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【13】

社長 5

SBX (2006年05月12日 15時05分)
 『社長 vol.5』

 クリスマスをゼミの新入生でお祝いしようとなったのは,必然だった。
 ただ,困ることがあった。
 N2とM(両方♂)が,「女が来るなら俺は行かねえ」とほざきやがったのである。
 女が来ないコンパに何の意味があるんだ?
 俺たちはそう思っていた。
 社長は特に危機感を募らせたようだった。
 「N2先輩,みんなでキリスト様の誕生日をお祝いしましょうよ。女がいたっていいじゃないですか。い〜ひっひっひっひ・・・」

 社長の努力によってクリスマス会は行われることになった。
 N2は出席することになったがMは欠席した。
 Mは,寺の息子で共産党員というかなり変人だった。
 まあ,Mがいなくたって盛り上がれる。
 ♂は少ないほうが確率が高くなる。

 いよいよクリスマスイブである。何とか今年中に彼女を作ろうと♂達は,張り切って買出しに行った。
 そうである。女共は優雅に飲み食いするための存在なのである。今日限りは。
 買出しで何もしなかったのは社長であるのは,明白であろう。
 N2を説得したことで,責任は果たしたと社長は思ってるのだ。

 俺達が買出しに行って,Nの部屋に行くと,そこにはトドが寝ていた。
 轟々といびきをかいていた。
 そうなのだ。
 社長は寝て10秒後にはいびきをかいて,他の人を眠らせないという必殺技の持ち主なのである。

 仕方なく,俺達はパーティーの準備をした。
 しかし邪魔である。100kgの肉体が。
 それでも何とかクリスマスらしい飾り付けをすることができた。

 そして,宴もたけなわ,酒もディナーもたらふく食った後,いよいよケーキを食おうとしていた。
 ケーキを配り終わると,Nが気づいた。
 フォークが無い。
 すると社長は無言で割り箸を取り出し,むしゃむしゃと旨そうにケーキを食べた。
 一瞬の出来事である。
 誰も何も言えなかった。

 そして,その後,漬物をポリポリと食い始め,クリスマスの聖なる雰囲気をぶち壊してくれたのは言うまでも無い。

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【14】

社長 6  評価

SBX (2006年05月12日 15時07分)

 『社長 vol.6』

そうそう,思い出した。
あれは5月の花見のことだった。
(北海道では花見は,時期的に5月に行う)
俺や社長が属していたゼミも5月の連休後に花見を行った。

花見の場所は一応A市の名所でもあるK公園だった。
K公園はちょうど駅の裏側に位置していた。
大学からはちょうど市の裏側に当たり,交通の便が不便だった。
そのため,ジンギスカンをするための食料,飲み物, ガスボンベ,鍋など重くて持ちにくい物はすべて1年生の持ち物だった。
当然,社長も俺も持ちにくい物を持って,花見の公園までバスを乗り継いで行った。
しかし,社長と俺は,重いけれど帰りは楽になる飲み物と食料を運んだ。

花見を始めたのは,午後の1時頃。
平日の真昼間ということもあって,公園は我々の貸切状態だった。
教授を交え,真面目な花見は滞りなく進んでいった。
社長は時々,アンコールに答え,『カポ』をやっていた。そして,教授たちは普通に帰った。

事件が起きたのは,花見の帰りのことだった。
酔いの勢いに任せて,我々は歩いて帰ろうとしていた。
そして,駅の裏側に着いたときだった。
A市は駅の入り口が一つしかない。
駅の裏から大學に帰るには,遠回りの道を選ばなければならない。

しかし,我々には強い味方がいた。酔いである。
酔いの勢いで,駅の構内を横切ることを決意した。全員一致で。
線路は,10線以上ある。
幅は優に100mは超えている。
我々はゲリラの様に草むらに隠れ,辺りを見渡す。
駅員がいないのを確認し,我々は走った。
そして,駅を横切るのに成功した

かに見えた。

後ろを振り返ると社長が線路の上に転んでいる。
転んだ瞬間に口からアルコールの混じった汚物を噴出したようだ。
我々は,全員,駅を横切る時よりもスピードを上げて,その場から逃げた。
その後の社長の処遇については,我々は一切関知しない。
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