| トップページ | P-WORLDとは | ご利用案内 | 会社案内 |
返信元の記事
【30】

10年後のクレ●ンしんちゃん(2)

たいちょ。 (2006年09月08日 08時55分)
8 : ◆たいちょ。:2006/04/07(金) 01:44:48.83 ID:60VRmiQN0



ひまわりちゃんは、悲しそうな顔になって、
僕の目の前にごはんを置いた。
そして、両手でわしわしと僕の顔をかきまわす。
ちょっと苦しい。


   「お腹減ったら、食べればいいよ。」


おしまいにむぎゅうっと抱きしめられてから、そう言われた。
学校に行くんだ。。。

いってらっしゃいと言おうとしたけれど、やっぱり言う気になれなくて。
僕はぺたんとねころんだ。

へいの向こうにひまわりちゃんが消えていく。
顔の前に置かれたおちゃわんを、僕は鼻先ではじに寄せた。

お腹は、ぜんぜん空いていない。





10 : ◆たいちょ。:2006/04/07(金) 01:45:32.66 ID:60VRmiQN0



ごはんを欲しいと思わなくなった。
おさんぽにも、あんまり興味はなくなった。

でも、なでてもらうのは、まだ好き。
抱きしめられるのも、好き。

『ジュケンセイ』っていうのが終わったら、
しんちゃんは…また僕をいっぱい、なでてくれるのかな。
抱きしめてくれるのかな。
そうだといいんだけど。。。





12 : ◆たいちょ。:2006/04/07(金) 01:45:48.60 ID:60VRmiQN0



目を開くと、もう辺りはうすむらさき色になっていて。
また、まばたきしているうちに一日が過ぎちゃったんだと思う。

ここのところ、ずっとそうだ。何だかもったいない。
辺りを見回して、鼻をひくひくさせる。
しんちゃんの匂いはしない。。。

まだ、帰ってきてないんだ。

さっき寄せたはずのおちゃわんのごはんが、
新しくなっている。お水も入れ替えられている。

のろのろと体を起こして、お水をなめた。冷たい。
この調子なら、ごはんも食べられるかと思って少し
かじったけれど、ダメだった。

口に中に広がるおにくの味がキモチワルイ。
思わず吐き出して、もう一度ねころがる。

夢のなかは、とてもしあわせな世界だった気がする。
僕はまた夢を見る。

しんちゃんと最後に話したのは、いつだっただろう。。。


つづく

.

■ 41件の投稿があります。
5  4  3  2  1 
【31】

10年後のクレ●ンしんちゃん(3)  評価

たいちょ。 (2006年09月08日 17時35分)


14 : ◆たいちょ。:2006/04/07(金) 01:46:14.94 ID:60VRmiQN0



僕はしんちゃんを追いかけている。
しんちゃんはいつものあかいシャツときいろいズボン。
小さな手は僕と同じくらい。


シロ、おて
シロ、おまわり
シロ、わたあめ


『ねえしんちゃん。僕はしんちゃんが大好きだよ。』

『オラも、シロのこと、だいすきだぞ。
    シロはオラの、しんゆうだぞ!』



わたあめでいっぱいのせかいは
いつもふわふわでいつもあったかで
いつまでもおいかけっこができる



いつまでも…
いつまでも… 



そうず〜と
ず〜〜っといつまでも。。。




20 :◆たいちょ。:2006/04/07(金) 01:48:48.90 ID:60VRmiQN0



また朝がきた。
でも、その日はいつもと違っていて。
しんちゃんのお母さんが、僕を車に乗せてくれた。

しんちゃんのお母さんの顔は、気のせいか苦しそうだった。

車はまっ白なお家の前で止まって、僕は抱きしめられたまま下ろされる。
そして一回り大きなふくろの中につめられた。
まっくらだ。どうしようか。

昔なら、びっくりしてあばれてしまったかもしれない。
でも今は、そんな力も出ない。

とりあえず丸くなると、体がゆらゆらとゆれた。
それがしばらく続き、次にゆれが収まって、
足もとがひんやりとしてくる。




21 :◆たいちょ。:2006/04/07(金) 01:49:20.46 ID:60VRmiQN0



いきなり辺りがまぶしくなった。
目をぱしぱしさせていると、変なツンとした匂いがする
手につかまれ、持ち上げられる。

いっしゅんだけ体が宙に浮いて、すぐに冷たい台の上に下ろされた。
まっ白い服を着た人が、目の前に立っている。
そばには、しんちゃんのお母さん。

二人が何かを話している。
白い人が、僕の体をべたべた触る。
しんちゃんのお母さんが、泣いている。

.
5  4  3  2  1 
メンバー登録 | プロフィール編集 | 利用規約 | 違反投稿を見付けたら