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【552】

  4  評価

Piro3 (2014年11月16日 19時58分)

   あの大人しく真面目な真紀子が……
 
     俺とケンジを数か月もの間 二股をかけていたのだ。。。

        真紀子は自分のお腹の子がケンジの子と知りつつも。。 俺と結婚しようとしていたのだ。


   しかし、そんな自業自得の戸惑いと虚無感に襲われた俺に
      真紀子とケンジに対する怒りは湧いてこなかった。。


   真紀子に裏切られていた事よりも
      それを見抜けなかった自分自身が許せなかった。 疑いつつも見抜けなかった事が。。

  そして何よりも
    真紀子と別れる為の これ以上ない口実が出来た事が嬉しかったのだ。。
    
     入籍する前に知る事が出来て良かったと。 ケンジに感謝の気持ちすら芽生えていた。。

      それは 俺の心が真紀子から離れていた証拠に他ならなかった。。



    それから俺達三人は喫茶店で話し合いの場を持ったのだが
       真相をバラしたケンジを身勝手な言葉で罵倒する真紀子のその姿は 俺の知る真紀子ではなかった。

       俺にはずっと何も見えていなかったのか。。
     
          それとも……  俺が変えてしまったのか。。 聡明な真紀子を… こんなにも醜く。。
     

      そんな風に多少の紆余曲折有ったものの、結果的に真紀子は俺と別れてケンジと付き合う事で落ち着いた。。

     
          最初に俺が描いたシナリオ通りの結末に。。。


    それが今の。
          今後の俺達の最善に成ると。 各々が自分に言い聞かせる様にして。。。 


  
     そして俺は そんな意外と複雑だった想いを振り払うかのように
        ユミを落すべく、行動を開始した。。。


    もう俺の心は ここには無いのだから。

     ユミと出会ってしまった  あの日からすでに。。     
【551】

   5  評価

Piro3 (2014年11月16日 19時58分)

    [恋愛は惚れた者負け]

    そんな言葉がイニシエより、実しやかに現在でも流れている。。


    中学生だった頃の俺はそんな言葉通りの 普通の男の子だった。。

      好きになった娘に どうやって告白しよう・・・
                俺なんか相手にされないだろうな・・・
                 断られたらその後が気まずいな・・・
                  話しかけるキッカケがどこかにないかな・・・
                   キッカケがあったとしても何を話せば・・・・ 


     毎日そんな同じ事ばかり悩み続け、
          校内で彼女を見つけては遠巻きに(届け!この想いッ!)と念力を送っていただけで

         結局、話かける事さえ出来ずに終わった。。 そんなごく普通の男の子だった。。



  しかし、高校に進んだある頃に

    「ディズニーランドでデートしたカップルは高確率で別れる」という
       ある意味で否定出来ない言葉を耳にした事で それまでの恋愛感。

       いや、その当時は気付かなかったが俺の人生観が急激な変貌を遂げた。


    「ディズニーランドでデートしたカップルは高確率で別れる」


        何故、ディズニーランドなのか……
             何故、花屋敷でも、富士急ハイランドでもなく……
 
          何故、ディズニーランドなのか…
                 何故、夢の国が愛し合う二人を別れに導くのか……

     単純に考えれば それだけ沢山の恋人同士が訪れているというだけの事なのだけど……。   

     
     考えているだけでは答が出ない事を悟った俺は

   よし。 誰でもいいからディズニーランドに誘って擬似デートをしてみよう。と思い立ち、
         すぐさま中途ハンパな女友達に声をかけてそれを実行した。

        すると、結構色んな事が見えて来た。
【550】

   6  評価

Piro3 (2014年11月16日 19時59分)

