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【25】 | 13年後のクレヨンしんちゃん 3 (%) (2010年02月19日 00時54分) |
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21 名前:第二話(2/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:49:20.46 ID:60VRmiQN0 いきなり辺りがまぶしくなった。 目をぱしぱしさせていると、変なツンとした匂いがする手につかまれ、持ち上げられる。 いっしゅんだけ体が宙に浮いて、すぐに冷たい台の上に下ろされた。 まっ白い服を着た人が、目の前に立っている。そばには、しんちゃんのお母さん。 二人が何かを話している。白い人が、僕の体をべたべた触る。 しんちゃんのお母さんが、泣いている。 22 名前:第二話(3/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:49:54.03 ID:60VRmiQN0 どうして泣いているのか解らないけれど、なぐさめなくちゃ。 でも、体が動かない。またあの眠気がおそってくる。起きていなきゃいけないのに。 なんとか目を開けようとしたけれど、ひどく疲れていて。 閉じていく瞳を冷たい台に向ければ、そこに映るのはうすよごれた毛のかたまり。 なんて、みすぼらしくなってしまったんだろう。 24 名前:第二話(4/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:50:16.79 ID:60VRmiQN0 ああそうか、僕がこんなになってしまったからなんだ。だからなんだ。 だからしんちゃんは、僕に見向きもしないんだ。 おいしそうじゃないから。 あまそうじゃないから。 僕はもう、わたあめにはなれない。 26 名前:第二話(5/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:50:52.84 ID:60VRmiQN0 わたあめ。 ふわふわであまあまの、くものかたまり。 いちど地面に落ちたおかしは、もう食べられないから。 どんなにぽんぽんはたいても、やっぱりおいしそうには見えないよね。 だけど、君はいちど拾っててくれた。 だれかが落として、もういらないって言ったわたあめを。 だから、もういいんだ。 |
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【26】 |
(%) (2010年02月19日 00時55分) |
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28 名前:第二話(6/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:51:12.89 ID:60VRmiQN0 何かにびっくりして、僕はまた戻ってきた。 見なれた僕のお家。いつもの匂い。少しはだざむい、ゆうやけ空。 口の中がしょっぱい。 「なんで!!!!!!」 いきなり、辺りに大声が響いた。びりびりとふるえてしまうような、いっぱいの声。 重たい体をひきずって、回り込んで窓からお家の中をのぞきこむ。 しんちゃんのお父さんとお母さん、ひまわりちゃん。 そして、僕の大好きなしんちゃんも。 みんなみんな、泣いていた。 32 名前:第三話(1/4) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:54:02.21 ID:60VRmiQN0 「母ちゃんの行った病院は、ヤブだったに決まってる!! オラが、他の病院に連れてくぞ!!!」 しんちゃんが、ナミダをぼろぼろこぼしながら、怒っている。 ひまわりちゃんも、うつむいたまま顔を上げようとしない。 「しんのすけ、落ち着け。仕方ないんだ。」 しんちゃんのお父さんが、ビールの入ったコップをにぎりしめたまま呟いている。 「仕方ないって、父ちゃんは…ホントにそれでいいの!!!???」 「良いわけないだろ!!!!!」 しんちゃん以上のその大きな声に、だれもなにも言わなくなった。 その静かな中に、しんちゃんのお父さんの低い声が、ゆっくりひびく。 33 名前:第三話(1/4) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:54:26.96 ID:60VRmiQN0 「しんのすけ、良く聞け。いいか、生き物は何時かは死ぬんだ。 それは、俺たちも同じだ。……もちろん、ひまやお前の母さんもそうだ。 それが今。その時が、いま、来ただけなんだよ。解ってたことだろう?」 しんちゃんは、なにも言わない。しんちゃんのお母さんも、続ける。 「あのね、ママが最初ペットを飼うのに反対したのはね、そう言う意味もあるの。 しんちゃんに辛い思いをさせたくなかったから…ううん。 私自身が、そんな辛いお別れをしたくなかったから。だから、反対してたの。 でも、もうこうなっちゃった以上、仕方ないでしょう? せめて、最期を看取ってあげることが、私たちに出来る一番良い事じゃないの?」 「最期って!!!」 しんちゃんが泣いている。ぼろぼろ泣いている。手をぎゅっとにぎりしめて。 僕よりもずっと大きくなってしまった手を、ぎゅっとかたく。 34 名前:第三話(3/4) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 01:55:04.41 ID:60VRmiQN0 僕の体のことは、たぶんだれよりも僕自身が一番知っていて。 でも、いいと思っていた。 このままでもいいって。 だって夢の中はあんなにもあったかくてあまくって。 だからずっとあそこにいても、かまわないと思ってたんだ。 それじゃだめなの? |
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