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【4318】 | RE:駄小説 『オレンジ色をした花びら』 あちちち (2009年09月01日 11時50分) |
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≪7≫ 毎朝欠かさず見る朝のテレビ番組を、今日は寝坊して見逃してしまっていた 朝食を手短かに済ませ、家を出て自転車に跨(またが)る 窓から母親が顔を出していた 「そういえば今日の占いは、あんた星座1位だったよ!」 その声を背中で聞き、僕はサドルに座らず自転車をこぎ始めた 寝坊といっても学校に遅刻するぐらいの時間ではなく 朝練の時刻に遅れる寝坊だった 着替えを済ませ体育館に入ると、案の定女バスの部員らが先入りしている 「おぅ 今日は遅いんだな!」 女バス顧問の清水先生は、してやったりの顔でそう言った 僕はほとんど毎日1番に体育館に来ていたので 脇のゴールではなく、2個しかないオールコート仕様の片方のゴールを いつも占拠していた それは市内でも強豪で通っている女バスと、弱小男バスとの いわば暗黙のルールであり おいしいゴールを先取りすることで、 大勢にも負けず僕はいつもそこで練習できていた 僕は優越感に浸る清水先生の視線を尻目に 端っこの余ってるゴールに向かい、ボールを放り投げてみた …なんとこれが気持ちのいい音を立ててスパっとゴールに吸い込まれる (今日はツイてるな、そういえば占いも良かったんだっけ) その後も面白いようにアウトサイドのシュートが次々と決まっていく 手首の感覚が抜群だ 膝の使い方も左右偏らない 結局この朝練で僕は、自己新記録となる3Pシュートを11本連続決めることができたのだった (な、なんかいいぞ 今日のオレ・・・) この原因不明な快進撃は、放課後までその勢いを止めなかった |
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【4319】 |
あちちち (2009年09月01日 11時55分) |
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これは 【4318】 に対する返信です。 | |||
5周くらいを過ぎたころ いつものランニングハイに陥った僕は、少しギアを上げて走っていた 4階から3階への階段を1段飛ばしで駆け降りたところでそのハプニングが起こる 「あっ 危ね!!」 廊下の影から現れた人影にぶつかってしまった 咄嗟のサイドステップで正面衝突こそ免れたようだったが 向こうもボケっとしてたのか、かわす反応が遅れたようだった あ・・・・ ぶつかった相手は思いもかけない人だった 「あ、あ〜 磯里さん、ごめんね? 大丈夫・・?」 僕は汗で濡れた手をTシャツで拭い その手を差し伸べた 「う、うん・・・ あたしも余所見してたから」 彼女はその直後にぶつかった当事者が僕だと気づいた様子だ 「あ、藤沢君じゃない」 彼女が落としたバッグを拾ったところ、向かえの教室からエリが出てきた 突然のことで互いに驚いた後で、少しの気まずさが 目が合ったときに二人を襲う 途端エリが僕に 「ちょっと こっち!! ・・・・いいから〜 早く!!」 僕は磯里さんに気を取られながら何が何だかわからず その場から少し離れたところに連れてかれた 「ちょっと! 超〜タイミングいいじゃない! 今ね 磯里さんと教室で話してたのよ」 「へ? 何を?」 僕は上がっていた息を整え、声を小さくして話すエリに顔を近づけた 「だ〜か〜ら〜 前に言ったでしょ? 仲を取り持ってあげようかって」 僕はロードワーク中だったこともあって まだエリの言っている意味がわからなかった 「磯里さんね、けっこうイイと思ってるみたいよ 藤沢君のこと! これも何かの縁だから、今言っちゃいなよ!」 明らかにまだ状況が把握できていない僕と 水面下で作為的なことを考えていたエリとの間には温度差があったが、 僕は 「う、うん わかったよ」 うまく乗せられそう答えてしまった 振り向くと磯里さんが何やら不思議そうな顔でこちらを窺っている 「いい? F組の教室に二人入るから少したったら入ってきて!」 「いや・・・ちょ。 僕まだロードワーク中なんだけど・・・」 僕は後ろから走ってくる後輩らの視線を気にしながら耳打ちした 「このタイミング逃したら いつ言うのよ! ぶつかったのが功を奏すると思って今言うのよ!」 うまく頭の中の整理がつかなかったが とりあえず部活中だったのでもう1周走ることにし、 先輩には突然の腹痛で棄権する、ということにした後 僕は小走りに3階ある F組の教室を目指した その時、僕の背中を押していたものはエリの助言ではなく きっと今朝のテレビの占いだったのかもしれないな そう思いながら僕は教室の戸を開けた |
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