1つは 移動する時間が大半を占めるという事。

    1つのアトラクションに乗るだけでも2時間前後の待ち時間が存在する。

    そしてその[間]は
      家からディズニーランドを往復移動するだけでも すでに4時間以上あったのだ。
       
    その[間]をどう受け留め、相手とどう処理するのか。。
      それは本当に気心の知り合えた仲でなければ正に[魔]と成りうる気不味を含んでいた。。


 そして2つ目は
        お互いが望むモノを共感しなければならない事だった。

      まず何に乗り、 何時に何を食べ、 何時に帰るか。。。

      朝5時に起きて開店前に並ぶ…
        混雑する時間を避けながら何料理を食べる… 
         パレードを最後の最後まで観るか それとも早々に帰るか……


   ディズニーランドは常に混雑している事により、行動パターンが意外と制限される為に 
      その人の[好み]が浮き彫りに成ってしまうのだ。

     そこを相手とどう譲り合うかを考えなければ到底、
       楽しい時間の共有など出来ない事を知った事により

       恋愛にはまず[共感の演出]が重要なのだと理解した。。


  そしてもう1つ大きな事。 [友達と恋人の違い]にも気付かされていた。


       友達なら許せるが、恋人だと腹が立つ。。。  

       その現象は[自分を理解して欲しい]という、 その誰もが持つ願い。

        その愛するが故の欲こそが
         奇しくも恋人同士の喧嘩のトリガーに成っているのだと。。


    だとすれば。。  自分の欲をどれだけ制御出来るかが勝敗を分けるという事。

      それには計算高さと思いやりの違いという
          主観と客観を正確に理解する事が大切だった。


    即ち、[惚れた者負け]とは

          抑制の利かなくなった側が負けるという事なのだ。

     だから先に惚れてしまっても

          自分を制御し、相手を制御させなければ勝者となれる事に気付いた。 

    その完成度の高さは
        相手が歳上だろうがキャバ嬢だろうが無敗を築き上げていく 後の俺の歴史が証明してくれた。。



     そんな俺だからこそ、ユミへ向かう心体とは裏腹に 


      それ等を総動員しても……

        ユミを落せないであろう予感を。 

         過去に経験した事のない苦戦を この時少し感じ取っていた。。。
【549】

  7  評価

Piro3 (2014年11月16日 20時22分)

  
    自分と相手をコントロールすれば 当然全てが上手くいく。

   ならば 一方的に好きになってしまった恋愛を成就させる その必勝法とは
 
     【まず相手を自分に惚れさせる事】なのだ。


             ・・・・・・・・・・・・・・   
    告白する前に相手を自分に惚れさせてしまえば良いのだ。

     そうすれば100%成功する。 せざるを得ない。 ある場合を除いては。。。


   その為にユミの関係者から彼女の暗い過去を入手した俺は
    〈男で痛手を負い、男性不信に陥っている女の場合はどう接触するべきか〉を考察し 1つの答えを導き出した。

     相手が男を拒絶しているなら[男としてではなく 女として接すれば良いのだ]と。


   オカマに成れという事ではなく、まずは女性目線で接するという事。
     それは相手の立場になって考え行動するという想いやりの基礎に他ならなかった。


    そうする事で生まれた[共感]が[安心感]へと繋がり 心を開かせる。

     その後にこちらがそれを受け留める事で、
        お互いが理解し合える特別な存在へと構築されていく。。。


    重要なのは[受け留める包容力]と[特別な存在]への軌道修正。

     そこを見誤った人は(あなたとは そーゆーつもりじゃなかった)と言われてしまい、
        単なるイイ人で切り捨てられてしまうのだ。
       



  今のユミをを正面から直撃したら 要らぬ警戒心を与えてしまい
      誰であろうとケンジのように相手にされないだろう。。

 だから俺はまず、
   ユミの女友達と居酒屋のマスターに接触し、その二人を自分の味方にして情報を得つつ
     先に女友達の友達というスタンスを完成させていた。。


    そうやって あくまでも偶然を装う事で自らの手で作り出そうとしていた。。。

         ユミと俺の 運命を。


    そこに有る俺の原動力は すでに自分の性欲よりも
      ユミに幸せを感じて欲しいと願う純粋な想いが勝っていた。

       それはどんなに美しく表現しても俺の独りよがりに過ぎないのだが。 もし……

         もし それを成立させる事が出来たのなら

           愚直な1つの愛の形に間違いはないのだと思う。。
【548】

   8  評価

Piro3 (2014年11月16日 20時00分)

