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【88】 | オトリそうさ じょん・ムルアカ (2006年05月17日 16時47分) |
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連休最終日、 どしゃぶりの雨の中、俺は車を南へと走らせた。 ♪プルルルルルルル… ガチャ 俺「よう、チロル」 チ「今、何処だ?」 俺「アンモニアの匂いがする」 チ「じゃあ近いな… ○○交差点にこい。そこで待ってる」 ♪プチッ… ツーツーツー 「○○交差点?なんかエロい地名ダナぁ」… 俺は半信半疑のまま指定された場所に向かった。 ○○交差点を折れると、荒んだ町工場がある集落にたどり着いた。 俺は車を止め、辺りを見回した。 連休のせいだろうか、不景気で廃業に追い込まれたのだろうか、どの工場もシャッターを降ろしている。 雨のせいだろうか、辺りにヒトケはなく、ダンボールを集めるおじさんが一人フラフラと歩いているだけだった。 しばらくすると、俺の車に一人の小男が近づいてきた…… チロルだ。 俺「よぅ」 チ「おぉ」 俺「閑静な住宅街じゃないか」 チ「まぁな」 俺「で、キミのアジトは?」 チロルがすぐ後ろの建物を指差した。 チ「ここだよ、俺のアトリエは」 チロルが指差す建物には○○モータースとう屋号が掲げられてあり、 その下には「密売」「違法改造」「メーター改ざん」「偽造保険」etc…「その他なんでもお気軽にご相談ください」というキャッチコピーが書き出されてあった。 俺「手広く商売してんだなぁ」 ♪カラカラカラカラ… シャッターを開けながらチロルが言う。 チ「オレラみたいな車屋はなんでもせんと食っていけんからな」 俺「ちなみにメーターの改ざんで幾ら取るんだ?」 チロルは悪びれる様子もなく言った。 チ「10000キロで20万、それ以上は交渉だな」 俺「ふ〜ん」 チ「まぁ、とりあえず車入れろよ」 ♪ブオォォォ〜ン…ブオォォォ〜ン… 寂れた町工場に12亀頭が奏でるエキゾーストノースが轟く… その瞬間… 俺は目にも留まらぬ速さで華麗なるスピンターンを決め、 寸分の狂いなく“愛車フィオラノ”を車庫へと収めたのであった。 つづく |
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