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【1】 | RE:笑え (%) (2010年02月07日 00時23分) |
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上野の動物園は、桜の花盛りです。風にぱっと散る花。 お日様に光り輝いて咲く花。 お花見の人たちがどっと押し寄せて、動物園は、砂埃を巻き上げて混み合っていました。 象の檻の前の広場では、今、2頭の象が、芸当の真っ最中です。 長い鼻を、天に向けて、日の丸の旗を振ったり、カラランランと鈴を振り鳴らしたり、 よたよたと、丸太渡りをしたりして、大勢の見物人を、わあわあと喜ばせています。 その賑やかな広場から、少し離れた所に、一つの石のお墓があります。 あまり気の付く人はありませんが、動物園で死んだ動物たちを、お祭りしてあるお墓です。 お天気の良い日は、いつも、暖かそうに、お日様の光を浴びています。 ある日。 動物園の人が、その石のお墓をしみじみと撫で回して、 わたくしに、哀しい象の物語を聞かせてくれました。 今、動物園には、三頭の象がいます。 名前を、インデラ、ジャンポー、メナムといいます。 けれども、その前にも、やはり三頭の象がいました。 名前を、ジョン、トンキー、ワンリーといいました。 その頃、日本は、アメリカと戦争をしていました。 戦争がだんだん激しくなって、東京の街には、毎日毎晩、 爆弾が雨のように振り落とされてきました。 その爆弾が、もしも、動物園に落ちたら、どうなることでしょう。 檻が壊されて、恐ろしい動物たちが街へ暴れ出したら、大変なことになります。 そこで、ライオンも、トラも、ヒョウも、クマも大蛇も、 毒を飲ませて殺したのです。 |
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【5】 |
(φ) (2010年02月07日 00時27分) |
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これは 【1】 に対する返信です。 | |||
1番おめでとうございます。 これじゃ笑えないっす! 涙がこぼれる・・・・・ |
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【2】 |
(%) (2010年02月07日 00時24分) |
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これは 【1】 に対する返信です。 | |||
三頭の象も、いよいよ殺されることになりました。 まず第一に、いつも暴れん坊で、言う事を聞かない、 ジョンから始めることに成りました。 ジョンは、ジャガイモが大好きでした。ですから、毒薬を入れたジャガイモを、 普通のジャガイモに混ぜて、食べさせました。けれども、利口なジョンは、 毒のジャガイモを口まで持っていくのですが、すぐに長い鼻で、 ポンポンと、遠くへ投げ返してしまうのです。 仕方なく、毒薬を身体へ注射することになりました。 馬に使う、とても大きな注射の道具と、太い注射の針が支度されました。 ところが、象の身体は、大変皮が厚くて、 太い針は、どれもぽきぽきと折れてしまうのでした。 仕方なく食べ物を一つもやらずにいますと、可愛そうに、十七日目に死にました。 続いて、トンキーと、ワンリーの番です。 この二頭の象は、いつも、可愛い目をじっと見張った、心の優しい象でした。 ですから、動物園の人たちは、この二頭を、何とかして助けたいと考えて、 遠い仙台の動物園へ、送ることに決めました。 けれども、仙台の町に、爆弾が落とされたらどうなるでしょう。 仙台の街へ、象が暴れ出たら、東京の人たちがいくらごめんなさいと謝っても、 もうだめです。そこで、やはり、上野の動物園で殺すことになりました。 毎日、餌をやらない日が続きました。トンキーも、ワンリーも、 だんだん痩せ細って、元気が無くなっていきました。 時々、見回りに行く人を見ると、よたよたと立ち上がって、 「餌をください。」 「食べ物をください。」 と、細い声を出して、せがむのでした。 そのうちに、げっそりと痩せこけた顔に、あの可愛い目が、 ゴムまりのようにぐっと飛び出してきました。 耳ばかりが物凄く大きく見える哀しい姿に変わりました。 |
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