   満を持してユミへのアプローチを開始すると、
    
     数日後には俺とユミと ユミの女友達の3人で深夜まで飲み歩き
      酔ったユミを俺がユミのアパートまで送り届けるという
       信用を築き上げていく為の基礎工事に入っていた。。


   そこまですんなりと事が巧く運んだ裏には 
     俺の人間性を気に入ってくれた居酒屋のマスターと女友達の大人的な援護があった。。

     マスターはユミに(あいつは信用出来る男だ)と、さり気無く伝えてくれていたり。

     ユミの女友達は彼氏を連れて来て
        4人のダブルデートの形に成る様にセッティングをしたりと協力してくれたのだ。。

   それはまるで ユミの過去を知っている二人が
       (どうか、ユミをお願いします)と この俺に言っているかの様で。。

    その期待に応える為にも
        俺は慌てずにゆっくりとユミとの関係を温めて行った。。

        時には友達の様に笑い。 時には親の様に厳しくも大らかに接する[理想の男]

          俺はそれ等を完璧に演じ続けていった。

       今のユミに必要なモノは[人を信じる心]なのだから。。 大事に強かに。。。




  そんな関係が2ヶ月程経っただろうか。。


     ある日の深夜4時。

       俺が自分のアパートで寝ていると ケータイにユミからの着信が来た。。。

     何事かと思ってケータイに出てみると
       「居酒屋で飲み過ぎたから急いで迎えに来い!」との事。。。


        …… ちょっと、甘やかし過ぎたか。。 鼻水


     これじゃぁ、ただのイイ人で終わっちゃうパターンだなぁ…。 
       少し軌道修正をしなきゃイカンかな……。 断った方がいいかな……。

      いや…待てよ。。。 これはこれで悪くはない。。 

       出会いの時期からみても今回は大事な正念場になるかも知れぬ。。という逸る気持ちを隠しながら
 
         俺は「メンドクセェなぁ」と返して すぐに車を走らせた。。


      さて…、どんなメンツで飲んでいるのか… それにどう対処するか……と 
            様々なパターンを考察しながら。。。


     
    


   そんな俺が指定された居酒屋に到着し 男女5人で騒いでいるユミを発見して声をかけると。

      振り向いたユミは 俺を見るなり突然泣き崩れた。

    その想定外のパターンに驚いた俺が「具合が悪いのか」と聞くとユミは

      「ホントに来てくれたんだぁぁぁあああああ」と大声で泣き叫びながら俺に抱き付いてきた。


     やはり 俺の方向性は間違ってなかった。

        ユミは寂しかったのだ。
      何年も信じられるモノを持たず。

       ずっと強がっていたのだ。。

         、 それが今
    これまで見せた事のない泣き顔という形で表れていた。。


    そんなユミの姿で手応えを確信した俺の中では
      作戦の完成度よりも ユミへの愛おしさが加速していくのを感じていた。


  そして
     泣きながら車の中で寝込んでしまったユミを俺のアパートに連れて帰り
        俺のベッドにユミを寝かし、

         その手を朝まで握っていた。

          もう二度と その心が冷めない様にと願いながら。。

           俺はその意外に小さかった手を 朝まで握っていた。。
【547】

    9  評価

Piro3 (2014年11月16日 20時01分)

 

 ユミの手を握りながら朝を向かえた俺は、
     そのままユミを起こさずに自分の仕事に向かった。

    机の上には合鍵と、タクシー代5千円を置いて。。

 それは
    俺の優しさでもあり、ユミの人間性を計る術でもあった。。


        。。。。。。。。。。



 そして21時。
        仕事を終た俺がアパートに帰ってみると


        ユミは まだ寝ていた。 (鼻水)


   …えっウソんッ?! ちょっとまて?! マジか?! コイツずっと寝てんの?…!! 今日……居酒屋のバイトはっ?!

