棟梁をしていたらしい)は釘読みの達人だった。
彼は0.25ミリ単位の釘の違いが識別できたし、釘の開け閉めの情報はとにかく的確だった。
彼の話は大変役に立ったが、釘の見方でよく議論をふっかけたり、長々と釘の講釈をよくしたものだった。
ある日、僕が釘が開けられたと思われる台で苦戦している時、トウリョウがやって来た。
「おまえはさ、ヘソのでかい台ばかり選んでいるからダメなんだ。」
「んじゃ、どんな台を?」
「全体の流れを見るんだよ。釘と対話しなけりゃダメなんだ。」
「対話ですか?でも釘はしゃべらないし。」
「馬鹿か、お前は。釘がしゃべるわけないだろう。この釘をたたいた店長の意図を察してみろってことだよ。釘を見れば今日この台を出したいのか、出したくないのかわかるってもんだよ。だいたいお前はさあ……」
トウリョウの話は延々と長く続くのが欠点だった。

一番親しくしていただいたEさん夫妻は美男美女のカップルだった。
愛くるしい顔立ちの奥さんは大変なヒキ強だった。とにかく朝一がめっぽう強く、あっという間にドル箱を山積みにした。
これとは対照的に旦那さんの方はめっぽうヒキが弱く、午前中に大当たりをひくことはめったになかった。
午後になると、さすがに旦那さんの方も大当たりをひくようになったが、それでも奥さんより出玉を多く持っていたのを見たことがなかった。
「あたしがいくら稼いでもさ、この人がみんな無くしちゃうんだよね。」
奥さんはよくそんな風にこぼしていたが、言葉とは裏腹になにやら楽しそうだった。

ヤマさんは元開店プロだそうで、パンチパーマにしていたので一見して怖そうだったが、実は話好きの純粋な人だった。
ヤマさんは確率やボーダー理論などはもちろん熟知していたが、どんな場合でも大当たりを真剣に願う情熱をもっていた。
例えば、予告も何もないノーマルリーチでさえ、彼は真剣に大当たりを祈った。そして、それが外れると心底がっかりしていた。
ある日開店待ちをしているとき、ヤマさんは突然、僕に向かってこう言った。
「おまえはよう、何のために生きているんだい。」
「はあ?」
突然だったので僕は口ごもるだけで、何も答えることが出来なかった。すると、彼は胸をはってさらに言った。
「俺はよう、パチンコするために生きているんだぜ。」
うーむ。人生の目的をこうも簡潔に断言できるなんて……。
あんたって人は実に筋金入りのロクデナシだ。
僕はヤマさんをますます好きになったのは言うまでも無い。
【28】

RE:ある日の花火百景(後)  評価

元パチプロK (2003年10月29日 23時51分)

うーん。考えた末、恥をしのんで、すでにドル箱2箱カチ盛りにしている左隣りのお姉ちゃんに
「すいませんがコインを1枚貸してください。」
と頼んだよ。ああ、恥ずかしい。
ところが、その1枚でドンちゃんを狙うもなんと目押しミス。
なんとプレッシャーに弱い自分であることよ。
(そういう問題じゃないだろ、というツッコミはナシにしてくれ)
すると、隣りのお姉ちゃんは今度は一握りのコインを黙ってさしだしてくれた。ああ、まさに恥の上塗りとはこのことだ。

と、とにかく、ドンちゃんをそろえることができたよ。
ふう。しかし、まだ安心はできない。
リプレイはずしがちゃんとできるかどうか不安があるからだ。
ここはひとつリプレイはずしを完璧にこなして実は目押しはできるんだよ、と隣りのお姉ちゃんにアピールしたいところだ。
さて、ボーナスゲームスタートすると、15枚役がどんどんそろって楽しい。10ゲームを経過してリプリイはなし。
よしよし、これなら外しの機会が少なくて獲得枚数が多くなっていいぞ。15ゲームを過ぎてもリプレイはなし。
おいおい、そろそろジャックインして欲しいんですけど。あれれ、20ゲームを過ぎちゃったよ。
そろそろリプレイお願いします。ダメですか。
今度こそ。ダメ。いい加減にしろ。ダメ。………とうとう28ゲーム目まで来てしまったよ。そろっとリバーとたたくも15枚役。2パン以下確定。
29ゲーム目、ふざけるなよ、バキッ(レバーをたたく音)、しかし1パン以下定。
30ゲーム目、せめて一回だけでもと祈ったが、液晶に表示されたのはやはりドンちゃん。
自分の生涯で3回目の0パンでした。

