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【301】 | ある選考会 のほほんむら (2012年01月18日 14時35分) |
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平成24年1月某日。東京・築地、料亭「新●楽」一階座敷 文●春●社編集長⇒以下(編) 「えー、大方の意見も出揃ったところなので第146回(平成24年上期)芥川賞はこの二作品ということで…」 のほほんむら⇒以下(の) 「しばし、しばし、お待ちください」 (編)「うん?なにかね、君は?」 (の)「は、私、今回の特別選考委員として同席を許された、のほほんむら、と申します」 (編)「ああ、君が…いや主催から聞いていたよ。で、何か?」 (の)「はい、概ね先生方の御意見まとまったところではございますが、是非、一読して頂きたい作品あって持参しました」 (編)「持参?ということは未発表作品ということかな?」 (の)「はい、とある世界では太宰治の再来と噂されている新人の作品です」 (編)「ふむ、元々芥川賞というのは文壇の新人発掘として設けられた賞だ。何度もノミネートされている作家より無名の新人、大いに興味あるな。ちょっと読ませてもらうか」 <のほほんむら、角封筒からうやうやしくA4原稿用紙を取り出し手渡す> (編)「なに?赤加速…?ほう、このご時世に赤色革命を夢見て疾走する青年の話か?」 (の)「いや、それは筆者のハンネ…いや、ペンネームでございまして…」 (編)「そうか、そうか。して、タイトルは…ちょぃパチ日記♪?なんじゃ、こりゃ」 (の)「企業戦士たる一人の男が忙殺される束の間、パチンコで癒される心境のつれづれを描いた作品です」 (編)「ぬぁに、パチンコが題材?」 (の)「編集長、畏れ多いと存じますが現代社会でパチンコを遊戯や娯楽というジャンルで捉えるのは錯誤でございます。現代ではパチンコはカルチャーというよりアカデミーであります。何よりこの赤加速なる男、パチンコのタイガーマスクという機種に関しては数学理論的考察という論文をてがけているその世界では超有名人であります」 (編)「ふむ。そういうものか。まあ、よかろう。しかし、汚い字だなぁ」 (の)「いや、それはまだ出版化されていないため、私が原稿用紙に書き写したもの故、お許しを…」 (編)「まあ、いい。文学というものは文字の巧拙は無関係だ。あの石原●太郎の清書原稿も左利きのカナ釘流で恐ろしく読みづらかったと聞くからな」 <原稿を読み始める編集長> (編)「なるほど…日記とあってモノローグ文体、最近あまり見なくなったスタイル。ほう、パチンコを打とうとしながら一発も打っていないではないか。それでいてこの心象描写、パチンコの魅力はよく分からんが、なかなか読ませる」 (の)「でしょう!読み手をあたかも当事者として一体化させている感じがしませんか!」 (編)「ただ、セリフにややキレ気味な調子が気になるな」 (の)「それはラストのセンチメンタルなエンディングに対する“カセ”なんですよ」 (編)「なるほど。しかし、ちょっと短編過ぎやせんか?」 (の)「いやいや、続編がございます。次はもっと読ませます」 <のほほんむら、編集長の反応に気を良くして続編を手渡す> 続く… |
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【302】 |
のほほんむら (2012年01月18日 14時38分) |
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これは 【301】 に対する返信です。 | |||
続き… <続編を読んでいた編集長の肩が小刻みに揺れる> (編)「ふむ、ふ、ふふふふ…ふぁ、ふぁ、ふぁっ、ふぁっふぁっふぁっ(笑)e イボイノシシかなんか知らんが、この上司とのやりとり、企業戦士の哀しい一面も垣間見えて読ませるのう。回想のカットバックも効いとる。文学というよりシナリオに近いが読者のイマジネーションを多いに書きたてる。また、ラストのオチがいい! おい、君、早く次を読ませろ」 (の)「は、いや一応、今回はこの2本ということで…」 (編)「なんだ、せっかく面白くなってきたんだ。こりゃ選考を振り出しに戻さなきゃならないんだぞ。いいから、よこせ」 (編)「ふむ。今回のちょいパチは長い…いよいよ長編か。ん?やたら♪記述が目立つようになったなぁ。おい、アザースッでなんだこりゃ。やたら⇒も増えてきて…倍PUSHでなに?回収+34200円、トータル+16200円って。こいつ出版する前からもう印税稼いでいるのか?おい、どういうことだ!もう、全部こっちに渡せ!」 <嫌がるのほほんむらから原稿の束をひったくる編集長。もはやストーリーには眼もくれずラストの収支報告のみをチェックする。青ざめるのほほんむら> (編)「ぬぬぬぬぬぬっ!打ち散らかした挙句また、稼いどるっ!どういうことだっ!だいたい君っ!企業戦士などとのふれこみだったがこいつ、ホントに働いとるのかっ!しかも年明けすでに+6万円オーバーって、わしなんか嫁さんから昼飯代込月3万円しかもらっとらんぞ!こんな輩にロンジンの懐中時計と100万円なんか貰う資格はNO、NO、NO、ミスターNO!だ!」 <ローリングタイガーの形相で原稿を引き破る編集長> (の)「あわわ…やっぱ、目覚めおった…あかん、スルーで逃げよw…」 文字では伝えられない魅力がある。名誉では購えない誇りがある。 赤加速よ…次回はポプラ社の新人賞だ… |
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