  俺が大慌てで起こすと

   昨夜泥酔し、自分の今置かれている状況を全く把握出来ないユミは
     慌てふためいて「私にナニしたの!!?」と、マジギレしてきた。。


        ナンもしとらんがな……。



    それから俺が 昨夜から現在の経緯を説明したのだが、
       ユミは俺に電話した事すら覚えていないとの事で。。。 


   だったら…… パニクるのも無理ないわなぁ。。
      まぁ… ケータイの送信履歴見てごらんて。。。


  で。 やっと俺の部屋で寝ている理由。 そこまでは理解してくれたのだが。。。

  一拍置いてから再び
    「中で出したんじゃないでしょうね!!!!  何回ヤッたのよ!?!」と怒鳴り出した。



        俺はナンもしとらんて……。。




    よく漫画でこんなやり取りを見るが。

    ヤラれたかヤラれてないかぐらい、自分で分からないもんなのだろうかと思う。

     無理やりヤラれたなら
       痛いとか、痒いとか、クサいとか…… ナンかありそうなものだが。。 体に。


     つーか、、 まだ全然信用されてねぇんだなぁ…俺。。。


  ……でも …考えようによっては
         ソレはそれでアリなんだけどねぇ。。。  うん。方向性は悪くない。
 
   ……にしても   ……こんなに怒鳴られる覚えないっちゅーねん。。。

     ……イカン。。 流石にちょっとイライラしてきた。。。



    恋愛において[怒鳴らない事]を信条にしている俺は そのイライラを押さえ込むかの様に

      ナンでそんなに俺を疑うのか。を逆に質問すると

  ユミは「過去にこういうシュチュエーションで犯されなかった事が無いから」と答えた。


       コ……コイツには  まだまだ俺の知らない過去がありそうだ。。。 (白目)



       俺のそんな残念な予感が、真に残念ながらこれから現実化していくのだが。。

        俺の心中は不安とワクワクが同居していた。。

         今まで接した事の無い種類の人生に触れ合う事が楽しかったのだ。 珍獣を見るかの様で。。


  そしてそれは
     高い山の頂を目指す登山家のソレと似ている感覚だったのかも知れないし。 違うのかも知れない。
【546】

   10  評価

Piro3 (2014年11月16日 20時02分)


   俺がナニもしていない事をどんなに説明しても
     一向に怒りが治まらず怒鳴り散らすユミの取り乱した姿に

   (アホくさっ! …もう、どうでもいいや)と、こっちが冷めてしまったその瞬間・・・


        作動した・・・!  俺の恋愛直感が!!


     ナゼ、ユミはこんなにずっと怒っているのだろうか?!と。

         そりゃ、怒るのが普通だけど。。
      しかしそれは[普通の女性の場合]であって、

    不幸慣れしているユミの性格と俺達の関係にしてみれば
        またか……と諦めたり、 この場からさっさと立ち去ったりする場面ではないのだろうか。。。

      それを…  ナゼこんなにもずっと怒鳴っているのだろう…と。


    ………もしかして  ユミは俺を信用していなかったのではなく。

   
      ・・・       ・・・・・・
      その逆……!  俺を信用していたのではないだろうか!


    今、見せているユミの怒りは
      その信用を裏切られたと思い込んだ事への反動なのではないのか…!と。


       そう直感した俺は ここが正念場だと悟った。

        ユミと恋愛関係に成る為の。。

                今が待ちに待ったチャンスなのだと…!


