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ゑびす4 (2006年09月22日 13時11分) |
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これは 【4】 に対する返信です。 | |||
『社長 vol.4』 社長はあまり酒が好きではなかった。 酒よりもコーラが大好きだった。 でもコンパでは,誰よりも飲んだ。 彼の得意技は,『カポ』である。 『カポ』というのは,一気飲みのことである。 ごくごくと飲むのではない。 一気に,本当に一気に胃に流し込むのである。一瞬でコップが空になる。 だから,毎年の学園祭での早飲み競争では,圧倒的強さでチャンピオンに輝いていた。 『カポ』を見るのは楽しかった。 そう,その日までは。 その日は,ゼミでのコンパが行われた。 学園祭の打ち上げである。 その日も社長は酒を飲むというより,流し込んでいた。 酒に飲まれていた。 彼がすっかり出来上がった時,彼を連れて帰るのは俺の必然の義務になっていた。 俺だって好き好んで,100kgの荷物を運びたくない。 俺が100kgの脂肪を肩に掛け,タクシー乗り場まで運び,狭いタクシーに無理やり詰め込み,タクシーの中では吐かないように気を配り,寮に着いた時には小さなタクシーから100kgの肉体を取り出し,約100mもあろうかと思われる長い寮への道を100kgの肉を担ぎ,寮の二階へ100kgの煩悩を担ぎ上げ,狭く,とてつもなく汚い部屋に転がり込んだのは,午前2時を過ぎていた。 部屋の床に散らばる臭い靴下や,エロ本をどけ,新聞紙をくまなく敷き詰めた。 そして,ゴミ箱に新聞紙を入れ社長を諭した。 「おい,S。吐きそうになったら枕元にゴミ箱があるからな。そこに吐けよ。一応床にも新聞紙敷いたからな」 「先輩,すみませんね」 と言った直後である。 彼は,床に敷き詰めた新聞紙をわざわざどけて,グリーンの絨毯に色とりどりの雪を巻き散らかした。 彼からの素敵なクリスマスプレゼントである。 俺は,そのプレゼントを靴下に詰めてやろうかと思ったが,流石に止めた。 次の日,大学の講義を休んだけど,キリスト様ならきっと寛容の心で許してくれたはずだ。 当然,社長は2日後に会った時には,そんなことは微塵も覚えていなかったのは言うまでもない。 |
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【4】 |
ゑびす4 (2006年09月22日 12時39分) |
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これは 【3】 に対する返信です。 | |||
『社長 vol.3』 社長は,北海道で有名な塾の講師をしていた。 そして,塾に来る中学生の可愛い子を見つけては俺達に報告をしてくれた。 「先輩,先輩,実は昨日可愛い子を見つけたんですよ。いっひっひっひ」 もう満面の笑みである。 本当に好きで好きでたまらないのである,女子中学生が。 まあ,確かにそうである。 彼を相手にする大人の女はいないであろうから。 これは彼の傾向であるが,同時に責任であり,義務でもある。 民事的にもなんら問題が無い。 しかし,塾に通わせてる親の心境や如何ほどであろうか? 心配である。 彼には責任を全うする能力は無い。 いつ手を,いやティ○ポを出してもおかしくないのである。 いつ出すか我々は期待していた。 そして,嬉しそうに話す彼を見るのは楽しいのである。 話を聞く我々は,刑事的に問題ない。 民事的にも全く問題ない。 気楽である。 ただ,楽しい話をするときの彼の行動にちょっと問題があった。 靴下を脱いだ後,足の指の間で色々な物を擦るのである。 擦るのは,ティ○ポもそうだが,自分の部屋でやってほしい。 彼の足は臭い。 俺の足も臭いが,彼には敵わない。 さらに,水虫であった。 もう最高である。 ある時,Nのアパートで,ギターのチューニングをするための音叉を足の指の間で擦った。 いつものように。 Nは,もろに嫌な顔をした。 しかし,社長は気付かない。 気付くわけはないのである。 彼は『非常識』を通り越して,『無常識』なのだから。 |
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【3】 |
ゑびす4 (2006年09月22日 10時33分) |
