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【34】

RE:仁義の墓場  評価

reochan (2014年01月29日 09時18分)

のほさん、五右衛門さん、おはよーでございます。←ココは丁寧に。♪


五右衛門さん、髄膜炎!!!
(
でなくて、良かったーーー!

この世で、果すべき使命がまだあるでごじゃるよ。(キッパリ!

眼精疲労って、そんな激痛走るの?

ココの書き物もコワイ。けど。激痛もコワーイ!

お二方、どうぞ御身を労られ、お健やかに過ごされますことを、

お祈りいたしておりまする。

↓の退院後、ぱちがどうの、虎がどうのは、

のほさんのことだよん♪(^-^)v


眼精疲労・・・

暫くは、カキコ止めて、ロム専されることを

切に。拙に。説に。( *・ω・)ノ

★追記

急用で途切れました。

2000文字・・携帯で・・!Σ( ̄□ ̄;)

お二方、似てる・・律儀なトコも。

首ながーーーーくして、待ってるでごじゃります♪


ありふれてますが。『 健康、第一 』!
【33】

RE:仁義の墓場  評価

五右衛門座衛門 (2014年01月28日 23時04分)

トントン・・・



スッ・・・



・・・様。



横綱・野歩号様。(ぽそっ


再びお邪魔致します。


八重洲ブックセンターで初動第1位を獲得したとのお噂である、この話題作品を拝読して参りました。

現在【6】まで一気読み中です。寝不足注意ですな。

感想は終末まで読み終えてからにさせて頂きますが、これからも一読書として楽しみにしております。

小生は見当違いも甚だしい認識でしたな。。
失礼致した。

この物語だけは定期購読致しまする。。
これは、気持ちばかりの購読料で御座る。

どうか取っておかれよ・・・

ソ・・・


( ^ ^ )/■  ←  おま◯じ◯う  いっぱいアルヨ♪




>おまぃ、どんどん、誰かに感化されとるぞ。

き、気のせいで御座る。、


>ンバッキャロウ!じゃぎ、ここは道場じゃねぇ!

そ、それは認めます。、


>髄膜炎のせいじゃね?
・・・いや、すまん。マジでお見舞い申し上げる。大事なくよかったな♪

脳の痛みとは怖いものだと文字通り痛感したで御座る。

省みると、恐らくは眼精疲労から来るものだと。医者には『ほぼ毎日スマホで個レスを練り練り2000文字以上書いてます』とは流石に言えなかったですがな。笑うに笑えない話で御座る。(無論、仕事もあいまっての事ではあるのだが)



>最後に言っておきたいことがある!

あい??去り際になんぞや?


>あほ、この!
もういっぺん、読み直せ!  ありゃ、MAXじゃわい!

本当ですか!?
スマホで遡るとマジでキツイので会社PCにて再確認致します。







PS・れのさん
入院してないし、パチもしてません。
一応、元気になりました。
悪しからずm(._.)m






それでは失礼致した。



サッ・・・




スッ・・・
【32】

RE:仁義の墓場  評価

reochan (2014年01月28日 20時00分)

オーレ、俺、俺 、れおです!(キリッ!( ̄▽ ̄)=3


ィヤッホー♪

のほさん!からの返信いただきー♪

じ、実は書いたものの、あまりの幼稚園児文ゆえ、
消しました。(>_<)

なのに。消したハズの・・

文章上手い人→沢山本読んでる→賢い人(れおの見立て

ただ、読んでますって、伝えたかったのと、

応援エール送りたかった。(#^.^#)

だけど、文章が恥ずかしくって消しました。( *・ω・)

五右衛門さんが、退院した日にぱちがどうとか、ありますが、

もう良くなったんですか?

    のほさんと会話出来て。

しぁーわせぇ。(ぼー♪(ノ´∀`*)
【31】

RE:仁義の墓場  評価

野歩the犬 (2014年01月28日 17時29分)

【逮 捕】

昭和二十二年五月二十二日の昼下がりだった。
大西政寛に左腕を斬り落とされ「隻腕」となった小原馨は市電交差点前のマーケットで
若者とコップ酒をあおっていた。

悪魔のキューピーの名前が売れると
「あの大西に斬られた男」としてまた、小原の名前も知れ渡っていた。

なにより大西自身が、弟分の波谷守之ら若衆に
「俺は、これから伸びる男の腕を斬った。
そいじゃけん、あいつらが向かってくるなら喧嘩もええじゃろうが
そうじゃなければ、お前らの先輩じゃ。
兄やん、兄やんいうて、たててやってくれ」と言っていた。