     そのチャンスの前髪を掴めるかどうかとその見極めが
       成功と失敗の境界線である事も経験から知っていた俺は


   ここぞ!という絶妙なタイミングを計り
       「本気で惚れた女にそんな酷い事をするハズないだろ」と渾身の一撃を放った。

       まだ時期尚早の 伸るか反るかの賭けだった。。。

  しかしその[本気で惚れた女]という意表を付いた俺の攻撃に珍獣ユミは一瞬で大人しくなり、
         数秒後には緩んだ表情を見せ「……ウソだぁぁぁ」と小さく呟いた。

   その瞳に勝利を確信した俺は まぁ考えておいてよ。 と 
     その場では敢えて深追いせずにバイト先の居酒屋までユミを送り届けた。。
【545】

   11  評価

Piro3 (2014年11月16日 20時02分)

  心を
    叩いて、撫でて、放置する。というこの三段方式は短時間で終わらせる事で絶大な効力を発揮するからだ。

     叩いてから優しく撫でる事で心に戸惑いを植え付け、
      すぐに放置する事で更なる迷いを相手に発生させるのだ。
 
  そして放置された側は  その迷いを解く答えを求めて思考し始める。。


    その先で見つけた答えが
       こちらが予め用意して置いておいたモノだとは気付かずに。。。

        人は自分で辿り着いたと思う答えに従う生き物なのだ。。





   この日を境にユミは昼夜問わずに電話やメールで俺を呼び出したり、
        突然 俺のアパートに泊まりに来たりするようになり。。

          気が付けば半同棲の関係が始まっていた。

     そして俺に対して心を解き放ったユミのワガママは天井知らずで

       深夜の呼び出しは当たり前で。
         夜が明けるまで飲みに付き合わされたり、泥酔して警察沙汰になったユミの保護者として向かえに行ったり、、

       俺は完全夜行性のユミに翻弄される日々を送る事に成ったのだが

        その躊躇のないユミの真っ直ぐなワガママの
          どれもが新鮮で可愛く想えた俺は 楽しみながらその全てを受け入れていった。


       そんな手段でユミが愛を確認していた事を解っていたし。
           彼女というよりも 出来が悪いほど可愛い我が娘の様に感じていたからだと思う。。


   そして付き合い始めて数ヶ月後に、

     全てのワガママを受け入れてくれる俺に対してユミは「生きてて良かった」と泣いてくれた。

    それは 己を受け入れてくれる存在に対する感謝の涙だった。。
    
     事実、その後のユミは少しずつワガママが減少し、
        部屋を掃除したり、手料理を作るなどの家庭的な一面も窺わせる様に成っていった。。。


    そして俺が友人から「合コンの頭数が足りないから来てくれ」と言われた時も
      ユミは「男の付き合いは大事だから全然行っていいよ」と理解を示してくれた事が嬉しかった。
    


   そんなある日。。

    俺の車の車検が近づいた為に買い替えの話をすると ユミは黄色のミニクーパーに乗りたい!と即答したので、
       すぐにナンバーをユミの誕生日の数字で登録した黄色のミニクーパーを買った。

    そしてその購入した新車のミニでの 初めてのドライブの目的地は俺の中で決まっていた。

    俺には本当に好きになった彼女だけを連れていく丘が在った。

      見せたい風景が。
              一緒に見たい風景がそこに在った。。。


   届いたばかりの新車でその丘へユミを連れて行くと
      「この丘に連れて来た女は私で何人目?」と聞いてきたので

    俺は「黄色のミニクーパーで連れて来た女はお前が初めてだ」と言うと。

     こうゆう時は もう少し気の利いた事言いなさいよ。と
       ユミは笑いながら俺を殴った。。



   
  そんな幸せな日々が2年程過ぎた頃、 ユミとの入籍を真剣に考え始めたある日。

     突然、真紀子から「ケンジと離婚したい」という相談の電話が来た。。


    この一件が、後の俺に少なからずの影響を及ぼしていた事は
     10年以上経った今になって 気付いた気がする。。
【544】

   12  評価

Piro3 (2014年11月16日 20時03分)

   真紀子とケンジと俺の 三人で話し合いをしたあの日から約2年。。。
     お互いに全く連絡を取っていなかったが、
       二人の動向は共通の友人の話でナンとなく知っていた。


    真紀子が俺と別れた数ヶ月後にケンジと入籍した事。
      二人の間に無事に男の子が生まれた事。。その子供がケンジそっくりな事。。

  そして
     かなり前から二人の仲が上手くいっていない事も聞いていたし、それはもし聞かずとも
       二人の性格の違いを考えたら、そう成るであろう事は予測の範疇だった。。