ドラマはまだ終わらなかった。
大当たりの喜びもつかの間、すっかり意気消沈して再びレバーをたたいたその1ゲーム目、テローンの予告音。
そんなもので当れば苦労はしないよと、適当にボタンを押すと、あららら、七が右上がりに一直線にそろっているよ。
これがビックボーナスだと気がつくのに10秒ぐらい時間がかかったじゃないか。
それにしても、なんといったらよいのか、2000回越えのハマリの次が0パンで、その次は1ゲーム連チャンですか。
あまりの出来事の連続で身も心もくたくただよ。

時刻は午後8時。設定公開の時間だ。
頭上にはドル箱2箱。
店員がゆっくりと近づいてきて、頭上に札を差した。
「4だったのね。」
そして、隣のお姉さんの台には設定5の札が。
あれれ、てっきり6だと思っていたのに。
結局、この日は設定4がもう1台で、6は無しだった。
どうやら、イベントの質が落とされたようだ。

時刻はとんで午後11時5分前。その後の我が台は順調にコインを増やし続け、終わってみればドル箱3箱。
最初のハマリは何だったのでしょうか。
コインを流してみると、獲得枚数は4030枚。
本日の収支はプラス500円だ。わーい。
(喜んでいいのかどうか?)

(完)
【27】

ある日の花火百景(前)  評価

元パチプロK (2003年10月29日 23時50分)

これは、パチスロ板のデビュー作です。
書きなれていないせいか、いろいろと不備な点が目立ちました。
(不備な点は直してあります。)

ある日の「花火百景」対戦記

今日の対戦ホールは地元のR店。
ねらいは週に一度の花火百景のイベントデーだ。過去の実績から言って、設置8台中少なくても設定6が1台、設定5が1台、設定4が2台はいっているはず。
しかも、この店の設定変更パターンは十分理解している。すなわち、前回の設定5や6は据え置かないこと、角台には高設定台は置かないこと、前日に客側が大負けした台に設定5や6をいれること。
以上のことを総合すると設定5、6はもらったも同然。
前日の下見から判断してずばり、ねらい台は右から3台目の台である。はっきり言って負ける気がしない。
朝8時からばっちり目が覚めて、30分前には店に到着。開店と同時にダッシュをきめた。
午前10時、無事台を確保することに成功。
あとはぶん回すだけだ。一応チェリーはねらうけれど、後は前回オヤジ打ちだ。
軍資金は8万円持ってきたので、まあだいじょうぶだろう。(と、このときは思っていた。)
午前11時、液晶はきれいだし、適度な出現率の演出もなかなか楽しい。
しかし、大当たりはまだ来ない。
シマで当っていないのは俺だけか。
左隣りのメガネをかけたお姉ちゃんはすでにドル箱1ぱいカチ盛りだし、右隣のおしゃれな帽子をかっこよく決めているお兄さんも下皿をガチガチに詰めているよ。
早く大当たりが来ないかな、と思いながらひたすらサンドに千円札をつっこんでいる自分がいた。
昼12時、まだ当りません。
頭上の回転数は1000回を越えた。
うーむ、どうやらこの台は設定6ではないようだ。(気づくのが遅いか)
この時点で、左隣りのお姉ちゃんの大当たり回数は8回、右隣りのお兄さんは6回だ。
世の中、不公平にできていることよ。
そんなことを言っている場合ではない。財布の中身が心細くなってきたゆえ、どうかお願いだから早く当ってください。
午後1時を過ぎた。
あのう、もしもし花火百景さん、あなたはいつになったら当ってくれるのでしょうか。あなたの台だけ大当たり乱数がないんじゃないの。
最後の1万円を両替し、いよいよ破滅一直線。回転数はもうすぐ2000回を越えるでしょう。
こんなにはまったのは初めてだよ。
あっ、とうとう2000回を越えてしまった。
もうだめだ。早く帰りたいな。