極道社会ならでは、の論理である。

事実、土岡組側では組長、土岡博の肝いりで小原を「舎弟に迎える」という動きがあった。

これにカチンときたのが小原の兄貴分であり、市議会議員に当選した桑原秀夫であった。

桑原は当時、三十六歳。
もう、愚連隊の頭領みたいな真似はできないが、これから議員として市内の利権を握っていくためには、小原を「黒い背景」として支配下においておきたかった。

マーケットを通りかかった桑原は小原の背後から「残った」右腕からコップをひったくった。

「おい、馨。お前、このごろ、生意気じゃのう」

「なんかい、兄貴かいの。なんですかい」

「なんですかい、ってあるかぁ。わりゃ、岡土の盃、もらうんか。
 馬鹿この、恥を知れ!」

「恥?なーんをいうんなら、兄貴、兄貴はもう議員先生じゃろうが。
 犬のケツかきよって、わしらに口出しせんで、つかぁさいよ」

「なに?おどりゃ、も、一遍いうてみい!」
桑原は店の流しにあった出刃包丁を握るや、小原の額を切りつけた。

「なにすんじゃい!」

双方、四、五人ずつが入り乱れての乱闘となる。
「兄貴、こらえてつかい!」
場を収めようと小原のとりまきが必死になって割り込んだ。

「馨!道、外しよったら、ただじゃ、すまんど」
荒い息で桑原が捨て台詞を吐いて、背をむけた。

病院で傷の手当を受けた小原はハラを決めた。
喧嘩(でいり)である。

自宅に戻り、十人ほどの若者を集めると匕首、日本刀の道具をそろえた。

噂を聞いてやってきたのが、大西だった。
すでにエンジンがかかっていたトラックは大西を乗せ、桑原の自宅に向かった。

午後五時すぎ、果たして桑原も喧嘩支度で待ち受けていた。
トラックから最初に降りた大西が、玄関に入った。

悪魔のキューピーの先陣に手榴弾を手にした桑原方もシビれて動けない。

大西は周囲をひとにらみすると、中に向かって声をあげた。

「秀やん、どうしたんない。なんで、馨とこんなことになったんや」
「秀やん、馨と話せい」

「おう、ほんなら、馨、あがってこい」
二階から桑原の声がした。

大西と小原が連れ立って二階にあがった。
桑原が三人の男を背に畳に座っていた。桑原が視線で「座れ」と合図した。

大西と小原があぐらを組んで、緊張の糸がゆるんだその、一瞬だった。
階段を駆け上がる音がしたかと思うと、
風のように部屋に飛び込んだ男が桑原に体当たりした。

男の匕首一突き、で桑原は絶命した。

「殺人、共謀共同正犯」。
小原ら二人の腕を斬り落とした傷害事件で保釈中の大西は
今度は小原の喧嘩仲裁に入りながら逮捕され、吉浦拘置所に送られた。
【30】

〜ブレイクタイム〜  評価

野歩the犬 (2014年01月28日 17時27分)



■風のゴンザさま

>しかしそんな小生の酔狂事はどうでも良い!(キリッ

おまぃ、どんどん、誰かに感化されとるぞ。

>仁と義を語らう部屋をここに見つけ申したのだから・・・。

いや、あの勝手にカキコしてるだけで、語り合う部屋じゃないど。

>この仁義部屋で少し鍛えては貰えぬだろうか!?

ンバッキャロウ!じゃぎ、ここは道場じゃねぇ!

>かの部屋では武士キャラを確立し損ねてしまい、丁度方向性を見失っておる。。

髄膜炎のせいじゃね?
・・・いや、すまん。マジでお見舞い申し上げる。大事なくよかったな♪

>時間がかかるやもしれませぬが、しかと読ませて頂きます。

うむ。相当スローリーな執筆だから、よろしくな。

最後に言っておきたいことがある!
>幹事長が、一時退院?の際にタクシーから直でホールにタイガー2甘を打ちに行った日記を覚えてます。どんだけww

あほ、この!
もういっぺん、読み直せ!  ありゃ、MAXじゃわい!


■オーレ、俺、俺、れお〜♪さま

>仁義部屋が、なにやら武士道部屋になってるよう・・
ではござらんか?

いや、あの・・・土ザ衛門が流れてきよってからに・・・

>仁義に反応するは、高倉健の影響にごじゃる。

に、任侠映画におじゃる丸が出るで、ごじゃるか・・

>のほさんの書き物は、リアリティー有りすぎ!

所詮、あっち、こっちからの孫引きですから。

>のほさんは、その時代のことは、いい伝えを元に書かれているんですよね?

