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【26】

社長 14

SBX (2006年05月14日 14時25分)
『社長 vol.14』

 これも3年目の野外実習のことである。
 2日目の真昼間の実習中の出来事を記す。

 野外実習とは,毎年大雪山を徒歩で登り(ロープウエイがあるにも拘らず),各地域における植物生態を研究するのが目的だ。
 ここでHが,嘔吐した件は先にも述べたので,割愛する。

 それは,天女ヶ原での出来事だった。
 我々はそれぞれグループに分かれて植物生態の実習を行った。
 我々のグループにはオイラの他に,社長,O(♀ 美人),先輩のOさん(♂)後輩のI(♂)がいた。
 O先輩の指示で我々はすばやく生態観察実験を行った。
 言い方を変えるとさっさと実習を終わらせたかっただけである。
 まずは,方形枠の中の植物の種類を数えた。
 全部で32種。昨年より増えているらしい。
 植物に関心を持っていないオイラにはどうでもよかった。

 しかし,ここで社長が持ち前の博学を広しめた。

 O(♀ 美人)は,オオイヌノフグリを手にしてこうみんなに聞いた。
 「ねえねえ,オオイヌノフグリの『フグリ』って何?」
 我々は,答えを知っていたがあえて無視していた。
 「ねえ,社長,『フグリ』って何?」
 Oは,社長に答えを求めた。
 Iも,興味津々である。さすがは理科の学生である。

 「Oさん,Oさん,実は『フグリ』というのは睾丸のことなんですよ」
 「つまりは『大きい犬のタマキン』という意味ですよ。いっひっひっひ」

 O(♀ 美人)は,真っ赤な顔をして俯いた。
 しかし,O(♀ 美人)は,きっと顔を上げてこう言った。
 「社長,何でも知っててすごい!」
 ここまでは学術的な会話である。
 しかし,その後おもむろに自分の股間を指差して言った。
「私のフグリも大きいんですよ。いっひっひっひ」

 普通,大きさを自慢するなら袋ではなく棒の方だ。
 しかし,社長は棒を自慢できない。
 何せ帽子を被った礼儀正しい象さんなのだから・・・
 それから一時期,フグリの大きさを競い合うことが,オイラたちの間で流行りだした。
 勿論,チャンピオンは社長だったのは言うまでもない。
 それから1週間,社長の顔はいつにも増して輝いていた。

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【27】

社長 15  評価

SBX (2006年05月14日 14時26分)

 『社長 vol.15』

 そうそう,この事件も社長を語る上で書き留めておかなければならない。
 ウニをたらふく食って,社長のおかげでウニの実験は中止になった臨海実習でのことだ。

 我々2年目は,夕食前に風呂に入っていた。
 当然,Y教授も一緒である。
 暗い暗いと言われていたKも一緒に風呂に入った。
 性格の暗さにも拘らず,Kのイチモツは,それはそれは堂々たるものだった。
 黒光りを帯びて,直径6cm,長さは18cmくらいだったろうか?

 それをいいことに,Kは湯船の中でイチモツを手にして,イチモツの先端を水面から出し,
「ネッシー,ネッシー」
と喜んでいた。
 岡田監督似のHもイチモツに自信があったため,すぐに加わった。
 我々もイチモツには自信がないが,「勝つことではなく,参加することに意義がある」というクーベルタンの言葉の如く参加することに意義を持ち出した。

 6,7人もの男共がイチモツを持ち上げて,
「ネッシー。ネッシー」
と大声を上げながら湯船を走っているのだから,傍から見れば異様な光景に違いない。
Y教授は呆れて言った。
「お,お,お,お前らは,ほ,ほ,ほ,本当にホモ・サピエンスだな」
「しゃ,しゃ,しゃ,社長君はな,な,な,仲間に入らないのかい?」

 認識が間違っている。
 教授は社長のイチモツを知らないのである。
 社長は加わらないのではなく,加われないのである。
 イチモツに対し,少しばかりの劣等感を持っていただけなのである。
 みんなが,
「ネッシー。ネッシー」
と喜んでいる間に,社長は一人,寂しげに風呂を後にした。
 その背中はとてもとても小さかった。
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