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【595】

最後の1枚

Oh!変リー (2005年11月03日 12時22分)
イニは特別に器量がよいわけでもない.学問ができるわけでも,スポーツが得意というわけでもない.

取り得といえば,優れた跳躍力と水中でも丘の上でも生きられることと人によってはその輝く緑色の肌が美しいと思ってくれるくらいだった.
なぜなら
ただのカエルだから.

そのイニがありったけの勇気をふりしぼって久美子ちゃんをデートに誘った.以外にも久美子は2つ返事でイニとのデートを快諾してくれた.
12月も終わりの日曜日,イニは冬眠も忘れてはねながらデート先のデマッセ=オメ●に向かった.

スロ屋で初デートなんて・・・・・・・・・・・・



店に入ると久美子は一目散に吉宗に向かった.イニは獣の勘で一瞬嫌な予感が脳内を駆け巡ったが,久美子とスロれる喜びにその予感は一瞬のものに終わっていた.

小1時間も過ぎただろうか.久美子はノーボーナスのまま,所持金の5万を使い果たそうとしていた.
コインが最後の1枚になった時,興奮と怒りで顔を赤らめながら,さも不機嫌そうに久美子がつぶやいた.

「ふん,少しも当たらない.この最後のコインがなくなれば,相手が相手だけにもうカエル」

イニはそれを聞いて慌てて隣の台にジャンプして2枚のコインをくすねた.小さいイニにとってそれは予想外の重労働であった.しかも,冬眠前のカエルには余計にこたえた.
増えているコインを確認した久美子はほんの一瞬ではあったけど,確かにイニを見て微笑んだかのように
哀れなカエルには見えた.

イニはコインが切れぬよう,あちこちの台から盗んでは久美子の台に入れた.
久美子はそれを当然のように黙々と消費した.それは2000G過ぎまで続いたであろうか.

台は豹変した.それまでの死に台から一気にコインを吐き出した.BB12、RB7,193G抜けで久美子はゲームを終了し,席を離れた.

久美子は満面の笑顔で独り両替すると,意気揚々と店を外にした.



スロ屋の閉店時,久美子の打っていた台に,大事そうに1枚のコインを抱くようにして死んでいるカエルを店員が見つけた.店員にはカエルがこの時期に外にいること,コインをさも大事そうに抱きかかえていることも不思議ではあったけど,何より理解できなかったことは明らかにカエルが幸せそうに笑って死んでいるように見えたことだった.

冬眠前の体力のないカエルは哀れにも何度も何度もコインを盗んでは久美子に渡してついには体力の限界で息絶えたのだった.

哀れなカエルにとって,唯一幸せだったことは,息絶える前に久美子の満面の笑みを見れたことだったに違いない.

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RE:最後の1枚  評価

スーパービンボ2 (2005年11月06日 09時20分)

 Oh!変リーさんって,リーさんですよね???

 リーさんにしては,感動的な話だ。
 真面目にネタを披露するリーさんは,初めてだ・・・
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