もうだめ、さすがに疲れ果てた。もう帰ろう。
最後の千円札をサンドにつっこみながら、ふと考えた。
この千円を使ってしまうと帰りの電車賃がないな。
しかし、手は止まらない。まだ太陽が頭の上にあるというのに、悄然として家まで約1時間の道のりをとぼとぼ歩いて帰る自分の姿が目に浮かんだ。
回転数は2200を超えた。
もうすぐだ、あと数分でこの苦行が終わる。
と、残りコインがほとんどないところで打ち上げ花火の連続演出がきた。
過去何回何十回と期待させ、落胆させた連続演出か。
どうせ不発だろ、けっ。
ヒューードン。
やけに派手な演出じゃないか。
あれっ、こ、こ、これはV字花火?
これって確かボーナス確定だよね。
残りコイン数は、……なんと1枚。
どうしようか、さんざん迷った末、1枚掛けで左に七を狙うとバーが中段に停止。あれれ、バケかよ。
右にバーねらうと、やはりバーが停止。何も当らないよりはましかと、半ばふてくされて中にバーを狙うと、あれれ、バーは上段に停止しちゃったよ。
やれやれ、ビック確定となったのはいいのだけれど、コインがない。
しかもこんな時に限って床にコインも落ちていない。
さあこまった。どうしよう。
【26】

旅打ち・みちのく一人旅編(後)  評価

元パチプロK (2003年10月29日 23時47分)

おっと、これはなつかしの名機エキサイトビューティーじゃないか。
この台は4ラインのドラム式で、それだけでも変わっているのにお尻絵柄とか女性の胸絵柄とか奇妙な図柄が満載なのだ。これはやらずにはいられない。
しかし回らないなあ。1000円で10回ぐらいだよ。面白いからまあいいか。おっと、お尻絵柄でリーチがかかったよ。
オシリがプルプル震えて思わず笑いがこみ上げてくる。
しかしちょっと待てよ。オシリ絵柄を見てニヤニヤしている姿を人に見られたら変態かと思われてしまうぞ。
ここはじっと我慢だ。あっ、だめだ。我慢しすぎてかえっておかしさを倍増させてしまったようだ。
「キャハハハハハ。」
まずい。遠くの方でこっちをみているおばさんがいるよ。
あのう、僕は変態じゃありませんよ。ただの変人ですから心配なく。

台を移動しよう。次はUFO伝説か。これは大当たり確率240分の1の一般電役で図柄を少しずつ持ち上げるバカラリーチが楽しい。
その隣りは奥村の名機モナキストファイアーじゃないか。これは大当たり確率が約200分の1のノーマル機で、シンプルな演出のくせに突然「どないでっしゃろ」とか「ドカーン」とか関西弁でしゃべり出す変な台だ。
そのまた隣りは、これまた珍しい加トちゃんワールドだ。これは大当たり確率が破格の67分の1で出玉が約500個のノーマル機だ。
それにしてもこんな一昔前の台の確率や仕様をすらすらと言える自分っていったい何者?我ながらすごい才能だと思う。
何の役にも立たないけれどね。
この才能をもっと他のことに活かしていたら今ごろは……。
加トちゃんワールドを少しやってみようかな。すると、わずか3回転目に加トちゃん劇場リーチがタンタカタッタタンタンタンの音楽に乗って大当たりだ。
さすがは高確率だねえ。しかし、この出玉はすぐに飲まれてしまった。
この店おもしろいねえ。おもしろすぎて金がいくらあっても足りないよ。さっさと退散しよう。