まっちゃんは、カシメを引退してからも私が高校生のときまで、
鳶仕事をしていて、いろいろ昔話を聞かせてくれました。
週間実話かなんかの、フリーライターからも取材を受けたそうです。

>凄い文才!(ナニカクレ)←コワイから、イイにゃ♪

つーか、【28】でのセリフのやりとりなんて、誰も直に聞いたヤツおらんのじゃけん
一応、資料は参考にしたが、全くの、テケトーだ!
それより、一枚に1プロットを収めるのに往生しよる。

>ゆっくり。まったり。そして、ながーーくお願い♪(^-^)v

ありがたい♪ そのお言葉こそ、最高の励みになります♪

では・・・本編再開

ありゃ?  れれれ? れおさん、自消しした?
【29】

RE:仁義の墓場  評価

五右衛門座衛門 (2014年01月28日 10時46分)

野歩the犬様




トントン・・・





スッ・・・





失礼させて貰うで御座る。。






風の便りで、仁と義を語らう部屋が何処かにあると聞いてピワド中を探し回っておったでござる。

都道府県別
47都道府県+7エリア=54トピ
業界行政
8トピ

くまなく1ポチ及び斜め読み、という見当違いをしてしまいました・・・。

しかしそんな小生の酔狂事はどうでも良い!(キリッ

かいた汗は無駄にはならぬ。
仁と義を語らう部屋をここに見つけ申したのだから・・・。

改めて宜しくお願い申し上げまする。。




>なかなか酔狂なコテハンでござるな・・・

なあに、主の方こそ武骨なコテハンとお見受けし申した・・・


>ムハハ♪ ダブル衛門よ。まだまだOLGのROMが足りんぞ。
カチコチレスではピワドでザイルの右に出るもんはおらん!

うむ、敵うはずも無い事は承知しておる。
年齢も人生経験が違いすぎる!
この仁義部屋で少し鍛えては貰えぬだろうか!?
かの部屋では武士キャラを確立し損ねてしまい、丁度方向性を見失っておる。。



主が書き起こした仁義の読み物。
時間がかかるやもしれませぬが、しかと読ませて頂きます。



失礼致しました。
返信はくれぐれも御自身のペースで。


では。。









スッ・・・
【28】

RE:仁義の墓場  評価

野歩the犬 (2014年01月26日 22時25分)


【引 導】

悪魔のキューピーの賭場荒らしによって
「山手」にはすっかり人気(じんき)が飛んでいた。

大西は呉の中心部「中通り」に「大西組」としての道場(賭場)を開く。

青タン狩り以降、闇市では

「昔、楠木、今は乃木
 昔の仁吉、今は昭和の大西まぁちゃん」

という、まっちゃんが口ずさんだ囃子歌が誰彼となく広まっていた。

「なんせ、そのころの警察いうても、
武装解除されとるけん、警棒一本の丸腰じゃろう。
 愚連隊には手を焼いとってで。
 じゃけん、警官自体がボンクラには
 おなじ遊ぶんじゃったら、まあちゃん、みたいになりない、いうとったんは
 ほんとのことで」
 

昭和二十一年の年の瀬、大西政寛と土岡正三は
呉の古参博徒・久保健一が首領、「久保組」の花会に向かっていた。

二人が久保の家に入ると玄関先に各地の一家からの祝儀ビラが貼り出されていた。

字が読めない大西は代紋の形で「読み取り」土岡正三に言った。

「土岡組の、あれじゃろう、あげいに下じゃ」

土岡も怒気を含んだ声で答えた。

「お〜う、あないに下のほうじゃ」

大西が着ていたインバ(着物のコート)をさっと脱ぎ、足早に座敷に入った。

二人は不審げな表情で火鉢の前にいた久保健一の前に立った。

「阿賀の土岡いうたら、あげん、安く踏まれとるんか
 これじゃ、土岡も浮かばれんのう。
 久保さん、これ、どげん考えがあってのものじゃい。
 始末はどう、つけてくれるんかい!」

