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【645】

オラの家族 番外編 2

ゑびす4 (2006年10月28日 01時41分)
 『オラの家族 番外編 2 ムサシ』

 彼は正確に言うとオラの家族ではない。
 隣の家族だ。

 10数年前のことである。
 オラの隣の家では,柴犬を飼っていた。
 名前はムサシ。
 ムサシは甘えん坊な犬だった。
 外で飼われていたのだが,雨が降るとクンクン鳴いて,家の中に入れてもらうような弱っちい犬だった。
 知らない人が来ると,小屋の中でじっと身を潜めている犬だった。
 当然,番犬には使えない。
 どうも,彼は自分を犬と認識していなかったようだ。
 彼の飼い主の子供に対しては,対等の立場で付き合っていた。

 オラもその頃は,犬を飼ってなかったので,可愛がっていた。
 ある時,オラと嫁は散歩に行くことにした。
 ついでだから,ムサシも連れて行った。
 行った所は,川だった。
 川に行く途中,畑の小道を歩こうとした。
 そこには,ごくごく小さな用水路があった。
 幅が50cm位のだ。
 オラの前を歩いていたムサシは,オラの顔をじっと見つめた。
 飛び越えるのが怖いのである。
 そこで,オラが軽く飛び越えた。
 と言っても,軽く一跨ぎしただけだった。
 ムサシはオラの様子を見て,少し,躊躇の表情を浮かべていた。
 飛び越えようかどうか悩んでいたらしい。
 ついに決心して飛び越えたが,飛び越え方は下手だった。
 小脳が未発達なのである。

 そして,川に着いた。
 オイラは,川べりに行って,コンクリートの飛び石に飛び乗った。
 距離にして,約1m位だ。
 こんなの屁でもない。
 ところが,ムサシは躊躇している。
 必死に川の水を凝視しているのである。
 彼は彼なりに,飛べるかどうか,川の深さはどうか,安全は確保されているのかと確認していたのだろう。
 数分後,ついに彼は決心し,飛んだ。
 しかし,現実は厳しかった。
 彼は,川に落ちたのである。
 しかも,彼の足は川底の泥にはまっている。
 身動きできない。
 と言うより,身動きしようとしない。
 彼は,困った顔をした。
 オラは,盛んに綱を引いた。
 それでも,彼は足を何とか抜こうと努力をしない。
 じっと待っているのである。
 オラの顔を見つめて,情けない目をしているだけなのである。
 オラと嫁は,何とか,二人がかりでムサシを救出した。
 救出された彼は,満足な笑みを浮かべていた。

 トラウマになった彼は,決して物を飛び越えようとはしなくなった。
 その後,彼を連れて散歩をしなくなったのは,言うまでもない。

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【655】

オラの家族 6  評価

ゑびす4 (2006年11月03日 00時18分)

 『オラの家族 Vol.6 チコとトコ 1』

 チコはオスのインコである。
 トコはメスのインコである。

 彼らは,あてがわれた番(つが)いとして,夫婦生活をそれなりに営んでいた。
 生まれた雛は7羽以上いたと思う。
 ただ,お互いに好みや相性はどうだったのかは,知る由も無い。
 勿論,幸せだったのかどうかも分からない。
 しかし,彼らは,やることはやっていたのである。

 チコは人懐っこく,人の肩や頭の上によく乗る鳥だった。
 よく部屋の中を盛んに飛び回っていた。
 口を鳴らして呼ぶと必ず寄って来た。
 しかし,触られるのはとても嫌いだった。

 トコは反対に人嫌いで,人に殆ど乗る事は無い鳥だった。
 部屋の中のお気に入りの所だけにいた。飛び回ることはあまり無かった。
 口を鳴らしていくら呼んでも絶対に近寄って来なかった
 しかし,掴まれたり,触られたりしても,なすがままだった。

 まったく正反対の性格の夫婦である。
 どう考えても同じ種類の生物とは言い難い。

 そんな彼らであるが,食事の嗜好は一致していた。
 粟と殻付きの何かを餌にしていたが,彼らは殻付きの餌を好んでいた。
 粟は,他の餌が無くなった時の非常食だったようである。

 そんな愛らしい彼らであったが,トコの最後は天寿を全うしたものではなかった。
 卵を産む時期になると,早めに巣箱を籠の中に入れるのが,オイラの役目だった。
 それまでは,きちんと入れていた。
 しかし,その時は何だか面倒くさくて,巣箱を入れるのを引き伸ばしにしていた。
 ある朝,トコの様子が変だった。
 お尻から卵の形の肉塊を出していたのである。
 オイラは何が起こったか,咄嗟に飲み込めた。
 トコは卵を産みたくて仕様が無かったのだが,巣箱が無いため,我慢をしていたのだ。
 我慢が限界を超えて,子宮(でいいのかな?)が,お尻から出てしまったのだ。
 オイラは,慌てて巣箱を入れた。
 しかし,時既に遅し。
 彼女はもう卵を産む時期を逸していた。

 そう,オイラが怠けたからだ。
 それを見かねたオイラの親父が,手荒な手術を施した。
 断ち切りばさみで子宮を切ったのだ。
 どれだけの痛みがトコを襲ったのだろう。
 どんなに苦しいかったろうか。
 次は,ちゃんと巣箱を入れてあげようと,オイラは強く心に決めた。

 しかし,次はもう無かった。
 トコは,翌日冷たく籠の中に横たわっていた。
 オイラは,トコを両手で包み,そっと土に埋めた。
 今も,土の中でトコはオイラを恨んでるだろう。
 でも,できれば,虹の橋の袂でオイラを待っていて欲しいと思う。
 そして,トコを肩に乗せて,虹の橋を渡りたい。
【647】

RE:オラの家族 番外編 2  評価

笑福亭エロ光 (2006年10月28日 18時38分)

おいらんちも黒い毛並みの柴犬だったよ♪

名前は「もも」 性別「女」 (生涯独身)

「もも」にもトラコーマがあったよ♪     (トラウマね)

下水とか用水路とかに蓋として

コンクリートで出来てるやつとかアルミっぽくメッシュみたいになってるやつあるよね♪

そのアルミっぽいメッシュの上を絶対歩かないんだ♪

妻から聞いた話だけど子犬の頃散歩中にそのメッシュに後ろ足がはまったらしい♪

それ以来散歩に行ってもそこだけは避けるんだ♪

足がはまっただけなのによっぽど恐い思いをしたんだろうな♪
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