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【99】

コピペ 17-2 クレヨンしんちゃんの13年

真比呂 (2008年12月27日 15時10分)
10 名前: ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:45:32.66 ID:60VRmiQN0
ごはんを欲しいと思わなくなった。
おさんぽにも、あんまり興味はなくなった。
でも、なでてもらうのは、まだ好き。
抱きしめられるのも、好き。

『ジュケンセイ』っていうのが終わったら、しんちゃんは。
また僕をいっぱい、なでてくれるのかな。抱きしめてくれるのかな。
そうだといいんだけど。

12 名前: ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:45:48.60 ID:60VRmiQN0
目を開くと、もう辺りはうすむらさき色になっていて。
また、まばたきしているうちに一日が過ぎちゃったんだと思う。
ここのところ、ずっとそうだ。何だかもったいない。
辺りを見回して、鼻をひくひくさせる。しんちゃんの匂いはしない。

まだ、帰ってきてないんだ。

さっき寄せたはずのおちゃわんのごはんが、新しくなっている。お水も入れ替えられている。
のろのろと体を起こして、お水をなめた。冷たい。
この調子なら、ごはんも食べられるかと思って少しかじったけれど、ダメだった。
口に中に広がるおにくの味がキモチワルイ。思わず吐き出して、もう一度ねころがる。
夢のなかは、とてもしあわせな世界だった気がする。
僕はまた夢を見る。

しんちゃんと最後に話したのは、いつだっただろう。

14 名前: ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:46:14.94 ID:60VRmiQN0
僕はしんちゃんを追いかけている。
しんちゃんはいつものあかいシャツときいろいズボン。小さな手は僕と同じくらい。

シロ、おて
シロ、おまわり
シロ、わたあめ

『ねえしんちゃん。僕はしんちゃんが大好きだよ。』
『オラも、シロのこと、だいすきだぞ。シロはオラの、しんゆうだぞ!』

わたあめでいっぱいのせかいはいつもふわふわでいつもあったかで
いつまでもおいかけっこができる

いつまでも

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コピペ 17-3 クレヨンしんちゃんの13年  評価

真比呂 (2008年12月27日 15時11分)

20 名前:第二話(1/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:48:48.90 ID:60VRmiQN0
また朝がきた。
でも、その日はいつもと違っていて。しんちゃんのお母さんが、僕を車に乗せてくれた。
しんちゃんのお母さんの顔は、気のせいか苦しそうだった。

車はまっ白なお家の前で止まって、僕は抱きしめられたまま下ろされる。
そして一回り大きなふくろの中につめられた。まっくらだ。どうしようか。
昔なら、びっくりしてあばれてしまったかもしれない。でも今は、そんな力も出ない。
とりあえず丸くなると、体がゆらゆらとゆれた。
それがしばらく続き、次にゆれが収まって、足もとがひんやりとしてくる。

21 名前:第二話(2/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:49:20.46 ID:60VRmiQN0
いきなり辺りがまぶしくなった。
目をぱしぱしさせていると、変なツンとした匂いがする手につかまれ、持ち上げられる。
いっしゅんだけ体が宙に浮いて、すぐに冷たい台の上に下ろされた。
まっ白い服を着た人が、目の前に立っている。そばには、しんちゃんのお母さん。
二人が何かを話している。白い人が、僕の体をべたべた触る。
しんちゃんのお母さんが、泣いている。

22 名前:第二話(3/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:49:54.03 ID:60VRmiQN0
どうして泣いているのか解らないけれど、なぐさめなくちゃ。
でも、体が動かない。またあの眠気がおそってくる。起きていなきゃいけないのに。
なんとか目を開けようとしたけれど、ひどく疲れていて。
閉じていく瞳を冷たい台に向ければ、そこに映るのはうすよごれた毛のかたまり。

なんて、みすぼらしくなってしまったんだろう。

24 名前:第二話(4/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:50:16.79 ID:60VRmiQN0
ああそうか、僕がこんなになってしまったからなんだ。だからなんだ。
だからしんちゃんは、僕に見向きもしないんだ。
おいしそうじゃないから。
あまそうじゃないから。

僕はもう、わたあめにはなれない。

26 名前:第二話(5/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:50:52.84 ID:60VRmiQN0
わたあめ。
ふわふわであまあまの、くものかたまり。

いちど地面に落ちたおかしは、もう食べられないから。
どんなにぽんぽんはたいても、やっぱりおいしそうには見えないよね。

だけど、君はいちど拾っててくれた。
だれかが落として、もういらないって言ったわたあめを。
だから、もういいんだ。
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