次に向かったのはやはりちょっと古ぼけた中規模店だ。設置機種はふつう、と思いきや現金機のコマコマ倶楽部があるじやないか。しかも3回権利物だ。
将棋のコマがクルクル回るスーパーリーチをもう一度見たいなあ。と思うが早いかもう500円玉を投入している自分。
おっと、リーチがかかったぜ。しかもクルクル回るスーパーリーチに発展した。これこれ、これが見たかったのだよ。
あれま、当ったよ、奇跡だ。
換金率が高かったせいで、この出玉を両替すると2万円になった。
いやあ、よかった、よかった。旅打ち初日から野宿になってしまったら自分がかわいそうだからな。
それにしても初日からこんないい加減な立ち回りをしているようじゃ、明日からはどうなることやら。
まあ、それもいいさ。旅打ちの基本は「出たとこ勝負」なのさ。

つづく(かどうかは?)
【25】

旅打ち・みちのく一人旅編(前)  評価

元パチプロK (2003年10月29日 23時46分)

この話は勢いに任せて書いてしまったものです。
出来がイマイチなので公開を見送っていました。
まあ、ここなら公開してもいいでしょ。


旅打ち物語・みちのく一人旅編

「あんたっていい人ね。」
女は伏し目がちに、僕の目を見ないようにして、さらに言った。
「あたし、あんたのこと嫌いじゃないのよ。でもね……。」
「もういいよ。お願いだから、その続きは言わないでおくれ。」
僕は薄くなってしまった水割りを一気に飲み干し、場末のスナックを後にした。

「よっしゃ、いこうかあ。」
200X年夏、僕は傷ついた心を癒すべく、優良店ひしめくといわれる仙台へ旅打ちすることを決意したのであった。

上野から東北新幹線で一路北へ北へ。関東を抜けるのはアッという間だ。
それにしても新幹線は速いな。もう福島県にはいっちゃったよ。こんなに速いと旅の気分が盛り上がらないな。よし、旅の気分を盛り上げるために歌でも歌うことにしよう。
  ♪上野発の夜行列車降りたときから
   青森駅は 雪の中 (以下略)
ちょっとこれは気分じゃないなあ。今は夏だし。もの悲しい旅の歌はどうだろう。
  ♪愛するあなたを残して さすらう旅は
   行くあてもなく 風の吹くまま 流されるまま
   夢に命をかけながら 今日まできたけれど
   心にむなしい風の音 さすらいの歌
うーん。心の傷がいっそう大きくなってしまったぞ。この歌は止めておこう。そうだ。今回は仙台遠征なのだから、みちのく一人旅がいいや。我ながらグッドアイディアだ。今回の旅のBGMはみちのく一人旅に決定だ。
  ♪ここで一緒に死ねたらいいと
   しのぶ涙のいじらしさ
   (以下略)
うーん。心の傷が………。

仙台駅に着いた。思っていたより近代的な町だ。
仙台の涼やかな風に吹かれると、気持ちが急にひきしまった。
旅打ちというのは、宿泊費や食費などの諸費用をパチンコやパチスロでかせぎながら旅を続けるのが原則だ。そうそう遊び気分でいることはできない。よって、今日は下見が中心だ。あらかじめインターネットで調べた優良店を今日は全部調べて、その中で一番いい店を明日から攻めるとしよう。
それで下見の結果はというと……。
ええと、悪くはない。東京都内と比べると釘が甘いと思われる台が多くあるし、営業形態もほぼ無制限だ。
ただ、なんというか面白くない。設置台が東京都内とまったく同じなのだ。
ちっ、これじゃあ仙台まで来た意味がないよ。たまには地方色豊かな台とかないのかねえ。例えば、フィーバー伊達政宗とか、CR青葉城恋歌とかね。
止めた。場所を移動しよう。

仙台駅からローカル線にさらに数十分、大きくもなく小さくもない某地方都市の駅に降り立った。
なかなか風情のある町じゃないか。どれどれパチ屋はあるかな。
かなり古ぼけた、今にもつぶれそうな一軒のパチンコ店が目についた。
いい味出してるねえ。ちょっとのぞいていこうかな。
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