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【18】

思わず涙が出ちゃうおはなし。(4)

たいちょ。 (2006年11月23日 16時49分)
 次の日、彼女の父親から喪服を渡されました。
そして、二通の手紙を手渡され、今夜は君もあの子の
そばにいてやってくれと言われました。

私はひとまず部屋に戻りました。
部屋に入った私はしばらく力無く部屋に座り込んでいました。
ふと手に握らされた手紙を思い出し、二通の手紙を見ました。
一通は彼女の父親からでした。
中を見ると一枚の便せんにしっかりとした字で、

すまなかった、そしてありがとう、
その二言が書いてありました。

もう一通は彼女の字で、私に当てた手紙でした。
中には、私と出会った頃から彼女が入院するまでの事が、
びっしり書き込まれていました。

そしてその内容一つ一つに、自分がどれだけ幸せだったか、
どれだけ救われたかが書かれていました。
その手紙を読みながら、私はまた声を上げて泣きました。

その手紙の最後には、こう書かれていました。


 私が居なくなっても、○○ちゃんは元気でいてね。
私のすごくすごく大切な人だから、沢山幸せになってね。
新しい彼女見つけなきゃだめだよ。
私のこと好きなら、○○ちゃん、絶対に幸せになってね。約束。



私はシャワーを浴びながら、声を上げて泣きました。
いつまでもシャワーを浴びながら泣き続けていました。

シャワーを出た私は、彼女の父親から受け取った喪服を着ました。
なぜか私にぴったりのサイズでした。

まだ涙は乾いていませんでしたが、喪服に着替えた私は、
彼女の家に行きました。
彼女の家には少しずつ親類や知り合いの方々が集まって
来ている様でした。

私は彼女の両親に連れられ、彼女の安置されている部屋に通され、
彼女のすぐ側に席をあてがっていただけました。

彼女の両親は、親類縁者の方々に私を彼女と付き合っていた青年
だと紹介されました。

通夜と葬式にも出席させてもらえました。
そして常に私があてがってもらえた席は、彼女に一番近い席でした。
彼女の両親よりも近い席でした。

私はその席を辞退しようとしましたが、彼女の父親に諫められました。
君がその席に座らなくてどうする。
私たちに気遣うならその席に座ってくれと。



今は彼女の父親に紹介された会社で働いています。
いったんは断りましたが、彼女の父親と直接関係のある
会社ではない事、そして仕事が気に入らなければ自由に
辞めて良いと説得され、その好意を受けることにしました。


 彼女の思い出はまだ鮮明に心に残っています。


〜あとがきへつづく〜

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【19】

思わず涙が出ちゃうおはなし。(5)  評価

たいちょ。 (2006年11月23日 16時57分)

私はそんなに強い人間じゃありません。

彼女と出会うまでは、斜めに構えた荒れた人間でした。
自分は一人で生きているんだという、妙に冷めた面もありました。

それを変えてくれたのは、彼女だったのです。
自分は一人じゃない、多くの人の力で支えられているのだと教えられました。


彼女が入院した時、
自力で高校卒業、大学進学、就職と経験していましたので
今の会社を辞めても、どうやってでも自分一人くらい生活できると思い、退職する事が出来ました。

世間体とか親の目とかがない分、辞めるのにも抵抗が
なかっただけだと思います。

彼女が旅立ってからは、彼女のご両親に支えられました。
私より辛いはずのご両親が、そこまでしてくださいました。

本当に自分は一人じゃないんだと思えました。
だから決して自分の力で立ち直ったわけではないのです。

彼女と彼女のご両親には、多分一生かかっても受けた恩は
返せないと思います。

その一方、彼女のご両親も私がいつまでもそのご好意に
甘えてはいないだろう事もご存じのようです。

彼女のためにも、はやく独り立ちし、
今度は私が誰かを支える番だと考えている事に、
気がついておられるようです。

人は一人では生きられません。
一人で生きているんだという考えはただの傲慢だと学びました。

人に恩を受け、そして恩を受けた人間は、
次の人にその恩を受け渡していく。

そういう恩のリレーが、人が持つ本当の強さなんだと思っています。

こんな私でも、誰かの心に届く事が出来るんだという、
大きな財産をいただきました。

私の思い出話を読んでくださったすべての方に、
心から感謝し、これからのご幸運をお祈りします。




〜〜おしまい〜〜

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