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【27】

社長 15

SBX (2006年05月14日 14時26分)
 『社長 vol.15』

 そうそう,この事件も社長を語る上で書き留めておかなければならない。
 ウニをたらふく食って,社長のおかげでウニの実験は中止になった臨海実習でのことだ。

 我々2年目は,夕食前に風呂に入っていた。
 当然,Y教授も一緒である。
 暗い暗いと言われていたKも一緒に風呂に入った。
 性格の暗さにも拘らず,Kのイチモツは,それはそれは堂々たるものだった。
 黒光りを帯びて,直径6cm,長さは18cmくらいだったろうか?

 それをいいことに,Kは湯船の中でイチモツを手にして,イチモツの先端を水面から出し,
「ネッシー,ネッシー」
と喜んでいた。
 岡田監督似のHもイチモツに自信があったため,すぐに加わった。
 我々もイチモツには自信がないが,「勝つことではなく,参加することに意義がある」というクーベルタンの言葉の如く参加することに意義を持ち出した。

 6,7人もの男共がイチモツを持ち上げて,
「ネッシー。ネッシー」
と大声を上げながら湯船を走っているのだから,傍から見れば異様な光景に違いない。
Y教授は呆れて言った。
「お,お,お,お前らは,ほ,ほ,ほ,本当にホモ・サピエンスだな」
「しゃ,しゃ,しゃ,社長君はな,な,な,仲間に入らないのかい?」

 認識が間違っている。
 教授は社長のイチモツを知らないのである。
 社長は加わらないのではなく,加われないのである。
 イチモツに対し,少しばかりの劣等感を持っていただけなのである。
 みんなが,
「ネッシー。ネッシー」
と喜んでいる間に,社長は一人,寂しげに風呂を後にした。
 その背中はとてもとても小さかった。

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【28】

社長 16  評価

SBX (2006年05月14日 14時26分)

 『社長 vol.16』

 1985年4月,そんな社長も大学を卒業し,とある中学校へ赴任して行った。
 そう,彼は教師になったのである。
 こんな彼を採用したのは,北海道教育委員会である。
 おろかなお役所仕事である。
 面接で,彼の本質の一端でも見出すことはできなかったのであろうか?
 やはり,講釈垂れるのがうまい社長の方が一枚上手だったのだろう。
 面接官を責めるのは忍びない。

 彼は晴れてR町へ赴任して行った。
 R町は漁師町である。
 社長のずぼらな性格は,きっぷのいい男と勘違いされ,漁師の父ちゃんたちのハートをがっちりと掴んだらしく,PTAの飲み会では,甚くもてたらしい。
 「こっちの町では,PTAの飲み会でお金を払わないんですよ。いっひっひっひ。馬○な父ちゃんたちがみんな払ってくれるんですよ。いっひっひっひっひ。」
 電話の彼の口調はいつにも増して明るかった。
 それはそうである。
 彼は,「ただ」が大好きなのである。
 借金も「ただ」で貰ったお金と思い込んでいる男である。
 しかし,その何倍もの負債を背負い込むことになる破目になるとは,社長とて,思いつきだにしなかったのである。

 先ほども言ったようにR町は漁師町である。
 漁師はみんな,普通の船の他に「特攻船」を持っている。
 「特攻船」とは・・・違法に他国の領海内に入り,ささっと密漁をしては,疾風の如く逃げ出せる突拍子もないスピードを持った船のことである。
 そんな父親を持った子供たちを相手に教師を行う社長は哀れだ・・・
 そう,彼も他国のようにやられたのである。
 陸の上の「特攻船」に・・・
 
 ある日,彼は部活の関係で生徒たちを車に乗せた。
 そして,エンジンを掛けたまま書類を取りに学校内に戻った。
 その時,DQNな親を持つDQNな生徒が車を動かし,そのまま学校に特攻してしまった。
 社長のHONDAシビックは大破した。
 社長は一瞬にして600000円を失った。
 数回の飲み会代が600000円掛かったのも同様になってしまった。

 数日後,社長は新たに借金をしてまた,中古のHONDAシビックを買った。
 PTAの飲み会はその後も「ただ」だったらしい・・・
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