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【31】

愛すべきおばぁちゃん達(2)

たいちょ。 (2006年11月25日 18時44分)

糖尿病を患ってて、目が見えなかったばあちゃん。
一番家が近くて、よく遊びに来る私を随分可愛がってくれた。
思えば、小さい頃の記憶は殆どばあちゃんと一緒に居た気がする(母が仕事で家に居なかった為)。

一緒に買い物行ったり、散歩したり。
だけど、ばぁちゃんが弱っているのは子供だった私でもわかっていた。

高校に入ると、友達と遊ぶほうが多くなっていて、ばあちゃんの家に行くことが少なくなっていた。
たまに行くと、「さぁちゃんかい?」と弱々しい声で反応してた。
もう、声だけじゃ私だってわからなくなっていた。
「そうだよ、さぁちゃんだよ。ばーちゃん、散歩行こうかー?」
手を取って、散歩に行ったけれど、もう昔歩いた場所まで、ばぁちゃんは歩けなくなっていた。
それから、あまりばあちゃんの家に行くことは無くなってた。

暫くして、母さんから「ばぁちゃんがボケちゃったよ」と聞いた。
誰が誰だか、わからないんだって。
私のことも、わからなくなってるらしい。
なんとなく、覚悟は出来ていた。けれど、悲しかった。

それから。
半年くらい過ぎた頃。
ばぁちゃんが死んだっていう報せが届いた。
泣くこともなく、通夜、葬式が終わった。


葬式が済んだあと、私は叔父に呼び出された。
叔父はばぁちゃん達と最後まで暮らしていた人だ。

「箪笥の中にな、『さぁちゃんの』っていう封筒が入ってたんだよ。」

そう言って、私に封筒を手渡した。
ばぁちゃんの字で、さぁちゃんのって書いてあった。
中身は、通帳だった。私名義の。
二十万ほどの預金が入っていた。
働いてないばぁちゃんが、こつこつ貯めたお金。

そういえば、昔、ばあちゃんが話していた。
「さぁちゃんが結婚するときのために、ばーちゃん頑張ってるからね。」
「だから、ばぁちゃんにも孫抱かせてね。」

その夜、初めて泣いた。

ばぁちゃん。
あれから5年も経っちゃったけど、さぁちゃん、来年結婚するよ。
孫抱かせてやれなくてごめんね。

でも、喜んでくれるよね。




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【32】

愛すべきおばぁちゃん達(1)  評価

たいちょ。 (2006年11月25日 18時47分)


とっくに亡くなった祖母のこと。

夏に実家に帰った時、祖母が私に「どなたさんでしたか」と聞いた。
痴呆症が進行中で、たまにしか帰省しない私を認識できないよう
だった。名前を言っても「ほう、遠いところからそれはそれは」と
お客さんに対するような口ぶり。

2〜3日の滞在中、とうとう思い出してもらえなかった。
寂しい気持ちで「じゃ、行ってくるから」と声をかけると、祖母は
ちょっと待って、と合図して立ち上がり、自分の部屋へ手招きした。
箪笥の引き出しから取り出したのはくしゃくしゃのチラシに包まれた
薄い物。とめてあるゴムが劣化してくっついている。「あけていい?」
チラシを開くと、旧札で3000円入っていた。
かなり前に包んだ物のようだった。

「おばあちゃん、私はいいからなんか好きなもの買いなよ」
「いいから。○○くんと△△にでも行って来なさい」

○○くんは高校時代に私がつきあっていた男の子、△△はとっくに
潰れた喫茶店の名前。
当時両方の家からつきあうのを反対されてたけど、おばあちゃんだけは
○○くんとの話をにこにこしながら聞いてくれてた。


帰りの飛行機の中で、チラシをにぎりしめて泣いた。




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