返信元の記事 | |||
【8953】 | 第二弾・・・続き バト。 (2006年05月13日 15時53分) |
||
注:この劇場はフィクションですが、一部ノンフィクションで構成されています。 それが、どこなのかは、読者の判断におまかせいたします。 では、続き《 出会い 》 俺は呑み屋のママに、メールで来店を催促されて、店に向かっていた。 そもそも、何で俺のアドレスをママが知っているかというと、説明すると長くなるが、俺が自分から教えるはずもなく、ママに問いただしたところ、友達に聞いたら、あっさり教えてくれたらしい。(短いやん!) 人のアドレスを、本人の承諾も無く、勝手に教えるとは、俺もいい友達をもったものである。 知られた限りは、呑み屋のネットワークで、これ以上広がらないことを願うばかりである。 すでに、居酒屋を出たころから、ポツポツ小雨が降っていた。 会社を出るときに、傘を持って出ようか悩んだが、すでにあとの祭りである。 この様子では、そう本降りにはなりそうもないが、降ってきたとしても、ママの店に傘の1本や2本ぐらいあるだろうと、気にも留めなかった。 さすがに、この時間の飲み屋街は賑やかである。 店に遅刻しそうなのか、ミニスカートで走っているおねえちゃん。 すでに足元がおぼつかないおっちゃん二人組み。 テナントビルの入口で、携帯で店への道順でも教えているのだろうか、和服姿のおねえさん。 胸元が大きく開いたドレスで、谷間がクッキリ見えている、いかにもそそりそうなおねえちゃん。 行きかう人々は、今日はどんな一日を過ごしてきたのだろうか! 一日働いた疲れの憩いを求めて来る人、これから頑張って働く人、御気にのホステスを目当ての人、得意な歌を聞いて欲しい人、様々な理由があるにせよ、さしずめ俺と一緒で、接待も含め義理で来ている人が一番多いのかもしれない。 軒並ぶ呑み屋のビル街を歩いていると、あるビルの一角に新しくコンビニができている。 そこが以前どんな店だったのか、思い出せずにいた。 しかし、夜は賑やかで人通りも激しいが、以前たまたま昼に通りかかったときは、閑散としていたのに、これではたして採算が取れるのだろうかと思った。 よく考えてみたら、街中のコンビニも、深夜になれば客も少ないのだから、昼と夜が逆になっただけなのかもしれないと、納得した。 そんなことを考えながら歩いていたら、ふとビルの3階に「ミラージュ」と書いた、黄色い看板が目に飛び込んできた。 確かあそこは、この間まで「憩」という、どこの住宅街にもあるような名前のスナックで、俺がキープした国産のウィスキーボトルが、まだ半分ほど残っていたはずだが、経営者が変わってしまったのだろうか! いずれにしても、もうあの店へ行くことは無いだろうと思った。 この筋をもう一本反対側に渡った筋に目的の店がある。 そこへ行くためには、道路を大きく迂回して行かなくてはならないが、手前の小さな路地を通れば近道で、人通りも少ないのを知っていた。 もう少しで、その路地にさしかかろうとしていた。 その時は、この後起こる思いがけないことなど、知るよしもなかった。 ・・・・・続く。 |
■ 10,000件の投稿があります。 |
【8971】 |
バト (2006年05月14日 08時19分) |
||
これは 【8953】 に対する返信です。 | |||
路地にさしかかってきた頃、雨脚が強くなってきたように感じたので、やや早歩きになった。 そして、路地を曲がったと同時に、ド〜ンと体全体を襲う強い衝撃に、横につんのめりかけた。 「キャ〜〜〜ッ!」という悲鳴があがったと思ったら、目の前に蠢く物体が転がっていた。 強い衝撃の原因は、その物体と正面衝突した結果であることは、瞬時にわかった。 「イッタ〜〜〜イ」と発した物体は、もちろん人間で、若い女性だった。 「大丈夫?ごめん、ごめん!」 なぜか先に謝っていた。 横に転がったカバンを拾って腰をかがめ、様子を伺うと、すぐに立ち上がったので、安心した。 「あっ、携帯は?」と言って、キョロキョロと捜している。 どうやら、携帯も一緒に落ちたらしい! 二人でそこらへんを捜していると、薄暗い中にもごみ箱の陰に光る携帯電話を発見! 「ここにあったよ!」と言って渡すと、「ありがとうございます。」とお礼を言った。 「いや〜、悪かったね!大丈夫かい?」と、改めて聞いた。 「はい、大丈夫です!すみませんでした」 お互いに悪かったと思ってくれたようだ。 「そう!よかった」と言って、その場を離れようとした時、「あのう、○×駅はどっちでしたっけ?」と聞いてきた。 「○×駅と言っても、何線?」 「えっと、○○線です。」 「ああ、○○線の○×駅なら、この通りを真っ直ぐ行って、ええっと・・・。」ちょっと言葉につまった。 「俺も毎日利用しているんだけど、ここから説明するとややこしいから、お詫びにわかるとこまで一緒に行こうか?」 「えっ、いいですか?助かります。」と言って、もと来た道を二人で歩きだした。 大きなカバンが重そうだったので、持ってあげた。 最初は遠慮していたが、ここでも「まあ、まあ!」が通用した。便利な言葉である。 歩きながら、どこから来たのか聞いたら、何とここから2時間近くかかる、どちらかといえば、田舎町であった。 もちろん、これから向かおうとしてる駅の沿線には無い駅である。 理由は聞かなかった。というか、それ以上聞く必要もなかったので、その他たわいも無い話をしたように思う。 いぜんとして雨が降っていたので、途中から地下街に入っていった。 道順がややこしいのは、雨のせいで地下街から説明しようとした、好意によるものである。 地下街に入る階段で明るくなると、スカートの後ろの汚れに気がついた。さっき転んだときについたと思われる、 「お尻のとこ濡れて汚れてるみたい」というと、振り向いて「ほんとうだ〜!かっこわるい」と笑った。 「クリーニン代弁償しようか?」真剣だった。 「いえ、大丈夫です。換えはありますから」と言って、大きなカバンを指差した。 この重いカバンの中身は、服が入っているらしい。 その直後、彼女が急に立ち止まり、思いがけない言葉を発したのであった。 ・・・・・続く(だんだん長くなるな〜) |
|||
この投稿に対する 返信を見る (1件) |
© P-WORLD