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これは 【2】 に対する返信です。 | |||
『社長 vol.2』 それは,6月だった。妖しい季節だった。 夕闇を心に映す季節だった。 以下に述べる事件は,大学の実験の最中に起きた。 Kが,自分は暗い人間じゃないと突然言い出した。 前々から,俺たちのゼミの中で,Kは『暗い』と言われていた。 それを払拭したかったのだろう。または,張り詰めた空気を緩めたかったのだろう。 Kが突然,「俺,みんなから暗いと言われてるけど,そんなことねえよ」と言い出した。 そして,みんなが黙々とフナのスケッチを描いている中で,「俺はサンシャインKだ」と大きな声で叫んだ。 俺たちは吃驚してKを見た。 そして,実験室は大爆笑に包まれた。 時は夜の11時。午後の1時から実験は始まったのだ。もう既に10時間は越えている。 みんな,単調で苦痛な途轍も無く長い時間を過ごしたことで,妙なハイテンションモードに入っていた。 経験がある方は分かるであろう。 徹夜などをしていると,頭がマヒ状態になり,何を言っても面白く,みんなゲラゲラと大声で笑い転げる時間帯があることを。 この時の俺たちが,そういう状態だった。 そして,♂たちが自分に横文字の渾名を付け始めた。 Nは「それなら俺は,セクシーNだ」と叫び, N2は「俺は,アダルトN2だな」とボソッと言う。 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 社長は満面の笑みで「それじゃ,私はナイスミドルSということで」とのたまった。 そうなのだ。 彼は気付いていたのだ。自分がみんなから中年に見られているということを。 俺たちは真夜中の実験中にも拘らず,ガラスが割れんばかりに笑った。 Y(女性。今で言うロリ顔で可愛い)は,先輩の差し入れのミスドのコーヒーを吹いた。 O(女性。松田聖子の大ファンで,自分もいつかは芸能界に入ると考えていた。美人)は,ぽつりと言った。「社長,自分のこと分かってるんだ」 それから,ゼミの中で,Sのことを『社長』と呼ぶのに,ためらう者はいなくなった。 そして数百人の他ゼミの者もみんな,社長と呼び,彼を知らない者はいなくなった。 天皇が国の象徴であるが如く,彼は大学の象徴となった。 勿論,大学当局は嫌だったろうけど・・・。 |
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【2】 |
ゑびす4 (2006年09月22日 09時52分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
『社長 vol.1』 彼の名は『社長』。 本名はとてもじゃないが言えない。 社長と俺は同じゼミの出身だ。 俺が社長を初めて見たのは,入学式だった。 第1印象は,「誰の親だ?」 社長は,入学式の新入生(大学も新入生でいいのか?)の席の辺りで,右手で髪をつまみながら辺りを見渡していた。 俺はてっきり,新入生の親が間違えて学生の席に来てしまったのだと思っていた。 そうではないことを,後に社長自らの言葉で聞く事になる。 まあ,これはどうでもいいことだ。 新入早々,彼はゼミの先輩から『社長』という,ありがたいような,ありがたくないような渾名をもらうことなり,それから俺たち以外の人は社長の本名を忘れていった。 そう,彼は4年間,先輩からも後輩からも,男からも女からも,『社長』以外で呼ばれることはなかった。俺たちを除いて。 彼はデブだ(事実)。 彼は油っぽい(髪の毛がいつもべたついている。入浴直後も。事実)。 彼は胸にいつも,点々とソースやケチャップの汁を付けている(腹が出っ張ってるからどうしても付いてしまう。事実)。 彼は眼鏡を掛けている(事実)。 彼は方形だ(事実)。 彼はロリコンだ(後に知った)。 彼の父親はDQNだ(彼に聞いた)。 彼は東京の足立区出身だ(彼に聞いた)。 彼はある一流大学の付属高校出身だ(しかしその高校は,ぜんぜん有名でない。事実)。 彼は妙に政治に詳しい(話し出したら30分は止まらない。事実)。 彼は1度,クイズ番組に出て,ハワイ旅行をしたことがある(彼によれば)。 要するに秋葉原を歩けば,間違いなくロリコンのオタクである。 こんな愛すべき奴と俺は,12年間付き合うこととなった。 人生は素晴らしい。 |
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