     あのままのケンジが夫として親として、務まるハズなどないのだから。。。

   もしかしたら…。 真紀子と子供がケンジを成長させてくれるのではないかと。。
     結婚したら、子供が出来たら。ケンジは変われるのではないかと期待をしていたのだが。。

   しかし、子供が生まれてからもケンジは家事も育児もせずにパチや飲み屋に明け暮れる日々で。。
     当然 真紀子とは口喧嘩が絶えず。 
  
    ケンジは家に帰らない日が次第に増え、他に女を作り、借金も作りの典型的な転落パターンに陥っていた。。



   その訴えを涙ながらに語る真紀子に 俺は良心の呵責を感じていたが。。
    「それは真紀子とケンジの問題であって、俺に出来る事は何もない。 子供の為に頑張れ」と
       ありきたりの言葉で冷たく跳ね除け、電話を切った。

    何故なら その事を訴えてきた真紀子の目的は
      [ケンジと離婚したら俺がお前の面倒を見るよ]と俺に言わせる事だった。

        現実にそう成らずとも。。  逃げ道が欲しかったのだ。

   だから今、俺が中途半端な優しさを見せるべきではない。 そう割り切る事が正解だと思い

            現実を見ろ と伝えるだけにこの時は留めた。



    そして、真紀子からの電話を切って数日後、
      俺が何気なくケンジを呼び出して、最近どうなの?と聞くと

       真紀子の気性の荒さが嫌で家に帰りたくないとケンジは訴えてきた。 

   
     真紀子の気性が荒い??  まぁ、ずっと一緒に居ればそういう事は誰にでもあるだろ。     

         だから「お前がもう少し大人になりな」と軽く諭すと

    ケンジは  そうだね。。このままじゃダメだとは思ってる…と反省を見せてくれた。。。

 
      そしてアパートに帰った俺は
        あの二人が今よりも良い方向へ向いてくれる少しの可能性を祈りつつも、、

          自分とユミの入籍を…  今一度見つめ直していた。。



   深夜の飲み歩きが好きなユミは妻として、それよりも母親として…  どうなのだろう…?と
     今回の真紀子とケンジの逆パターンの可能性を想像していた。。

   ユミが俺の子を抱いている画を。。 そしてその時、俺は何をして何を考えているのかを… 思い巡らせてた。       
 
 
      それは 俺がユミに対してそれまでに考えた事のなかった 
      
             結婚の理想と現実だった。。
【543】

   13  評価

Piro3 (2014年11月16日 20時04分)


   ユミと籍を入れるという事は、家庭を築くという事。。

   あの己の欲のまま自由奔放に生きているユミと…。。
     築けるのだろうか… 恋愛の延長とは別の…  家庭を。。

   その懸念は日を追う毎に俺の中で膨らみ、
     入籍を言い出す事へのブレーキと成っていた。。。


  そうやって思い悩む日々の中で答えを探していると、
     また1つの事に気付かされていた。

    過去の俺は 結婚を視野に入れられる女性だけを選んできたのだ。という事を。
 
                              ・・・・・  
     今までの俺は 結婚の現実を考えてから付き合う女性を選んでいたのだ。。

  だからこそ
     今までの過去の女性達には無い魅力をユミに感じ、そこに強く惹かれた。。。

  つまり俺は今。 人生で初めて本当の恋愛をしているのではないか。と気付かされていた。。

      そして それが答えだった。


   ユミを他の男に渡したくないという想いのソレに比例するかの様に抱いた結婚への懸念が

        全ての答えだった。。


    結婚を考えた時に俺に必要な人は…   ユミではなく、真紀子だったのだと。
     

   子供への愛情と教育。 お互いの価値観。。 温かい穏やかな暮らし。。。

    家庭を持つ事を真剣に考えた時、俺の脳裏に浮かんだのは
      2年前に別れた真紀子と 同じ堅実さを持った過去の女達の姿だった。。

 
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