明らかな因縁であったが、すでに大西の眉間は縦に立っていた。

「なんで返事せんのじゃい。せんゆうことは、なにしてもええ、いうことかい!」

久保健一の周囲には何人かの若衆がいたが、悪魔のキューピーのあまりの剣幕に声をあげるものすら、いなかった。

「なんか、言わんかい!わしらぁ、恥かかされて黙っておれんのじゃ。
 喧嘩、売っちょるんじゃい!」

「なんも言わんのなら、やるまでじゃ!」

大西は久保健一があたっていた火鉢を抱え上げるや、いきなり若衆にむかって投げつけた。

炭火がとび、灰がもうもうと舞い上がった。
若衆たちはとっさに逃げたが、誰一人たちむかっていかない。

ただ、久保健一だけは泰然自若として座っていた。

「これじゃ、おえんのう」

畳が焦げる匂いの中、大西はインバをつかむとゆっくり背を向けた。

自分の若衆が誰一人として「悪魔のキューピー」に動かなかったことに久保は落胆した。

「俺はあの若僧一人と、命のやりとりはできん」と引退を決意する。

翌年の春、戦後初の全国総選挙に「足を洗った」久保は
呉市会議員として出馬した。

定数四十に百二十四人が立候補する乱戦だったが、三位当選。

そして、その選挙に土岡組と対立していた「桑原組」の桑原秀夫は三十九位で滑り込んだ。

大西の周りにまた因縁の糸が絡みだす
【27】

RE:仁義の墓場  評価

野歩the犬 (2014年01月25日 17時12分)

【進 出】

大西政寛を中心にした土岡組による呉の「青タン狩り」には、背景がある。
依頼主がいたのである。

土岡の地元、阿賀で戦前からガス荷役、土木の事業を請け負っていた「海生(かいおい)組」
の親方、海生逸一である。

海生は阿賀が戦火を免れたことを足場に終戦と同時に呉の興行界への進出を計画。
復興が始まっていた呉市内に映画館を二館、持っていたが、
愚連隊の青タンに手を焼いていた。
海生が持ちかけた話は土岡組にとっても「渡りに舟」だった。

当時、隠退蔵物資の闇取引による成金たちで、呉の賭場には現金が飛び交っていた。

「十八リットル缶に札いっぱい詰め込んでくる客やら、おってのう。
テラ(胴元)だけでも一晩、当時の金で何十万、てあったらしいんじゃ」

呉に土岡組看板の賭場を、持つ。
それは金のなる木を手に入れることになる。

「青タン狩り」はいわば、土岡組の「呉・進出」の旗揚げであった。

大西はかつてカシメで名を売った呉にいよいよ「悪魔のキューピー」の異名を背に
売り出していく。

まず、眼をつけたのが「山手」の賭場であった。
青タン狩りで機先を制している大西にとっては、蹴散らかす格好の舞台だった。

そのころの博打、といえば手本引である。
胴が一から六までの札を懐の中で繰り、カミシタ、と呼ばれる手ぬぐいの下に置く。
張り方はそれを推理して当てる、という単純なゲームだ。


配当はタテで十四割、中が六割、止まりが五分、ツノは総どりの保険の二割五分。

しかし、これが単純ゆえの「奥深さ」がある。
胴は最初に「六」を出し、次に小戻りの「五」また「五」飛んで「一」などと札を操る。
いわば「心理戦」だから、
胴の癖を見抜く推理、大きく張る度胸、場全体の張り駒の運など、全てがうまく噛み合わないと、なかなか勝てない。

元々、賭場というのは現代のパチンコに限らず、胴元は黙っていても金が落ちる仕組みになっているから、
いわば、張り方、客同士の金の取り合いである。

そこで必勝法として「イカサマ札」が使われる。

「大西はそのイカサマが強かった。うまい、んじゃないよ。強いんじゃ」

イカサマ札を使うときは、どうしても眼の色が変わったり、落ち着きがなくなる。
しかし、大西は冷静で態度や雰囲気が全く変わらなかった。

胴が「その札、見せてみい」と言おうもんなら
「う、もう一度いってみい」と下から睨みつける。

「ワシの札、見たいんか」と言った大西の眉間は縦に立ち
火鉢から火箸をつかむや、相手の眼を突き、殴る、蹴るのやりたい放題である。

大西が「山手」の賭場を制圧するのには二ヶ月もかからなかった。
【26】

RE:仁義の墓場  評価

野歩the犬 (2014年01月24日 16時47分)


【青タン狩り】


青タン。青タンを切るともいう。
映画館などに「顔パス」で入る無料入場をさす。

まっちゃんによれば
「おいっす、ちゅうてタダで入るじゃろう。
 ま、ボンクラども、青二才のタンカ、いう意味じゃなかろうか。
 呉の中通りに、運よく空襲でも焼けずにすんだ、映画館があったんよ。
 そこに山手の連中が当たり前のように青タンきりよったわい」

