| トップページ | P-WORLDとは | ご利用案内 | 会社案内 |
返信元の記事
【227】

RE:流れ者日記

東京流れ者 (2020年05月29日 22時42分)
暇な流れ者が頼りにするのはTSUTAYA。

今日は「信長を殺した男」(全6巻)を借りて来た。

(なお、ここからネタバレに注意されたし)

副題は「本能寺の変431年目の真実」とある。
どんな意外な真実が描かれているのか、わくわくして読んだのだが。

どうもこの作品は、後世悪辣な裏切り者として伝えられる明智光秀の汚名を雪ぎ
本当に悪辣で悪魔のような人物は豊臣秀吉であった、という事を描きたいようだ。

本作の原作者は明智憲三郎と言い、明智光秀の子孫の方らしい。
祖先の汚名を雪ぐ事が悲願だというのは理解出来る事なのだが、どうにもこれは
やり過ぎだと思える。

まず、この作品歴史の考証を重点に置いているせいか、ひどく読み進めるのが難しい。
それは事ある毎に、いかに光秀が清廉潔白で、秀吉が悪辣かの描写が入るため
リズムが悪く、先に進めないためと思われる。

明智光秀の子孫がいかに秀吉を憎悪しているか、というのが読み取れるが、それは贔屓の引き倒し。
それも決定的な証拠があるようには見えず、双方同じように残虐な戦をしている(ように見える)
作品中でも延暦寺討伐で信長に「魔王になれ」と言ったのは光秀であり、後日信長を「魔王」と呼び
倒す決意をする光秀を描くところ、作品内で光秀の矛盾を突いている。

伝え聞く秀吉の晩年の悪辣さを考えれば、信長存命時の秀吉も相当悪さをしていたのではないかと思うが
それは戦国武将の多くがそうであったのであり、光秀が特に清冽で秀吉が特に悪辣だったという歴史上の証拠はない。
(作品中に示されるのはあくまで傍証であり、本人の書き記したものはほとんどない)
作品中では光秀を聖獣と呼び秀吉を魔獣と呼んでるが、これを読んだ豊臣秀吉の子孫の方はどう思うかねえ。

まあ、気持ちはよく分かるのだが少し気になるのは、日本人は判官贔屓と言われるように破れた英雄に味方する
気質があるはずなのに、光秀にはそういう伝聞が殆ど見られない。
情報操作に長けた秀吉が歴史を捻じ曲げたというのが作品で主張している事だが、庶民はそういう情報操作に
関わらず、悲劇のヒーローを作り上げる。義経しかり幸村しかり。
光秀にほとんどそういう伝聞がないのは、当時の庶民にあまり人気がなかったのではないか、と疑ったり。

「431年目の真実」という文言に何か衝撃的な事実が描かれているのか(例えば信長暗殺を計画したのは秀吉とか)
と思ったが、作品中でも信長を襲ったのは光秀でその辺に目新しい事は描かれていない。
光秀の信長暗殺の動機が、信長の唐入り(明への侵攻)の意思のせい、というのはちょっと意外だったが
いやいや、それは動機として弱いんでは? と、思う。
戦国武将たちは皆徹底的にリアリストで、信長が将来的に明侵攻を志していたとしても、直近の出来事の方が重要であり
光秀にとって盟友である長宗我部の命運が絶たれる事を恐れた、という方がよっぽど動機らしい。
日本の未来のため、主君を殺すなんてのは、あまりに美化し過ぎだと思うが。

と、まあ少し辛辣な書評になってしまったが
作品中で、世の学者や作家は皆バカだ、というような事書いてるのは、ちょっとね。

全てフィクションであると書いてるならともかく、これが真実だという主張なら
ここまで一方的な書き方はないと思うね。

せめて「こういう事かもしれない」という書き方をしたほうがいいんではないでしょうか。

ま、流れ者も光秀は嫌いじゃないが。

     

■ 870件の投稿があります。
87  86  85  84  83  82  81  80  79  78  77  76  75  74  73  72  71  70  69  68  67  66  65  64  63  62  61  60  59  58  57  56  55  54  53  52  51  50  49  48  47  46  45  44  43  42  41  40  39  38  37  36  35  34  33  32  31  30  29  28  27  26  25  24  23  22  21  20  19  18  17  16  15  14  13  12  11  10  9  8  7  6  5  4  3  2  1 
【228】

RE:流れ者日記  評価

東京流れ者 (2020年05月30日 02時05分)

うえー、ちょっと暑い。

なかなか眠れぬ。

こういうとき、昔なら小説読むうちに眠くなったが
最近は漫画ばかりで、何故か漫画だと眠れない。

小説は目が疲れる(-_-)

若い頃はSFばかりだったが、年取って時代小説も読むようになって
隆慶一郎にハマった。

先の「信長を殺した男」を読んで、光秀を讃美し秀吉を誹謗する原作者を批判したが
隆慶一郎も嫌いな歴史上の人物がいるらしく、特に徳川二代将軍秀忠などは酷い描きよう。

だが、好きな人物は素晴らしく良く描く。
有名なところは花の慶次の原作「一夢庵風流記」の前田慶次郎。

だが、隆慶一郎はそれをあくまでフィクションとして描いているし
フィクションとしてならば、主人公にどんなに思い入れしていいし
その主人公を立てるためにどんなに悪し様に描いてもいい。
その対比が読者に痛快感を与えるから、読んでいても面白い。

だが、これが正史と言わんばかりに「431年目の真実」などと副題をつけて
しかも直系の子孫だと言う人が一方的な解釈を垂れ流すのはどうかね(-_-)

なんか、漫画でプロパガンダやってるみたいでやだね。

もう少し淡々と叙事詩っぽく表現すればいいのにねー。


と、酔ってるせいかちょっとくどい(_ _)


寝ます。

オヤスミ。

   
87  86  85  84  83  82  81  80  79  78  77  76  75  74  73  72  71  70  69  68  67  66  65  64  63  62  61  60  59  58  57  56  55  54  53  52  51  50  49  48  47  46  45  44  43  42  41  40  39  38  37  36  35  34  33  32  31  30  29  28  27  26  25  24  23  22  21  20  19  18  17  16  15  14  13  12  11  10  9  8  7  6  5  4  3  2  1 
メンバー登録 | プロフィール編集 | 利用規約 | 違反投稿を見付けたら