盆踊り事件から一月ほどたったころ、その映画館を会場として
素人のど自慢大会が開かれた。入場無料とあって、館内は満員の盛況であった。

その館内の一角で大声をあげて騒いでいる一団がいた。
「山手」の愚連隊であり、彼らは野次や奇声をあげ
会場を制圧した気分で浮かれていた。

「ほ〜う、あれで鐘一つかいのう」

「鐘鳴らすんが、早いんじゃ。もっとようけ歌わしたれい」

「山手」の仲間が鐘一つで退場すると野次り、「在」のものに三つ鳴ろうもんなら
騒ぎはひどくなる。

「お〜う、審査員、わしらをなめとんのか」

「おどれら、なんぼのもんじゃい!八百長か!」

司会者がたまりかねて制しても騒ぎは激しくなるばかりである。
しかし、そのとき奇妙なことが起きた。
騒いでいた一角から一人、二人と消えていき、野次も途切れ
声にもあきらかに戸惑いが感じられた。

客のほとんどはやっと司会者の声が届いて鎮まったと、思い込んでいたが
その裏では土岡組の一統による「青タン狩り」が行われていたのだ。

波谷守之ら若衆が客に気づかれないよう、一人、二人とひきぬいては
舞台裏の一角に連行。待っていたのが大西ら土岡組の幹部だった。

「調子に乗りおって、ええ加減にせんかい!」

「青タンも切るんじゃねえど!」

土岡正三が言うが早いか、殴り、蹴り
割り木を持った大西が身体をめった打ちにした。

このリンチを偶然、眼にした男がいた。
彼は会場の異変にすぐさま気づき、連れ出される者をみて、あとをつけていたのである。

そこにはパナマ帽の下で底光りする眼を光らせている大西がいた。

「あの男が噂の悪魔のキューピーに違いない」
目撃した男の全身に電流が走った。
トラック島から復員したばかりの元・零戦パイロット、美能幸三。
後に「仁義なき戦い」の原作となった獄中手記を書いた「広島戦争」の主役となる男。

そのとき、のちに舎弟関係になることなど、お互い知る由もなかった。
【25】

RE:仁義の墓場  評価

野歩the犬 (2014年01月24日 16時49分)

【白 刃】

呉の隣町が阿賀。
広、というのは阿賀の東へ一駅、空襲を免れた農村である。

娯楽のない時代。
裸電球の下での盆踊り大会に村の人たちは、やっと取り戻した平和な開放感にひたっていた。
カチ割りの氷やスイカが売られ、太鼓と唄に、浴衣やモンペ姿の踊る輪が広がった。

酒を飲みながら盆踊りの差配に満足げな表情の小原に若者が走り寄った。

「ヤバイ、岡土の連中じゃ。
道具もっちょるど。今夜のところはひとまず逃げい」

その囁きが終わるや否や「おい、小原」とドスの利いた声がした。
土岡正三を中心にした五人の男の中に日本刀を下げた大西が立っていた。

「桑原はどこにおるんない」

「知らん」

「お前ら、最近ごちゃごちゃ、うるさいんじゃ。馨もいうとる口じゃろう。
 桑原なら殺るところじゃが、お前なら腕一本でええわい、馨、覚悟せい」

正三の言葉に若者が小原の左腕をねじあげた。

「マサ、やれい!」
大西が日本刀の鞘を払い、つま先が地面を蹴った。

「馨、許せい!」

言い放った大西は真っ向から小原の肩口を斬りさげた。
血しぶきを中心に支えを失った小原が左によろけ、主を失った腕をつかんだ若者も
逆へと飛んだ。

「うおっ!」と叫んだ小原は右手で肩の傷口をおさえて崩れ落ちた。
声を聞いて、小原の弟分が駆けつけた。

「おう、ええところに来た。小原一人じゃなんじゃ。お前も一蓮托生じゃ
 往生せい」

小原もこの男も大西にとっては、愚連隊とはいえ、頭領格とあっては
ふだんは好感をもって、一目おく男だった。

しかし、すでに大西の眉間は縦に立っていた。
今度は右腕をねじ上げられた男に大西はまたも語気、鋭く言った。

「許せい!」

小原の血糊を振り切るように白刃を振り下ろすと、またしても一刀両断、
男の右腕は飛んだ。

のどかな盆踊り会場は一瞬にして惨劇の修羅場となった。


大西は無言のまま、刀の血糊も拭わずに鞘に収めると、
土岡が二人を病院に運ぶ指示をしているのを聞くでもなく、すい、
と背を向けて人だかりを避けるように、闇の中に消えた。

戦場の狂気をひきずっている、と片付けてはそれまでだが
生身の人間、二人の腕を斬り落とす胆力。



「その夜からよ。大西は悪魔のキューピーじゃ、いうての。
 呉の極道もんの間で売り出してゆくんじゃ」
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